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2017年03月4週
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03月4週
【推移】

21日(火):
先週のNYダウは0.1%高。NASDAQ総合指数は0.7%高。S&P500指数は0,2%高。ともに2週ぶりの反発となった。
週末の日経平均は三連休を前に見送り姿勢。日中値幅は60円程度のこう着状態だった。国会の証人喚問を除けば大きなイベントも少なく動きづらい展開と見る向きも多い。
一方で総額12兆円に及ぶという配当取りの動きもみられる可能性も大きい。いずれにしても自ら動く努力の少ない東京市場は欧米株式市場の動向如何の展開。

日経平均採用銘柄のPERは16.13倍。EPSは1210.27円まで増加してきている。素直に考えればこれは救いになろうか。
週間ベースでは、日経平均株価は0.4%。TOPISは0.5%安でともに4週ぶり反落。東証マザーズ指数は4.8%安で6週ぶり反落。日経ジャスダック平均は1.2%安で8週ぶりの反落。東証2部指数は2.0%高で8週続伸(累計11.0%上昇)。意外と下げ渋った3連休明けの東京市場。
主力銘柄の値動きは色褪せた格好だが新興中小型の個別の強さは出てきたような印象。「昨年3月から4月にかけて見られたマザーズ優勢相場の再来が見られそう」という声もある。あるいは「割り切って中小型のジェットコースター相場に乗って細かく動くか。観覧車並みの緩い動きの大型株を気長に仕込むかの分水嶺」という指摘もある。

日経平均株価は65円安の19455円と小幅続落。利益確定売りや3月期末を控えての持ち高調整の売りもあり一時180円程度下落した場面もあった。その後下落幅を縮小。後場はほとんど動きなしの展開となった。
東証1部の売買代金は概算で2兆396億円。東芝、任天堂、JT、アサヒ、大東建も上昇した。住友不販売が上昇。東京製鐵、ソフトバンク、大塚HD、三井不、いすゞも下落。

22日(水):
NY株式市場は大幅下落。NYダウ、S&P500は4日続落。トランプ当選後最大の下落幅となった。NASDAQは午前中にザラバ高値を更新後に5日ぶりの反落。
背景はオバマケアの修正案にてこずっていること。23日に下院本会議で審議する予定だが時間がかかっている。この様子から企業減税の実施への警戒も台頭。「金融株と製造業株主導での株価の見切り売り。トランプ政権の成長支援策の発表がすぐに政策実行に結びつくことに投資家が自信を失ってきている」。そんな指摘も聞かれる。WTI原油先物がバレル=47.34ドルまで下落したことも悪材料視。特定の悪材料がある訳ではないものの「トランプ政策に対する漠とした危惧」での株安。
ムードが呼んだ株価上昇はムードに包まれた株価の下落を惹起した印象。図に乗って多くのものを望むからこんな下落も生じてくる。10年債利回りは2.4%台と約3週間ぶりの低水準。VIX(恐怖)指数は14.56%まで上昇した。強いて言えば「大富豪デビッド・ロックフェラー3世の大往生」を市場が追悼・懸念したとでも言えるのかも知れない。

NYダウの今年最大の下げ幅を受けて日経平均も今年最大の下げ幅。NYダウ平均のマイナス1.14%に対して日経平均はマイナス2.13%。相変わらずNYがくしゃみをすると東京が風をひく構図は変わっていない情けなさだった。

日経平均の414円安は昨年11月9日の919円安以来の下落幅。トランプラリーが始まって以来最大の下落。「株売り・債券買い・ドル売り」の三重苦が久々にやってきた格好。「75日線を割るところまで下げたのは昨年11月9日と一緒。24日にかけて切り返すようなら週足ベースで下ヒゲを引いていい形。配当権利取り派には格好の環境」という楽観論も聞かれないではない。

日経平均株価は414円安の19041円と大幅に3日続落。日経平均は2月9日以来およそ1カ月半ぶりの安値とおなり下落幅は昨年11月9日以降の「トランプ相場」のもとでの最大の下落幅。トランプ政権の政策への先行き不透明感から大幅安やストなった前日のNY株式市場の流れを引き継ぎ投資家心理が悪化したとの解釈。1ドル11円台の円高傾向も売り物を増加させた格好。
東証1部の売買代金は2兆6583億円と増加した。任天堂、全国保証、ニトリHDが上昇。三菱UFJ、三井住友FG、第一生命HD、T&D、トヨタ、富士重、マクロミルが下落。

