兜町カタリスト『櫻井英明』が日経平均株価や株主優待、投資信託、NISAなど幅広く紹介していきます。企業訪問を中心により密着した情報も配信中です。
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2015年08月4週
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08月4週
【推移】

24日(月):
ブラックフライデーとブラックマンデー。ブラック過ぎる週末週初。売られる明確な理由のない下げ。中国景気も新興国動揺も米利上げもパンチの効いた主因ではなさそう。もちろんギリシャの総選挙などの余計な要因もまだある。複合汚染の株安とでもいうような下落の連鎖。原油価格の下落が商品ファンドを疲弊させ、それが株売りにつながったという見方の方が良いのだろうか。
土曜日経では「マネー萎縮、株安連鎖」の見出し。加えて「日本株、下落圧力と綱引き」として「当面の下値メド18500円」。
考えてみると、週末の日経平均採用銘柄のPERは15.51倍でEPSは1253円。PER14.9倍で18669円。15倍割れでも買いが入らないとすると、裁定が効かない恐怖の群集心理でしかない。あるいは200日移動平均は18987円。長期の移動平均を割り込むのはかなり異常な世界になってくるし相場はリセットとなる。目先的には25日線20541円の4%下方かい離が19719円。8%下方かい離が18897円。これ以上はオーバーシュートと考えたいもの。加えれば久々に騰落レシオ。週末は81.00%で昨年10月に69.1%を記録して以来の水準。挙句の果ての出てきたのはドル建て日経平均の160ドル割れ。
「円高ドル安の進行はドル建て日経平均の上昇要因になるが、円高のプラス効果以上に日経平均の下げ幅がきつく水準が切り下がっている」。だから何?という感じで下値の計算をしても空しさだけが残る。あれだけ切望された押し目がどんどん遠ざかる雰囲気。タヌキの化かしあいみたいな悪材料の好解釈にそんなに付き合う必要もなかろう。そもそも出来高の増加を伴った下落をセリングクライマックスと呼ぶのではなかっただろうか。学説的には急激な下落と出来高増加は株価の下落の最終段階。でも渦中ではそれが感じられないのが実務だからややこしい。
5日続落で日経平均の下落幅は2080円。下落率にすると10.08%で消失した時価総額は約70兆円。1月14日から約8カ月かけて築いたのが120兆円。それがわずか5日で消えた。それにしても、こんな時期に「スタジオジブリの呪い」の復活感。先々週から3週連続で週末のスタジオジブリ作品放送。もうこのアノマリーは消えてたと考えて先々週の「火垂るの墓」は気にならなかったが先週の「思ひ出ぽろぽろ」はそれこそ「株価ボロボロ」。来週は「平成狸合戦ぽんぽこ」。タヌキの化かし合いのような市場の象徴になるのかも知れない。
日経平均株価は895円安の18540円と5日続落。サッポロ、アイフルが上昇、コマツ、村田が下落。

