2015年03月2週
【推移】
9日(月):
週末の日経平均は昨年来高値更新。TOPIXは7週連続での上昇で昨年来高値を更新。一方、雇用統計は市場予想を上回り非農業部門雇用者は29.万人の増加で着地。失業率も5.6%→5.5%への低下。早期利上げ観測が台頭したとしてNY株は大幅安。
景気が良くて上がる金利は良い金利上昇の筈。それでも金利上昇=株安の公式が当てはまるのかどうか、結構疑問。
バーナンキFRB前議長は「QE3終焉」を示唆したのが2013年5月。そこから米国株は一進一退だったが、結局QE3終了宣言の2013年12月から上昇。 どうも解釈のズレがいずれ是正されてきたような気がする。
日経平均株価は180円安の18790円と3日ぶりの反落。USMH、カナモトが上昇。gumi,CECが下落。
10日(火):
日経平均株価の2倍の動きをする日経レバレッジ投信(1570)が東証1部の売買代金首位の座を継続。しかもトヨタやソフトバンク、三菱UFJなどの個別銘柄の売買代金首位の常連銘柄の2倍の売買代金ですからすごいエネルギー。
日経レバレッジの信用残を見てみると3月第1週には売り残362万株、買い残348万株で信用倍率0.96倍。市況解説では「日経レバが売買代金首位」しか語られないが、信用取引の需給面から見ると意外な側面がある。そもそも日経レバは2倍のレバ。それを信用で買うということは約3倍のレバだから都合6倍のレバ。
ETFが長期分散投資なんていうFPチックな語りはほとんどおとぎ話の世界と化してしまいそう。理想は理想で現実はコレ。実は短期投機的集中投資がETFの主流ということ。短期指向のETF人気ということが背景にある。下落のきっかけは為替のドル円の122円だった。後場寄りタイムでの122円台。これがトリガーとなり先物先行での下落。
ユニクロ・ファナック・ソフトバンクの寄与度3兄弟が下落寄与53円。「売りが売りを呼んだ格好」と言う解釈もあった。もっとも、海外からの視点では「ドル換算した日本株価格下落を警戒」となる。今更その動きとは思えないが妙な説得力はある説になる。
日経平均株価は125円安の18665円と続落。FPG、荏原が上昇、フォーバル、クスリアオキが下落。
11日(水):
円安株高論が横行していた東京市場。ようやく「通貨の沈む国」不安が登場したともいえる。通貨が買われて消えた国はないが、通貨が売られて消えそうになった国は多い。ここまでの「円安礼賛論」は誤謬ではなかったのだろうが、いつまでも円安で言い訳がない。この根本的なテーマを忘れているのがFX市場。目先の経済指標のスケジュールしか見ない近視的思考法。大局観がないから、「雇用統計の好調から米金利上昇の可能性」などという皮相的な見方が多い。
滑稽だったのがNYの大幅安を解釈した外電。「FRBが6月にも利上げを行うとの観測が強まった」。これは昨日今日の観測ではないだろう。少なくとも昨年から言われ続けていることを材料に株が1日で2%も下がりはしない。 前日は「利上げ観測後退」、翌朝は「早期利上げ観測」。この愚かしさに気づくことなく結論は「大変だ」。
リーマンショックの頃から市場は成長を止めたのだろうか。
興味深いのは、JPX日経400の先物の売買増加。昨年12月9日の25万枚を抜いて32万枚。TOPIX先物も過去2番目の68万枚。ROEを重視する投資家が増えたわけではなく、単なる週末のメジャーSQでのロール。 スケジュール的要素を相場勘にいれるとロクなことはないと思われる。「人生と相場には3つの坂がある。上り坂と下り坂と魔坂」。格言である。
1月27日NYダウ291ドル安の翌日の日経平均は312円高だったがこれは「魔坂」。
SQ前の「魔の水曜日」に「魔坂」は似合うのだが日経平均株価は58円高の18723円と3日ぶりに反発。NYは大幅下落だったが逆行高となった。新田ゼラチン、東京個別が上昇、JSP、ファミリーマートが下落。
12日(木):
魔坂の展開だった印象の前日の日経平均。今年最大のNY株の下落を横目に反発。日経朝刊では「5頭のクジラの影響力」との指摘。買う向きがあるから上がる。クジラが買うのだから下がれば買い。簡単な原則なのだろう。クジラ警報なるものまで登場しているというからスゴイ。
来年度の予想利益からの日本のPERは14.9倍。アメリカの18.2倍やドイツの14.9倍よりもはるかに割安感は漂っている。
因みにアメリカの増益率は1.7%、日本は13.9%。青い鳥は足元にいる。興味深かったのは前日の東証の売買代金ランキング。トップは相変わらず日経レバレッジ(1570)で1458億円。現物トップのトヨタが649億円だから2倍以上の売買代金。2位は日経ダブルインバース(1357)で161億円。現物株のベースでは21位。日立が162億円で20位、キャノンが156億円で22位。インバースまで活況となってきた。おそらくインバースのウリも増えてきたのだろう。
