2015年04月3週
【推移】
13日(月):
2万円祭りは多少騒いでSQ値20008.07円を上回れず。土曜の日経では「日経平均一時2万円台、2年半で2.3倍、世界で突出」。「2万円なんて初めての経験」なんて市場関係者の声も紹介されている。「明治は遠くなりにけり」と嘆いた層もあったが、今は「バブルも遠くなりにけり」。 免責チックは指摘も聞かれる。「世界中を高速で行き交う投資マネーは容易に逆回転する」。上げても下げても叱られない記事構造には感心する。結局、終値ベースでの2万円台を早く見たいというのが市場心理だろうか。ただ、金曜のザラ場タッチでもその上への踏みはなかった。実は「タッチ」と言う言葉は1999年に仕組み債を組成した時に使った言葉。本来は「ノックイン」だったのだがわかりにくいのでタッチにした経緯がある。つまり、ザラバ2万円ノックインでは機能しないものが多いということなのだろうか。
日経平均株価は2円安の19905円と小幅反落。電硝、アイスタイルが上昇、グリコ、トレファクが下落。
14日(火):
日経平均が2万円に瞬間タッチして東証の立会場で聞かれた拍手。「お帰りなさい」という言葉は聞かれなかった15年ぶりの水準にようやく戻ってきた。15年前の2000年ITバブルの終焉時期。証券界に巻き起こっていたのはインターネットトレーディングの勃興。パソコンを使って注文を出すというのが当たり前になって15年。パソコン画面のコンテンツが不足していたことから大きな躍進をしたのがチャート。どの画面を見てもチャートオンパレードの時代はしばらく続いている。手書きの罫線しかなかった時代にひっそりと過ごしていたチャートが脚光を浴びて今に至ったということ。罫線が身近になったということは悪いことではなかろう。ただ15年も続けば次の新たなコンテンツが主役として登場してもそろそろいいのかもしれない。変化が未来を創造するのであれば当然そうなるべきだろう。激動と恐怖と諦念の15年を過ごしてきたのだら次は同じ激動でも楽観と期待の15年であって欲しいもの。
日経平均株価は3円高の19908円と小幅反発。アルテック、薬王堂が上昇、一休、モノタロウが下落。
15日(水):
興味深いのは松井証券の信用評価損益率速報。売り方マイナス14.166%(前日マイナス14.276%)。買い方マイナス3.183%(前日マイナス3.686%)、日経平均8円高、TOPIX4ポイントの上昇でどちらも改善した。たぶん背景はマザーズ指数の3営業日続伸やJASDAQ平均の高値更新。信用の動きはこちらに向いていることの証左かも知れない。Quick調査の信用評価損率はマイナス9.76%と3週間ぶりの改善。日経平均が472円上昇して信用買い残は340円減少し2兆9480億円。依然として「ヤレヤレの売り」は続いているのだろうか。売買代金トップはソフトバンクの1202億円。数週間前のエーザイがトップになって以来だった。常勝の日経レバに差をつけてのトップ。ソフトバンクというのがやや気にならないがそれでも少しは個別の気配は漂う。アメリカでは日本の中小型株投信への資金流入が増加と報じられている。だからJASDAQ平均の10日続伸、マザーズ指数の4日続伸。そう考えたくもなる。
日経平均株価は38円安の19869円と反落。gumi、キリン堂が上昇、アデランスガリバーが下落。
16日(木):
本当に景気が回復しているのかと疑わしくなるのは日経朝刊の薄さ。3月期末は駆け込み広告があったのか48ページのフルサイズ。しかし4月になってからは概ね36ページ。16枚分の記事がなくなったのではなく広告がなくなっているということ。ネットに取られたのか、あるいは本当に足元の経過が良くないか。精査する必要はあろう。そもそも新聞の主役はニュース、と考えるのは読者。
作り手の新聞社の発想法では新聞の主役は広告。このズレが読み手の誤解と錯覚を惹起している。TVなどで見るスポンサーの強さと一緒の世界。吼えてくれたのはOECDの事務総長。「日本は消費税を15%に」。成長率が一時的に押し下げられても大規模な歳入増加は不可欠だという。所得税課税の拡大や年金の支給年齢引き上げなども提案。日本はギリシャではないと訴えたところで、彼らの目には一緒に映るのだろう。あるいは財務相の声が代弁されているのかも知れない。その財務省OBの黒田日銀総裁と安倍総理の2月の会談の模様。昨日日経で披露されていた。「欧州の一部銀行は日本国債の保有比率を恒久的に引き下げた」。消費増税先送りでの日本国債格付け引き下げ。影響は軽微だったがさすがにGDPの200%の借金は気にかかるのだろう。そして「銀行が自国国債を保有する場合の引当金を増加するべき」との意見。自国経済が不自由なく回っているのにそこまで迫る神経は図太い。ややとろさが目立ったのは首相。「格付け会社にしっかりと働きかけることが重要」。働きかけるくらいで譲歩するような格付け会社がある筈がなかろう。そして、冷徹なくらいに後付け格付けを行ってきた格付け機関に善意などあろう訳がない。
