兜町カタリスト『櫻井英明』が日経平均株価や株主優待、投資信託、NISAなど幅広く紹介していきます。企業訪問を中心により密着した情報も配信中です。
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2015年03月4週
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【推移】
23日(月):
日経では「日経平均6週連続で上昇」の見出し。2012年11月中旬から13年2月にかけての12週連続上昇以来の記録となった。あのアベノミクススタート以来の連続記録ということになる。上昇率は10.8%で風景も結構違ってきた。25日線からの乖離はプラス4%台、騰落レシオは120%超。賢げな警戒論も少しは聞かれる。しかし日経平均と25日移動平均との乖離率はプラス3.9%。25日線が上昇基調なので乖離率縮小気味。26日(木)日ベースでは株価指数がこのままだと2%台になるという。「だから週後半から買いやすくなる」という声。
一方で「米国ではヒンデンブルグ・オーメンが発生したとか・・・」という声。ソレよりも押さえておきたいのはTOPIX。9週続伸でこの間の上昇率は15.9%。日経平均ばかり見ていると置き去りになりそうな気配。そしてマザーズ指数は3週ぶりに反発。日経ジャスダック平均は2週続伸。上昇幅は小さいが反転の兆しは出てきた印象。
日経平均株価は194円高の19754円と続伸。エーザイ・ミズノが上昇。TOC・アスクルが下落。

24日(火):
このところ「2000年4月14日以来の15年ぶりの水準」というのが目につく。日経平均株価が上がるごとにこの表現。
2000年4月14日の終値20434円。翌17日の終値19008円。
実に前日比1426円の下落になった背景は、日経平均採用30銘柄の入れ替えだったことは記憶に残るところ。この窓を埋めれば苦節15年が過去の流れにつながる。でも、過去への貼付ではなくどうもパラダイムシフトという印象の方が強い。
日経朝刊のコラム「一目均衡」は「自社株買いの功罪」。成長のための投資を求めるのではなく「限られた利益の分配を求めるのは自社株買いや増配の要求」というのは首肯できるところ。そして「望まれるのはパイの拡大」というのも正鵠。でも市場では増配や自社株買いが喜ばれているのも事実。機関投資家は10%〜12%のROEを求めるというのが生命保険協会の調査。この10〜12%という根拠はよくわからないが、本来は利益という分子を拡大して数値を伸ばすべきもの。しかし自己資本という分母を削ってROEを高めることも可能という数値だから、ある意味分母を削る小手先の作業を求めているということだろう。
日経平均株価は40円安の19713円と3日ぶりの反落。下落幅が100円を超える場面もあった。エーザイ・藤田観光が上昇、日車輌、ぐるなびが下落。

25日(水):
日経では「日銀の株保有10兆円に」の報道。保有株の簿価は5.7兆円だが、株高で時価は10兆円を超えたという。東証時価総額の2%弱でGPIFの27兆円に次いで第2位の大株主。
1位が年金、2位が中央銀行なんて構図はなかなかないような気がする。因みに3位は日本生命の8兆円、4位がノルウェー政府年金基金の5兆円。そして5位が三菱UFJ銀行の5兆円。家計における上場株の時価はアベノミクススタート直後の76兆円→100兆円の拡大。ただ、この間に株価指数は2倍になっているので、増加率は不足感。この間に日銀は2兆円→10兆円と5倍。
買ってはいるものの株価の上昇の恩恵は日銀の方が多い。国策には勝てないといったところだろうか。あるいは「素直なマインド」が必要だったのかも知れない。もっとも、勝てば官軍、負ければ賊軍でもある。
因みに20日現在の信用売り残は7748億円。前週比74億円の減少だが、2011年2月以来の高水準。長い間に培われた売り感覚はまだ抜けていない。
安値からみた信用売りの期日は4月17日。壮大な踏みになるかどうかの時期になってきた。
日経平均株価は32円高の19746円と反発。インプレス、参天が上昇、IIJ、洋エンジが下落。

26日(木):
もたもたとした展開で迎えた日経平均2万円Xデー。ようやくNY離れしてきた東京市場。N株安を「対岸の火事」的に思えなかった。「押し目」を待つマインドにあまり響かなかった。日経平均2万円はいったん遠のいた格好。あと225円が届かなかった。ただ、これは18000円超えでも起こったこと。
昨年12月8日の18030円。12月29日の17914円。2月16日の18004円でようやく18000円の節を抜けた。
2・5・8の節目というのはやはりありそうな気がする。ただ最初に突っかけてから2ヶ月の時間軸では少し長すぎる。
日経平均株価は275円安の19471円と反落。インプイス・オルガノが上昇。ケーヒン、日立ハイテクが下落。