25日(火):
高値警戒感と中国・新興国不安というのが解釈だが、売りが売りを呼んだという格好。株価のトレンドが株価の下落を招き、そして儲かるから売る構図の優位が目立ってきたということ。国家が市場を統制できるという冒険的試みは上海総合株価指数を7月9日の3373ポイントから7月24日の4184ポイントまで押し上げたが結局は月曜に3191ポイントまで下落。壮大な構想は見事に崩れた。漠とした不安を掻き立てられるような市場展開。訳がわからないうちに板だけが消化される株価の下落。情などカケラもない機械によるスパイラル的な売り物で市場は混乱。明らかに市場でのコンピュータの優位性が際立ち始めたということだろう。その昔はプログラム売買などと言って市場を崩してきた歴史はありますが、今は日常茶飯事。機械が虎視眈々と売りで儲けるチャンスを狙っているという現実。
日経平均のPERは14.11倍。世が世なら「え?」という感じの水準。ここまで低くなったかというところ。株価には常識的水準とか金利裁定とかいうものがあるはず。「そんなの関係ねぇ」とばかりにテクニカルもファンダメンタルズも無視した異常値。
東証1部の売買高は47億株、売買代金は4兆9240億円。時価総額は瞬時に90兆円減った。東証1部の配当利回りは1.71%と上昇。
REITの分配金利回りも4%に近付いた。予想株式益回りは6.63%。アウトオブザマネーのオプションは1日の間に3倍なったり7割下がったり。ボラの高さをチャンスと見ることができるのだろうが、それにしては負った傷も深いアベノミクス発足以来の6日続落。
2012年11月5日〜13日の7日続落以来となる。前内閣の解散宣言が11月14日だったことを考えると結構長い間上げ相場に体が慣れていたことになる。常識や経験則からは「異常な水準」という体感。一筋の光明は7日連続だった後場安値更新が止まったこと。
日経平均株価の値は9時20分の17747円、後場終値は17806円。かすかに下回らずに終わった。後場に上げ幅を縮小、あるいは下げ幅を拡大の構図は変わっていないが安値は更新しなかった。日経平均の25日線は20289円で12.24%のマイナスかい離と超異常値。75日線は20294円12.26%のマイナスかい離。200日線は19013円で2.43%のマイナスかい離。200日線を下回ったのは昨年10月17日以来。ボリンジャーバンドはマイナス6σ。発生確率0.1%というこれも超異常値。12ヵ月移動平均18661円は既に下抜け24カ月移動平均は16764円。大発会は17325円。今年の安値は1月16日の16592円。下値を探ればキリがないし、毎日新たな指標が加わってくるからヤヤコシイ。騰落レシオは67.22%でこれも昨年10月17日の60.42以来。騰落レシオは70を割れて反発しなかったことはほとんどない。サイコロは3勝9敗で25%。松井証券信用評価損益率速報で売り方はマイナス6.345%。(1月10日がマイナス4.87%)。
買い方はマイナス18.867%。今年の最大値は2月4日のマイナス16.18%だった。8月21日現在の信用買い残は3兆5870億円と前週比1842億円増加。07年11月以来約7年10か月ぶりの高水準。債券がほとんど上昇しないで株だけ下落しているのも異常な状態に映る。
日経平均株価は733円安の17806円と6日続落。コロプラ、イトーキが上昇。ファーストリテ、KDDIが下落。

26日(水):
日経朝刊「大機小機」は興味深かった。語られているのは「自前の多角化」。企業は本業に精を出すべきで、多角化のために使うお金があるのなら投資家に分配すべき。企業が多角化しなくても投資家は分配された資金の再投資でポートフォリオの多角化ができる。これが自前の多角化ということ。機関投資家が正しいポートフォリオで正しい投資が可能という傲慢な前提なのだろう。しかし事業の多角化をした富士フィルムの経営は良くなく、多角化せず経営破たんしたコダックはよい経営だったというパラドックスにもつながる。同じことはROEにも言えるという。企業が自己資本を最小化しても投資家は困らない。分配された利益でポートフォリオの多角化を図れば投資家はリスクへの準備ができるとい論旨。短期投資家にとっては、個別企業は最低限の自己資本があれば良い。たとえその結果倒産しても短期投資家には深刻でないという。
ポートフォリオの価値の上昇が資本の効率化を進めてくれているからだという。この思考法は長期投資家や企業の労働者、取引先には危険というのが結論。「ROE経営が言われ始めてから日本経済や株価が振るわないのは当然である」。久々に「大機小機」の活字が目に残った。
日経平均株価は570円高の18376円と7日ぶりに反発。イチケン、トランコムが上昇。日神不、ユニチャームが下落。

27日(木):
Quick調査の8月21日現在の信用評価損率はマイナス11.72%で4週連続悪化。裁定買い残は2兆5910億円で前週比3243億円の減少で6週間ぶり。いずれにしても「ハイボラ相場」。瞬きする瞬間に100円も動く相場。あるいは乱舞するアウトザマネーのオプション。自動発注同士の戦いは「値が飛びすぎて控えた格好」との声も聞かれる。
24日の225先物は20万5691枚、25日は28万5398枚と2013年5月以来の出来高。しかも暴れているのは日経レバ(1570)。
24日の売買代金は4465億円で設定以来の過去最高を更新。純資産は一時5000億円を超えていたが21日3723億円、24日3827億円と104億円増加。基準価格が6%下落したときに純資産価格は5%増加。25日に基準価格は8%低下したが純資産は11.4%増加して4262億円。計算では金・月・火の3日間で最低1600億円の資金流入観測。だから野村の225の手口が活発だったともいえる。
ワイオミング州のジャクソンホールでカンサスシティ連銀の経済シンポジウム。ジャクソンホールには株価の谷が良く似合うもの。
日経平均株価は197円高の18574円と続伸。OLC、大チタが上昇。ファナック、ナガイレが下落。