23日(木):
NY株式市場はNYダウが続落。S&P500とNASDAQ総合指数は小幅反発とマチマチの動き。NYダウはナイキが足を引っ張った。前半は売り優勢の展開から持ち直した格好。上昇のけん引役はアップルだったとの声が聞かれる。大幅な値下がりを受けでの押し目買いとの見方もある。ただ市場の焦点はオバマケア改廃法案の修正案を巡る下院採決の方向。否決ないし採決延期となればトランプ政権の経済政策運営能力に対する信頼は揺らぐ構図は変わっていない。
もっとも最初からオバマ政策が円滑に進行すると見る向きは少なかった。やにわに議会運営を問われても困惑するのは政権も市場も一緒のように見える。

25日線(19386円)からは1.78%のマイナスかい離。75日線(19208円)からは0.87%のマイナスかい離。200日線(17645円)からは7.91%のプラスかい離。ボリンジャーのマイナス2σは19065円。マイナス3σは18904円でココは行き過ぎ水準となろう。マイナス1σが19225円だ。
一目均衡の雲の上限が19123円、下限が18919円でココを抜けると雲の下になる。勝手雲は明日白くねじれている。「明日の反発に期待するならば昨日の余韻で売られた場面は仕込み場面」という見方もある。勝手雲の上限19331円を明日抜けるかどうかの読みとなってこよう。サイコロは4勝8敗で33.3%。

松井証券信用評価損率速報で売り方はマイナス10.263%とさほど改善していない。買い方はマイナス5.708%と悪化。空売り比率40.1%と40%台だが何日続くかも売り方には課題だろう。
売り込みにくい背景は日経平均採用銘柄のPERが15.70倍まで低下したこと。EPSは1212円まで増加してきている。小さな記事に注目すればひとつは「5年ぶり対中黒字」の見出し。2月の貿易統計速報で輸出額から輸入額を差し引いた収支は1118億円の黒字。春節で抑えられていた輸出が反動で大幅増加になったとの解釈だ。しかし背景は電子部品の輸出増加。液晶など科学光学機器が48.6%増。自動車部品が55.1%増。悪くない。

もうひとつは「伸銅品需要、来年度1.2%増」の見出し。
2017年度の伸銅品需要は1.2%増の80万50トンの見通し。こちらも背景は自動車部品やスマホ向けの需要増。意外なのは住宅設備機器関連の需要の堅調推移。秋以降は東京五輪関連需要が期待できるという。足元を見ないで海外にかぶれていると見間違えるかも知れない。
中途半端な反発だった日経平均株価。戻りは前日の下落幅の1割だった。値上がり824銘柄、値下がり1037銘柄では売り優勢と解釈できよう。もっともNY株式の急落が尾を引かなかったともいえる。「3月末ということもあり押し目買い需要が潜在している」という声も聞こえる。

旧村上ファンド出身者が設立した投資法人エフィッシモ・キャピタル・マネージメントが東芝株の一部を取得したとの報道は興味深い。
空売り比率は38.7%に低下。日経VIも18.30とやや低下した。3月17日時点の裁定買い残は1354億円増の1兆805 億円。まだ邪魔するレベルではない。

日経平均株価は43円高の19085円と小幅反発。東芝、ファナック、第一生命、沢藤電、新川が上昇。任天堂、物産、スズキが下落。

24日(金):
NY株式市市場は3指数とも小幅下落。NYダウは6日続落となった。オバマケア代替法案の採決が延期されたことを嫌気したとの解釈。今後の税制改革やインフラ投資など議会の協力を必要とする他の政策の実行への懸念が台頭している格好。「24日の採決で否決されれば警戒感は拡大する」との声も聞こえる。10年国債利回りも一時2.375%まで低下した。株価の足を引っ張ったのはグーグルの持ち株会社アルファベット。ユーチューブの広告減少を嫌気した。
一方でアパレルのファイブ・ビロウやウォルト・ディズニーは上昇。今夜の採決と耐久財受注の発表が待たれている。