日経平均株価は267円高の18991円と大幅続伸。イハラケミカル、日本調剤が上昇、ブラザー、Jディスプレイが下落。
13日(金):
頑なだったファナックが株主との対話窓口となる部署を設けるという。増配や自社株買いも検討の方向。株主優待ではなく本業での勝負。業績こそすべてという株式本来の姿が登場してきた。株式市場低迷期に登場した本業に全く関係のないクオカードとか米などの優待。もう必要ないのかも知れない。因みに預金保険料率は半分になるという。背景は金融システムの安定。ここもパラダイムの変化となってきた。SQに向けて高いという動きは今月も継続。昨年秋まではSQに向けて安い動きだったが明らかに変化してきた。そのSQ値は19225円で15年ぶりの高値水準で着地。
日経平均株価は263円高の19254円と3日続伸。メジャーSQの影響から東証1部の売買代金は4兆3072億円まで拡大。トプコン、アイスタイルが上昇、エーザイ、日写が下落。
(2) 欧米動向
市場では「アップルのダウ銘柄採用は象徴的」との声。
アップルの時価総額は約7360億ドルで上場企業としては世界最大。
ATTの時価総額は1765億ドル。
ATTがダウに初めて採用されたのは世界初の通話が実現した翌年の1916年。
その約100年後にアップルがAT&Tと入れ替えとなる。
もっとも・・・。
インテルとマイクロソフトは1999年11月にダウ構成銘柄に採用された。
それ以降数年にわたり株価動向は低迷したと言うのが歴史でもある。
ただし、新規ダウ採用銘柄はその後30日ほどでS&P500指数を3%ほど上回って上昇するという。
覚えておきたいのはNYダウ採用銘柄の株価。
アップルは、120ドル程度だがビザが250ドル、GSが180ドル、IBMが150ドル。
ボーイングも150ドルだから上から5番目の位置。
値がさハイテクとして寄与度は当然高い筈。
以前、NYダウはIBM指数と言われたこともあるが、今度はアップル指数になるのだろうか。
常に値がさを入れて新陳代謝を試みてきたのがNYダウでもある。
因みに最近の入れ替えはというと・・・。
2013年9月23日
新規:GS・ビザ・ナイキ、除外:バンカメ・HP・アルコア。
2012年9月24日
新規:ユナイテッドヘルス、除外:クラフトフーズ。
2009年6月8日
新規:トラベラーズ・シスコシステムズ、除外:シティ・GM。
2008年9月22日
新規:クラフトフーズ、除外:AIG。
2008年2月19日
新規:バンカメ・シェブロン、除外:アルトリア・ハネウェル。
この指数採用銘柄の入れ替えは日経平均では2000年春の30銘柄が有名だ。
2000年4月15日に入れ替えは発表された。
オールドエコノミーの低位株を除外、ハイテクのニューエコノミーの値がさ株が採用された。
株価1万円以上が7銘柄。
新規採用の30銘柄と残った195銘柄の株価の合計が一緒だったというからスゴイ。
序数も10.18→21程度になり、変化のレバは拡大した。
入れ替え前のバスケットは1単位2億円、入れ替え後は1単位4億円になったという。
入れ替え発表直前の株価は20434円。
15年間復活は果たしていない。
(3)アジア・新興国動向
中国の経済見通しは7%成長へ減速。しかし市場はほとんど気にしない格好。
時期が異なると、徹底的な悪材料視されたであろう。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・
週末:北陸新幹線長野‐金沢間開通、JR東北縦貫線「上野東京ライン」開通
16日(月)日銀金融政策決定会合、首都圏マンション販売、米鉱工業生産、NY連銀製造業景気指数
17日(火)黒田日銀総裁会見、米FOMC(〜18日)、住宅着工件数、独ZEW景況感
18日(水)貿易統計、訪日外国人数、BBレシオ、米ミシェル夫人来日、イエレンFRB議長会見・景気見通し
19日(木)米経常収支、EU首脳会議
20日(金)コンビニ売上高
「裁定買い残高が3ヶ月ぶりの水準に膨らんできた」との声。
どれだけ膨らんできたかというと、3.2兆円。
5兆とか6兆とかいうのならまだしも、たかが3兆円台。
それが重石になったところでタカが知れているだろう。
安倍総理が紀尾井町の「福田屋」で歴代総理と会食。
中曽根・海部・森・小泉・福田・麻生元総理。海部内閣は34719円→34591円。
森内閣は20462円→17470円。どちらも下げ相場だし、福田・麻生内閣も下げ相場。
上げ相場は小泉内閣の13973円→15557円。
政権全部を通じてみれば大したことはなかった。
興味深いのは中曽根内閣。
1982年11月→1987年11月の第3次内閣まで5年間。
日経平均は7898円→22795円。
水準は今回の安倍内閣と似ているような気がする。
もし、今回の安倍内閣で22795円を越えれば、株式市場からの評価は高くなる。