日経平均株価は16円高の19885円と小幅反発。クボテック、ファンコミが上昇、リソー、クックパッドが下落。
17日(金):
日経平均はITバブル直後以来の2万円を示現。その2000年4月から15年間毎月初に1万円づつ日経平均連動投信に投資したとするシュミレーションがある。投資額は累計181万円。4月10日に2万円をつけた時点で運用資産は309万円になったとの試算。コメントは「冬はながかった」。因みに時価総額から見てみると、2000年の東証1部時価総額は450兆円。今は570兆円。少し位置は違っている。因みに時価総額が500兆円を越えたのは過去3回。バブル時の89年末。世界的株高となったリーマンショック前の07年。そして今回。時価総額がGDPを越えてくると反落だった過去2回。ここに逆らえるかどうかが問われている。名目GNIでも514兆円だからどうだろうか。面白かったのは日経ヴェリタスの「上昇相場、原動力は企業」の記事。アベノミクス相場の個別銘柄の変遷を図式化してある。2011年11月14日→2013年4月4日(異次元緩和)。金融緩和で不動産、円安で輸出関連を物色。個別ではいちご(2337)、ガンホー(3765)、ケネディクス(4321)など。→2014年4月1日(消費増税実施)好業績・高成長銘柄を選別。個別ではコロプラ(3668)、ディップ(2379)、エプソン(6724)。→2015年4月10日(一時2万円)インバウンド銘柄・内需株にシフト。個別ではラオックス(8202)、象印(7965)、ミクシイ(2121)など。日経平均株価は232円安の19652円と大幅反落。東証1部の売買代金は2兆9720億円と拡大、ギリシャ問題への懸念拡大との解釈。アキレス。セイノーが上昇、ブロンコB、三越伊勢丹が下落。
(2) 欧米動向
IMFの世界経済見通し。
日本は2015年0.4%上方修正で1%。
2016年は0.4%上方修正で1.2%。
ユーロ圏は2015年0.3%上方修正で1.5%。
2016年は0.2%上方修正で1.6%。
米国ハ2015年0.5%下方修正で3.5%。
2016年は0.2%下方修正で3.1%。
日欧優で米劣の形となってきた。
IMFがアメリカに迫ったのは「インフラ投資や財政改革」。
やはりインフラが重要なキーワードとなっている。
もっとも中国は2016年6.3%とはいえそれでも大きい。
その中国のモノに限った貿易総額は4兆3030億ドル(約515兆円)で前年に続き世界一。
2位米国(4兆320億ドル)、3位ドイツ、4位日本(1兆5060億ドル)。
この差は大きいが、それでも東京はコレでも戦えるはず。
(3)アジア・新興国動向
中国は預金準備率を1%引き下げ。追加金融緩和での景気下支えとの観測。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・
20日(月)コンビニ売上高、米シカゴ連銀全米活動指数
21日(火)全国学力調査、独ZEW景況感
22日(水)貿易統計、米中古住宅販売
23日(木)米新築住宅販売、中国HSBC製造業PMI
24日(金)全産業活動指数、米耐久財受注、独IFO景況感
高値は無制限まで付ける可能性がある。
安値はゼロが限界でマイナスになることはない。
従って期待できる利益、フツーは買いの方が多いはずで売りの利益はゼロまでの限定的なもの。
それでも売りのスタンスの投資家さんがいる。
株価が上昇するには時間が必要だが、下落はアッと言う間にするからだろう。
アベノミクススタート時。
8000円台後半だった日経平均株価は約半年かけて15900円台まで約8000円上昇。
しかし2013年5月23日から6月13日までの約3週間で株価は約3500円下落。
これが株価の時間軸といってもいいかも知れない。
地球に引力があるからという訳ではなかろうが、下落スピードは上場スピードの数倍にも及ぶ。
そして何が「上昇」するのか、よりもどれが「下落」するのか選択の方が、目立ったものから選べば良いのですから簡単。
そういう意味で、売りになれた投資家さんが多いのかも知れない。
格言では「上げ100日、下げ3日」。
フツーの相場では100日我慢すればわずか3日で大願成就。
気をつけなければいけないのは、フツーでない上昇のケース。
100日の我慢どころではなく、苦痛が何年も続くことになる。
そういう意味ではアベノミクス相場では「クマよりもウシをかわいがり」の方が良いのかも知れない。
日経平均株価がほぼリアルで出るようになって数年。
今の日経平均株価は15秒ごとの算出。
TOPIXは1秒ごと。