28日(金):
私募REITの収益率に特化した新指数が算出されることになった。算定対象は7本。現在は上場REITと私募REITの合計約70本を「AFIJ」として算出している。これに加わることになる背景は年金基金等などの私募REITに対する投資増加。瞬間3.9%まで分配金利回りが高まった今週初にはREITを結構仕込んでいたのだろうか。ところで年金基金の4〜6月の運用が発表された。141兆1209億円の運用益は2兆6489億円。そのうち国内株の運用益は1兆8657億円。
逆に国内債券は505億円の損失。
象徴的な4〜6月の運用だった。
国内株式比率は23.39%。目標のほぼ25%となっており、ほぼ満腹状態ということを市場は気にしている。前日の空売り比率は39.8%と過去最高を更新。「相場が戻ったところでは再び下落に備えたい投資心理が表れている」との解釈。「一部投資家は先物を買い現物に空売りを入れたため空売り比率が高まった」とも。しかしそうならば現先の逆ザヤの説明がつかない。
業種別でみた数字はめちゃくちゃ。水産50.3%、鉄鋼47.1%、ゴム46.3%、石油45.8%、紙パ45.3%、鉱業44.3%、電気ガス43.9%、卸売43.8%、電機43.5%、銀行43.4%。空売り比率が過去最高を更新すると株高のアノマリーに通じそうな気配。そして9月受け渡し。借り株期限の9月になると、当然返却のための買い戻しは生じる。売り方餌食になるのか、相変わらず何かの不安に乗じるのか興味深いところ。
中国の景気懸念で売られたが、上海株の続落の最中に欧米日の株は反発した。本当に中国が原因なの?という思いは強い。もう一つの米利上げ問題懸念。GDPの上方修正でもNYダウは上昇。こちらも低金利継続が望ましいのか、利上げが望ましいのか微妙。しかし足元景気の好感姿勢だけは変わらない。目先の動きに幻惑させられた1週間だった印象。WTI原油は反発して金は反落。兵どもは次は何を生贄にするのだろうか。
日経平均株価は561円高の19136円と3日続伸。3日間の上昇幅は1330円で19000円台を回復。銭高組、日コンベアが上昇。大塚商会、ワタベが下落。

(2) 欧米動向
ある指摘は「最近の株価の下落は暴落は7年に1度の暴落。
今年はその暴落の年で7年前は2008年のリーマンショック。
その前は2001年の9.11多発テロ。
1994年 アメリカ国債暴落
1987年 ブラックマンデー
1980年 ハードリセッション
1973年 オイルショック」。
こういう見方もしたくなってくる。
ただ基本は金融相場から業績相場への移行途中の中間反落と考えたいところ。
38915円に至った昭和バブルのスタートは1982年。
しかし途中1887年にブラックマンデーに見舞わた。
これが中間反落となり、その後高値を示現したのが歴史。
歴史は繰り返すと考えたいところ。

(3)アジア・新興国動向
異常値はいずれ解消されるのだろうが、その過程が悩ましい。
そして責任逃れみたいなコメントは中国人民銀行の当局者のコメント。
「FRBによる9月の利上げ観測が最近の国際金融市場の混乱の原因。
9月の米利上げ観測が市場変動の引き金」。
一理はあるのだろうが、中国当局者に言われたくはないもの。

【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
31日(月)鉱工業生産、米シカゴ購買部協会景気指数、ユーロ圏消費者物価
1日(火)法人企業統計、米新車販売台数、ISM製造業景況指数
2日(水)マネタリーベース、米ADP雇用レポート、ベージュブック、ベトナム休場
3日(木)米貿易収支、ISM非製造業景況指数、ECB理事会、中国休場(〜4日)
4日(金)米雇用統計、G20財務省中央銀行総裁会議(アンカラ)

9月
過去25年間は10勝25敗で9位。
3日(木)ポイントの日
6日(日)金星逆行開始
7日(月)NYレーバーデー
11日(金)メジャーSQ、ポイントの日
13日(日)新月、部分日食
18日(金)水星逆行開始
28日(火)満月、皆既月食、ポイントの日

郵政のIPO観測の記事。
日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命と3社合わせておよそ60万円。
最低投資金額が関係者の間でささやかれ始めた。
初回売り出し1兆5000億円程度でこれはNTTやJTと同じ規模。
幹事証券の試算では日本郵政の株価は約1800円、ゆうちょ銀約1200円、かんぽ生命約2700円。
「3社で100万円以内の株価であればNISAでの投資家を呼び込める」。
幅広く国民が保有できるようにとい政府の意向にも合致する水準との解釈。

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