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2018年08月5週
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《マーケットストラテジーメモ》08月5週

【推移】

27日(月):
週末のNY株式は反発。S&P500は終値ベースの過去最高値を更新した。1月26日に終値ベースでの最高値を付けた後2月前半にかけて10%超下落。半年かけた最高値更新は「強気相場がなお続いている」との解釈につながる。

NASDAQも過去高値水準。ワイオミング州ジャクソンホールでの経済シンポジウムは通過。パウエルFRB議長は講演で「利上げを現状のペースで進める方針」を表明。トランプ大統領の「利上げは気に入らない」へのコメントはなかった。所詮避暑地でのバカンスなのだから材料視するには無理のあるイベントだ。

日経平均株価は197円高の22799円と5日続伸。投資心理は好転した。ただ商いは低調で東証一部の売買代金は1兆8434億円と7日連続の2兆円割れ。TOPIXは節目の1710ポイントを超えた。村田、任天堂が上昇。シャープが下落。

28日(火):
週明けのNY株式市場で主要指数は続伸。NYダウは259ドル高の26049ドルと2月初め以来約半年ぶりの高値水準を回復。「NAFTA再交渉で米国とメキシコが2国間で大筋合意。貿易摩擦への過度の懸念が薄れた」との解釈だ。
米国とメキシコが自動車関税撤廃でも原則合意に達したことからGMやフォードが上昇。金利の上昇傾向からゴールドマンなど金融セクターも上昇。投資心理の改善から資金はネットフリックスなどネット関連セクターにも向かった。

S&P500、NASDAQ、ラッセル2000はそろって史上最高値を更新。NASDAQは史上初の8000ポイント台乗せとなった。過去約20年では最も短い期間で1000ポイントの上昇を達成したことになる。

日経平均株価は13円高の22813円と6日続伸。安値引けながら火曜日は8週連続高NY株高を背景に寄り付き直後は何度か23000円を超えた場面もあったが超えきれずに上昇幅を縮小した。戻り待ちの売りに押されたとの解釈だ。TOPIXは3日続伸。東証一部の売買代金は8日ぶりの2兆円台復活。トヨタ、ファナックが上昇。ファーストリテイリング、資生堂が下落。

29日(水):
NY株式市場は上昇。S&P500とNASDAQは3日連続で終値ベースの史上最高値を更新した。メキシコとのNAFTAの再交渉の大筋合意への好感が継続。買い物優勢の展開となった。ただ利益確定の売りに押された格好で上昇幅は限定的。「投資家の注目はカナダとの交渉の行方にシフトした」という見方だ。カナダドルの上昇を見ればカナダとの合意への期待は為替面では出ている印象。

日経平均株価は34円高の22848円と7日続伸。後場はドル円相場がこう着し現物株売りが指数の上値を抑えた。ただ主力銘柄に買いが入り日経平均は前日比プラスを維持した格好。

日経平均が7日続伸するのは、2017年10月2日から24日までの16日続伸以来。決算銘柄の配当権利落ち日で日経平均型で影響度は約14円と試算されたが即日埋めた。東証1部の売買代金は1兆9682億円。三菱UFJ、ソニー、トヨタが上昇。ソフトバンク、ファーストリテが下落。

30日(木):
NY株式市場でNYダウは4日続伸。S&P500とNASDAQは4日連続で史上最高値を更新した。アップルは史上最高値を更新。モルガン・スタンレーがアマゾンとアルファベットの目標株価を引き上げたことがハイテク堅調の背景。アマゾンは3.4%上昇し時価総額1兆ドルを伺う勢い。1兆ドルを達成すれば米企業としてアップルに続いて2番目。

米国とカナダはNAFTA協議を再開。トランプ米大統領は「NAFTA再交渉について、米国とカナダは31日までに合意できる」とコメント。第2四半期のGDP改定値は年率換算前期比4.2%増と速報値の4.1%増から上方修正。2014年第3四半期以来の大幅な伸びとなった。

日経平均株価は21円高の22869円と小幅に8日続伸。8日続伸は昨年10月24日までの16連騰以来の長期上昇。一時23000円を上回る場面もあったが結局は伸び悩み。それでも3日間継続して高値水準を維持した。トランプ米大統領が北朝鮮との非核化交渉に関連して中国政府を非難する声明を発表したことも手控え材料になったとの解釈だ。

TOPIXは5日ぶりに小反落。TOPIXの浮動株比率変更に伴う売買で東証1部の売買代金は2兆円台。ファストリ、任天堂が上昇。テルモ、トヨタが下落。

31日(金):
NY株式市場で主要指数は5日ぶりの反落。トランプ米大統領が来週9月6日以降に2000億ドル規模の中国製品に対する追加関税を発動させる考えを示したことを悪材料視したとの解釈。しかしいきなり出てきた材料でなく「上げ疲れ」みたいなものだろう。「また週末のレーバーデー連休を控えリスク選好度が低下した」という取ってつけたような解釈もある。
とはいえアップルは過去最高値を更新。アマゾンは初めて2000ドル台で時価総額1兆円が見えてきた。個別では地合いは悪くない。NAFTAの再交渉はカナダと米国の3日目の協議が行われた。