ところが、古のままみたいな時間が流れているのは単純平均株価。
表示されているのは9時15分、10時、前引け。
12時45分、14時、大引け。
これは、かつての日経平均株価の発表時間と全く同じ時間帯。
ゲキタク売買の特定銘柄があったので9時を過ぎても寄らない銘柄があるので最初の計算は9時15分。
ココがプラスならば次の10時までは実際はどうであろうとプラスのまま。
今では想像すらできなくなってしまった状況だった。
そもそもトレーディングリームの大きな株価ボードが左から右にチカチカと次々に点滅すると「裁定取引が入った」。
品薄225採用銘柄の洋カンなどの出来高をみながら裁定観測。
牧歌的な世界だった。
そして、特定銘柄が寄らなかったり、値付かずの銘柄もあるので、基準とするのは常に大引け値。
だから月足の陽線基準は月初の寄り付きではなく月初の終値となっている。
あるストラテジスト氏のコメント。
↓
最近かつてのような「米国株高=国内株高」という図式が変化した。
米国株の騰落と日本株の騰落が、一致しないことが増えてきている。
多くの専門家が唱える日米の株価動向が一致しない最大の要因。
「GPIFなど公的年金が日本株を買っているからだ」。
中には、日銀の緩和姿勢も含めて「官製相場」だと語る向きも多い。
確かに、公的資金が国内株式への資金配分を高めているのは事実。
長期的にはそれが株価を押し上げる「一つの」要因ではあろう。
だからといって、短期的な株価動向までそれで説明するのは、いかがなものであろうか。
公的年金が株価を押し上げているとの説。
最近語られる「クジラ説」に疑問を呈する第一の理由。
百歩譲って、米国株価が下落した翌日に日本株が上昇するのは公的資金の買いとの観測。 無理矢理株価を持ち上げているからだ、という説に同意したとしても、
それでは、米国株価が上昇した翌日に日本株が下がっている現象の説明にはならない。
第二の理由は、実際のデータをみると、
そもそも「クジラ説」は全く正しくない、と言えるからだ。
2015年の、東証一部の投資家別株式売買動向のデータ。
海外投資家の買い越し額と、信託銀行の買越額を取り、
それを日経平均株価の週間の騰落幅と並べたデータ。
○×で単純化して示してある。
海外投資家および信託銀行が買い越した週は○。
売り越した週は×。
日経平均株価が上昇した週が○、下落した週が×。
信託銀行の○×と日経平均の○×が一致した週、
すなわち信託銀行が買えば株価が上がり、売れば株価が下がった週を数えると13週中5週。
逆に一致しない週が8週あった。
一方海外投資家も同様にみてみると、一致した週が12週と圧倒的。
一致しない週は1週しかなかった。
毎週の株価の動きを決めているのは誰であるか極めて明確であろう。
そして以下は日本株と、米国株、円相場の相関が低下したことの解釈。
外国人投資家のうち、クオンツファンドはもちろん、通常のヘッジファンド等も、相関の変化は重視。
ファンダメンタルズの変化を意味しているかもしれないからだ。
外国人の解釈は、「株式市場の目が国内景気、特に内需に移ったから」。
つまり・・・。
GPIFなどによる株価つり上げ説は、株価騰落と投資家別売買動向を重ねると、全くの間違い。
外国人投資家の内需に着目した売買の方が大きいだろう。
一部、外国人投資家のなかでも、クジラのせいだと言って日本市場から撤退すると言っている向きがある。
それはロングショートのヘッジファンドなどの連中。
利益成長性が低い大型株を売って、伸び盛りの新興市場株を買っているファンドがやられているため。
仮にクジラのせいで市場が歪んでいるとしても市場は市場。
他の投資家のせいにして、運用がうまくいっていないのなら、出ていけばよい。
どうせマーケットニュートラルなので、全体相場には影響はない。
一方で・・・。
この数週間米国では日本の中小型株を対象にしたファンドに資金が流入しているという。
その意味では潮目が少し変わっているのかも知れない。
因みに日経平均がザラバでタッチしてから終値べースでの節目越えまでの日数。
9000円(2012年11月16日→11月16日)1日。
1万円(2012年12月19日→12月19日)1日。
11000円(2013年1月28日→1月30日)3日。
12000円(2013年3月7日→3月8日)2日。
13000円(2013年4月5日→4月8日)2日。
14000円(2013年5月7日→5月7日)1日。
15000円(2013年5月15日→5月15日)1日。
16000円(2013年12月24日→12月25日)2日。
17000円(2014年11月4日→11月11日)6日。
18000円(2015年2月12日→2月18日)5日。
19000円(2015年3月12日→3月13日)2日。
2万円(2015年4月10日→?)既に4日経過した。