27日(金):
日経マーケット総合面では「昨日の最大の売り手はドイツ証券」との指摘。確かにTOPIX先物は12000枚売り3200枚買いで8800枚の売り越し。しかし225先物は2700枚の買い越しだった。もしもドイツ証券経由の売り崩しを論じるのならば両方売り越しだった一昨日だったろう。
登場したのは「先物を機動的に売買する短期マネーが相場を売り崩そうと動いた可能性」。もしも相場を左右できるほどのマネーがあるとすれば、常勝でなければならない筈。相場を左右できる存在があるというのはある意味市場への冒涜でもあろう。しかし市場はそういう存在を常に指摘する。この陰謀論チックな解釈が市場心理を疑心暗鬼にしている気がしてならない。例えは悪いがM資金のような存在はなかろう。相場の上げ下げの解釈の理由として、そういう存在をこじつけやすいからに他ならない。
意図的であるのはどうの投資家も一緒。「儲ける」という目的そのものが意図的だろう。そもそも作為的相場形成は法で禁じられている筈。にもかかわらず作為的相場形成を匂わすコメントが横行する市場と言うのは奇妙なもの。怖いもの見たさは理解できるが、幽霊の正体みたり枯れ尾花。本尊チックな存在は登場したとたんに輝きを失うものでもある。
少なくとも、先週の外国人投資家は6週連続での買い越し。そして裁定買い残がほとんど増加していないのに、株価は先週300円の上昇。現物の世界の沈潜運動が継続していると読むべきだろう。一方で個人投資家の信用動向は9週間ぶりの買い越し。要するに今年になってほぼ初の買い越し。15000円では買わず19000円で買い。株は上がると買いたくなり、下がると売りたくなるという裏腹心理の傍証でもある。
もっとも松井証券経由の顧客の信用取引は年初から8億円の損失だという。疑心暗鬼と警戒感の招いた損失であり、得られる利益を見逃した損失はさらに大きい筈。ただ、この結果を見ると日々の信用評価損の背景が納得できる。売り残の評価損率があまり拡大せず、買い残の評価損率があまり好転しないという傾向。
因みに日経平均は275円下落した前日段階。
売り方マイナス9.632%(前日マイナス12.75%)。買い方マイナス5.706%(前日マイナス3.900%)。売り残の改善率は異常に高く買い残の悪化率も異常に高い。残念ながら下がると喜ぶ個人という構図にしか見えなくなってくる。
「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観と共に成熟し、幸福のうちに消えて行く」。今の段階は、多少楽観モードはあるものの、まだ「懐疑」の域ということはまだ育っていると解釈したいところ。「腹立ち商い致すべからず」だろうか。
日経平均株価は185円安の19285円と続落。一時375円安の19099円まで下落した場面もあった。イノプレス・OLCが上昇、科研薬、特殊東海が下落。

(2) 欧米動向

NYの大幅下落でガックリという週。
不思議なのはその大幅安の明確な理由が登場していないこと。
「ハイテク関連が下がった。バイオが下がった。
NASDAQは昨年4月10日以来の下落幅」。
それは結果であって、「なぜ」に対する答えが見当たらない。
「最近の相場上昇のうち行き過ぎた分の一部について利益を確定する動きが出た」。
一応もっともらしいコメントではあるが、なぜ利益確定なのかがわからない。
結果を報じるのも大切ということはわかるがこれでは隔靴掻痒。
株価の変動に必ずしも理由は必要ないのかもしれない。
しかし森羅万象を織り込んでいる筈の株価は玩具ではない。
少なくとも「理由のない変動」では納得できるものでもない。
理由のない変動は、時間の経過とともに理由があったことが証明されることが多い。
例えば上海発世界同時株安。
実は中国経済への懸念ではなく、サブプライムショックへの導火線だった。
ダウの300ドル近い下落、NASDAQの100ポイント超の下落。
「理由なき下げ」で片付けていいものかどうか。
NYから東京へ向かって情報発信する市場関係者の怠惰なのだろうか。
もっとも適当な理由を捏造されるよりはマシかも知れない。

脳裏に残ったのは昨日の日経朝刊の「IMF融資、前倒し返済へ」のインタビュー。
ポルトガルのコエリョ首相にあてての書面インタビューの結果である。
コメントは「今後の焦点は、危機対応ではなく成長への加速だ」。
25年ぶりに首相が訪日するポルトガル。
10.2兆円のIMF緊急融資を受けたのは2011年。
今年の財政赤字の対GDP比はわずか2.7%。
成長率は1.5〜2%。
いずれギリシャだってこんな風になるのかもしれない。
ポルトガルの国家破産なんてどこの話だったのだろうか。
アイルランドやスペインの財政危機で騒いだ連中は寡黙にならざるを得ないだろう。
だから結果的に「騒がない、慌てない」だったと言える。