日経平均株価は4円安の22865円と9日ぶりの反落。貿易摩擦懸念が再燃。下落幅は一時190円に達した場面もあった。ただ中国の製造業PMIが改善したことから下落に歯止めがかかった。ソフトバンク、ファーストリテが上昇。東エレが下落。日経平均は3週連続週足陽線、3ヶ月連続月足陽線。

(2) 欧米動向
「1950年以降、中間選挙がある年の9月は株が弱いというのがアノマリー。
NYダウは11回下落。下落率は平均で1.0%。
S&P500は9回下落で平均下落率は0.4%。
NASDAQが1971年以降で7回下落。平均下落率は0.8%。
2001年世界同時テロ、08年リーマンショック、11年は米国の債務上限問題など9月は警戒の月」。
そんな売り方的な声も聞こえる。

史上最高値を更新しているS&P500のEPSは172ドル。
年初の147ドルから17%の増加だ。
一方PERは18倍台前半→16倍台半ばに低下。
バリュエーションは高くないという証拠でもある。
年初からのNYダウの上昇率は5.44%、NASDAQは16%、S&P500は8.3%だ。
一方で日経平均株価のEPSは1728円まで増加。
年初の1519円から13.7%の増加。
PERは15倍台→13倍台。
同様に低下している。
もっともS&P500は史上最高値。
日経平均は年初来高値を上回れずどころか高値を5%下回った水準。
年初からはわずか0.21%の上昇だ。
「良いニュースの大きく反応し悪い話は材料しない」のがNY。
この逆が東京。
これが大きな差となっている。

(3)アジア・新興国動向

気になるのはロシアが9月に過去最大の軍事演習を行うこと。
極東やシベリアで約30万人規模の兵士、航空機1000機、戦車・装甲車3.6万台を投入。
一部の演習には中国軍も参加するという。
スケジュールは9月11日〜15日で名前は「ボストーク2018」。
ウラジオストックの国際会議(東方経済フォーラム)に合わせての開催。
コモデティの世界が話題にしそうな材料だ。
一方で米国はトルコとの軍事協力を推進。
あの「トルコショック」なるものは何だったのだろうか。

【展望】

キーワードは「ジ・ジ・イ」との見方。
「ジ」は自民党総裁選そして中国の「人民元」。
そして「イ」はインフレ。
自民党総裁選でアベノミクスが継続。
その前提として票集めのための政策が登場。
人民元安は止まり、アメリカはぬるま湯を継続する。
「ジジイ」はそんなに難しいことではない。
「永遠のレンジ相場は起こり得ない」という市場関係者の指摘は正しい。


スケジュールを見てみると・・・

3日(月):3日新甫、法人企業統計、新車販売台数、米レーバーデーで休場、中国アフリカ協力フォーラム北京サミット(〜4日)
4日(火):マネタリーベース、米ISM製造業景況感、建設支出
5日(水):米貿易収支
6日(木):米ADP雇用レポート、製造業受注、ISM非製造業景況感、2000億ドルの追加関税に対する意見募集期限
7日(金):家計調査、景気動向指数、自民党総裁選告示、米雇用統計


30日(木)JPX400定期見直しのリバランス
31日(金)欧州最大の家電見本市「IFA」(ドイツ・ベルリン)

【9月】
3日(月)NY休場(レイバーデイ)、変化日
4日(火)株安の日
6日(木)土星順行開始、株安の日
9日(日)北朝鮮樹立70周年、スウェーデン総選挙
11日(火〉イスラム・ヒジュラ暦の新年
12日(水)ベージュブック
13日(木〉ECB理事会、変化日、株高の日
14日(金)メジャーSQ
15日(土〉米リーマンショック10周年
17日(月)敬老の日で休場
18日(火)日銀金融政策決定会合(〜19日)、上げの特異日
19日(水)変化日、株高の日
20日(木)東京ゲームショー(〜23日)幕張、自民党総裁選予定、株安の日
21日(金)NYメジャーSQ、FTSE定期見直しのリバランス実施
24日(月)秋分の日の振替休日で休場、株安の日
25日(火)FOMC(〜26日)、ECB理事会、変化日
26日(水)写真・映像見本市「フォトキナ」(〜29日、独ケルン)、株安の日
27日(木)株高の日
30日(日)安倍自民党総裁任期満了

(兜町カタリスト 櫻井英明)


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