2018年05月2週
《マーケットストラテジーメモ》05月02週
【推移】
【推移】
7日(月):
週末のNY株式市場で主要株価3指数は1%超の上昇。雇用統計で失業率が約17年半ぶりの低水準となる3.9%に低下。非農業部門雇用数が前月比16.4万人増と市場予想の19.2万人増を下回って着地。時間当たり平均賃金が前月比0.1%増で予想を下回る緩慢な伸びだったことを好感。
日経平均は週間では約4円の上昇で週足は6週連続陽線。4月27日時点の信用取引の買い残は前週比640億円減少の3兆3934億円。減少は3週連続。信用売り残は227億円減少の7638億円。
QUIck調査の4月27日時点の信用評価損率は▲8.93%(前週▲9.25%)と好転。
日経平均株価は5円安の22467円と小幅ながら続落。ドル円が一時108円台になったことからヘッジファンドの先物売りなどでの下落展開。ただ日銀のETF買い思惑から大引けにかけて下げ渋った。TOPIXは小幅に反発。資生堂、キッコーマンが上昇、コマツ、住友商事が下落。
8日(火):
週明けのNYダウは3日続伸。3年5ヵ月ぶりに1バレル70ドル台まで上昇した原油価格を受けて石油セクターが上昇。一方で原油高が収益減につながるとの警戒感から、小売株などが売られた。ウォーレン・バフェット氏が前週末に続いて「100%保有してもいい」と高く評価したアップルが連日の上場来高値更新。
日経平均株価は41円高の22508円と反発、2月5日以来約3ヶ月ぶりの高値水準を回復した。もっとも明日決算発表予定のトヨタは軟調だった。三菱商、武田が上昇。日電産、日産が下落。
9日(水):
NY株式市場は主要株価指数が下落からの切り替えして結局横ばいで引けた。トランプ大統領は米国が核合意から離脱し対イラン経済制裁を再開すると発表。
想定の範囲であり特にサプライズではなかったが、エネルギーセクターは上昇した。明らかにトヨタが主役だったが全体に波及できなかったところが水曜日の弱さだったのだろうか。もっとも東海カーボンや昭和電工が買われ横河電、曙ブレキが売られる展開は決算がメインという格好だ。
日経平均株価は99円安の22408円と反落。米国がイラン核合意からの離脱を表明。中東情勢を警戒した売り物優勢の展開。下落幅は一時140円を超える場面があった。
13時25分に発表した今期の業績見通しが市場予想を上回ったことからトヨタ株が上昇。為替が1ドル100円円台半ばで落ち着いていたことも投資家心理の支えとなった。
東証1部の売買代金は2兆9264億円。トヨタ、東海カ、ソフトバンクが上昇。マネ、任天堂が下落。
10日(木):
NY株式市場は上昇。米国のイラン核合意からの離脱表明を受け1日遅れで原油価格が大幅上昇。エネルギーセクターが牽引役となった。「悪いニュースで買うという典型的な流れ。投資家は過度に神経質になっていた」というのが後講釈だ。その象徴は金利。原油高→金利上昇を背景に10年国債利回りは3%台に乗せた。もっともVIX(恐怖)指数は13.42と1月26日以来の低水準となった。
日経平均株価は88円高の22497円と反発。積極的に上値を追う手掛かりには乏しかったがアジアの株式相場が上昇して市場心理を支えた格好。それでも22500円の壁がやや重かった。「加計学園獣医学部新設についての元首相秘書官の参考人招致「相場の上値を抑える要因の一つだった」という声が聞こえる。
東証1部の売買代金は2兆6308億円。トヨタ、東海カ、JXTG、武田薬が上昇。任天堂、東レ、ソフトバンクが下落。
11日(金):
NYダウは200ドル近い上昇。6日続伸で年初来高値水準まで戻してきた。NASDAQも70ポイント近い上昇で5日続伸。「消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回る伸びにとどまったことから年内の米利上げペース加速を巡る懸念が後退した」との解釈だ。
日経平均株価は261円高の22758円と続伸。2月2日以来、約3カ月ぶりの高値水準を回復した。前日のNY株高を手掛かりに投資家のリスク運用を取る姿勢が強まったとの解釈。日足の窓埋めとゴールデンクロスも材料視された。SQ値2万2621円77銭を上回ったことも好材料だ。TOPIXも続伸し1794ポイントと1800ポイントを捉えた。
東証1部の売買代金は2兆9302億円。東証1部の値上がり銘柄数は1325で全体の約64%。値下がりは696銘柄。 太陽誘電、千代建、ミネベア、東エレ、信越化が上昇。三菱マテ、楽天、スルガ銀が下落。
(2) 欧米動向
ドル円は109円台。
「中東リスクが本格化すれば、低リスク通貨の円やスイスフランが買われ、ドルの上値は重くなるはず」という声も聞こえる。
「世界経済の先行指標として定評のある韓国の輸出額が2016年以来初めてマイナスに転じた」というのも話題になっていた。
(3)アジア・新興国動向
世界の株式相場は主要25の株価指数のうち21指数が上昇。
上位1位ポーランド週間騰落率4.30%、2位ロシア4.13%、3位香港3.99%、
4位台湾3.13%、5位インドネシア2.84%。
下位25位タイ▲0.78%、24位トルコ▲0.73%、23位イタリア▲0.72%、
22位メキシコ▲0.56%、15位日本1.27%、8位米国2.34%。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・
14日(月):国内企業物価指数、イスラエルの米大使館がエルサレムへ移転予定
15日(火):第3次産業活動指数、米小売売上高、NY連銀製造業景況感、独ZEW景況感、中国各種経済指標
16日(水):1〜3月GDP、米住宅着工件数、鉱工業生産
17日(木):機械受注、太平洋・島サミット、米フィラデルフィア連銀製造業景況感、CB景気先行指数
18日(金):消費者物価
週末:英国ヘンリー王子挙式
水曜のヒーローはトヨタ。
午後1時25分の決算発表が一大イベントだった。
従来予想を上振れ着地で今期見通しもアナリストコンセンサスを上回るというサプライズ付き。
自社株買い5500万株のおまけまでつていた。
発表10分前からピクついていた株価は発表と同時に大陽線でプラテン。
「トヨタは大いなる材料株」として買われた、という表現も見られる。
証券マスコミ出身だと違和感がないのかも知れないが、市場出身者にはやや違和感。
もっともトヨタの材料株というのがシックリしないのは古い思考なのかも知れない。
解釈する人間の氏素性というのは結構影響があるものでもある。
とはいえ、日本最大の時価総額の企業の決算。
そのタイミングで世界経済や為替動向、需給動向にプライオリティはなかろう。
「夜間取引や海外ADR取引にいいところを持っていかれてしまうだけだった。
場中の取引に大いなる刺激を与えるという効果があった。
場中の発表がもっと増えるようなら商いも活気づくかもしれない」という声も聞こえる。
「金曜引け後に決算発表だと土日がゆっくり出来ない」というある上場企業トップの声が甦ってくる。
(兜町カタリスト 櫻井英明)