日経平均株価は177円高の19262円と大幅に続伸。円高一服で買い物優勢の展開となった。期末の持ち高調整の買いとの珍妙な解釈が聞こえる。東証一部の売買代金は2兆1455億円。値上がり1559銘柄。東芝、関電、塩野義が上昇。楽天、三菱電、ソフトバンクが下落。

(2) 欧米動向
NYダウは今月から上昇9年目に入る。
景気は6月に拡大局面9年目入り。
1940年代以降の金融政策と景気の動きへの調査。
FRBが利上げしてから平均33か月で景気は後退に転じているという。
今回は2015年12月に利上げがあったから33か月後は2018年半ば。
まだ先なのだが・・・。
そしてアメリカの家計に占める株式比率は昨年末に約40%。
第二次世界大戦後の平均が28%。
ITバブルの時が40%だった。
そういう意味での警戒感葉あるのかも知れない。
そもそもアメリカの景気けん引の主役は軍事―IT―不動産の循環。
これにバイオやインフラというのが副食となってきたのが歴史。
今回の景気はおそらくインフラとITがけん引するのだろう。

スポーツでも経済でもデータや記録が大好きなのが米国人。
21日に発表されたバンカメメリルの機関投資家調査。
株式を「割高」とする回答から「割安」とする回答を差し引いた数値は34%。
17年ぶりに高い水準まで上昇したという。
これが過熱感視され株価の下落につながったという取って付けたような解釈もある。
もっとも個人金融資産の株式比率同様にITバブルのころのような投資心理は機関投資家も一緒のようだ。

さらに興味深いデータは「S&P500が1%以上下落しなかった記録」。
2017年3月21日にマイナス1.24%で途絶えてしまった記録は110日。
95年5月18日に終わった記録が111日、57年2月29日に終わった記録が116日。
過去最高は1963年11月21日に終わった185日。
ケネディ大統領の暗殺とともに途絶えたことになる。
21世紀では2006年11月27日に終わった95日が記録。
今回は今世紀の記録を塗り替えたことになる。
1945年3月8日までの93日というのもあった。

(3)アジア・新興国動向

先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち10指数が上昇。
上位1位ベトナム週間騰落率1.63%、2位ロシア1.15%、3位メキシコ1.01%、
4位中国0.99%、5位タイ0.80%。
下位25位ポーランド▲2.71%、24位米国▲1.52%、23位南アフリカ▲1.43%、
22位日本▲1.33%、21位英国▲1.19%。

【展望】
スケジュールを見てみると・・・

27日(月):企業向けサービス価格指数、独IFO景況感指数、核兵器禁止に関する国連会議(NY)
28日(火):3月権利付き最終日、米CS住宅価格指数、CB消費者信頼感
29日(水):米中古住宅販売仮契約、英国のEU離脱通知予定
30日(木):米GDP確定値、IDB(米州開発銀行)年次総会(〜2日)
31日(金):鉱工業生産、消費者物価、有効求人倍率、米個人所得、シカゴ購買部協会景気指数、中国3月製造業PMI

機関投資家が気にする3月月中平均。
今年は先週までで19478円。
因みに昨年3月月中平均は16897円。
3月末値は16758円。
年間では約3000円の上昇。
悪くはないし問題にもしていない数字となっている。

日銀のETF買い。
先週は15日(水)前場のTOPIXマイナス0.36%で724億円買い。
16日(木)前場のTOPIXマイナス0.13%で724億円買い。
17日(金)前場のTOPIXマイナス0.47%で724億円買い。
3日連続だった。
21日(火)は前場のTOPIXマイナス0.1%でさすがに見送り。
でも3月6日(月)は前場のTOPIXマイナス0.28%で見送り。
3月3日(金)はマイナス0.18%で見送り。
となると16日(木)のマイナス0.13%で買ったのがイレギュラー感。
3月は8日だけしか買っていなかったからなのだろうか。
毎月5000億円が買い付けノルマの平均となる。
因みに予算的にはETF5兆7000億円。
新型ETFが3000億円、ETFが900億円。
因みに今年の買いは1兆3447億円。
昨年は累計4兆3820億円。
15年は3兆694億円。
14年は1兆2845億円。
13年は1兆953億円だった。
創設以来の累計は12兆6443億円。
REITは3747億円となっている。


(兜町カタリスト 櫻井英明)


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