(3)アジア・新興国動向
AIIB(アジアインフラ投資銀行)への出資問題は、世界の金融ヘゲモニー争奪戦。アメリカ主導から中国主導への変化があるのかどうかは、結構大きな問題。

【展望】
スケジュールを見てみると・・・
30日(月)鉱工業生産、米個人所得
31日(火)米ケースシラー住宅指数、CB消費者信頼感、シカゴ購買部協会景気指数 、ユーロ圏失業率
1日(水)日銀短観、法人実効税率引き下げ、軽自動車税引き上げ、新車販売、米ADP雇用レポート、ISM製造業景況感、新車販売
2日(木)マネタリーベース、米貿易収支
3日(金)米雇用統計、聖金曜日、NY休場

日銀短観はやや好転見通し。
月初恒例、週末の米雇用統計祭り。
経済統計で株価を計るようになったのは、FXの世界からの輸入。
あるいはFXの世界の一時の隆盛で加速した感。

4月卯月。
過去25年は14勝11敗で3位。
1日(水)エープリ−ルフール
3日(金)グッドフライデーでNY、ロンドン休場
4日(土)皆既月食、満月
6日(月)ロンドン休場
7日(火)日銀金融政策決定会合
10日(金)オプションSQ、木星順行開始、ポイントの日
15日(水)ECB理事会
16日(木)ポイントの日
17日(金)IMF・世銀春季会合、下げの特異日
(因みに上げの特異日3月20日は上昇した)
19日(日)新月
21日(火)ポイントの日
27日(月)ポイントの日
28日(火)FOMC
29日(水)昭和の日休場
30日(金)日銀金融政策決定会合

日経ヴェリタスでは「巨鯨マネーの威力 広がる指数運用、株価形成に異変」。
指数連動の運用拡大は世界的現象。
モーニングスター調べ。
昨年米国で4200億ドル強の資金が指数連動のパッシブ型ファンドに流入。
これは個別銘柄に選別投資する「アクティブ型」の9倍。
巨額資金を個別銘柄で運用するのは容易ではないということ。
そして指数連動の運用の方が透明性高く説明しやすいからだという。
紹介されているのは著名投資家ウォーレンバフェット氏の妻への遺言。
「現金のうち10%を米国の短期国債に。
90%をS&P500株価指数に連動する低コストのインデックスファンドに。
高い手数料を取るファンドマネージャーより長期で優れた運用成績をあげられる」
指数連動運用中心とするETFの資産残高は14年末2兆7800億ドル。
5年前から2.4倍に増加したという。
世界の運用会社のパッシブ運用比率が2012年に11%。
2020年には22%まで高まるというの予測もあるという
世界の年金マネーの膨張はすさまじい。
2010年に世界の運用会社が受託する年金基金の資産規模は56.5兆ドル。
2012年よりも7割の増加。
日本のGPIFの14年3月末の日本株運用に占めるパッシブの比率は87.7%。
12年3月末から9ポイント上昇。
株式の組み入れ比率が拡大するにつれてコストの低いパッシブが増える傾向にあるという。
だから指数は上昇するものの市場はますます無機質無感動になっていくのだろう。

株式相場を「ペイフォワード」と表現するか
「ジョーカーゲーム」と表現するかは微妙。
しかし市場は自分が買った株価よりもさらに上の株価で買ってくれるシナリオと
投資家の登場を常に待っているもの。
つまり突き詰めていくと・・・。
「現在の株価が安いか高いか」の判断の最大の決定要因は
「今の株価より高い値段で買いたい人がいるか」だろう。
自分が買った株価よりも高い株価で買ってくれる人がいるかどうか。
それを気迷っているのが今の市場だろう。
日経平均2万円という心理的大台のフシの上を誰が買うのか。
最大の論点はココなのだが、罫線や決算や需給を持ち出して理論ばかりが先行する。
要は罫線も業績も需給もその先の上を買うシナリオに利用されているに過ぎない。
そう言うと極論だろうか。
誰が上値を買ってくれる?
その答えがココから数日〜数ヶ月のテーマだろう。
少なくとも株価が2万円以上になってその日の株価が下落した時。
日銀は2万円水準以上のETFを買う理由があるようになる筈。

1日に100キロも移動するイナゴの大群。
時間をかけて1万キロ以上も移動するクジラ。
どちらも市場で散見される。
主力大型株とモメンタム株の共存という市場関係者もいる。
生物学的にはクジラの方が巨大だし強いのだろう。
しかし局地的にはイナゴの集合体が耳目を集める。
動くものに興味があるのは誰しも一緒なのだろう。
海面下の静かな動きにはなかなか注意が払われない。

 

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