2018年11月2週
《マーケットストラテジーメモ》11月2週
【推移】
【推移】
5日(月):
週末のNY株式は4日ぶりの反落。悪役は前日業績見通しが失望を誘ったアップル。6.6%の下落となり終値ベースで時価総額が1兆ドルを割り込んだ。カドロー米国家経済会議(NEC)委員長はCNBCテレビに登場。「トランプ政権が当局に対中貿易協定案の策定を指示した事実はない」とコメント。米中貿易摩擦への楽観論を打ち消した。
週間上昇率はS&P500が2.4%、NASDAQが2.7%。週間上昇率は5月以来の大きさ。NYダウも2.4%、6月以降で最大となった。雇用統計は非農業部門の雇用者数が25万人増で着地。市場予想の19万人増を上回った。失業率は労働参加率の上昇にもかかわらず49年ぶりの低水準となる3.7%を維持。賃金の伸びは9年半ぶりの高水準となった。
日経平均株価は344円安の21898円と大幅反落。米中貿易摩擦に対する楽観が後退した。ファーストリテがマイナス寄与度100円というのが効いた。ソフトバンク、東エレが上昇。NTTデータ、TDKが下落。
日銀は今月2回目のETF買いを行った。あと年末までの枠は10回。さあどうするという局面でもある。
6日(火):週明けのNYダウは190ドル高と反発。「IBMやシェブロンが買われ2銘柄でダウ上昇寄与度58ドルと指数を支えた」との解釈だ。ただ中間選挙を控え様子見姿勢は強い。アップルは相変わらず軟調。先月発売した新型iPhoneの量産モデル「XR」の増産を中止したことが明らかになったことを悪材料視。
時価総額はほぼ3カ月ぶりに1兆ドルを下回り1銘柄でダウ平均を40ドル近く押し下げた。2日間での下落率は9%。2013年1月以来5年9ヵ月ぶりの大きさとなった。ナスダック総合株価指数は続落。原油先物は6日続落。VIX(恐怖)指数は19.90。SKEW指数は115.73と低下し今年最低水準。
日経平均株価は248円高の22147円と反発。△▲△の流れだ。上方修整と自社株買いを発表したトヨタは一時3%超の上昇となった。ファナック、ファーストリテが上昇。東エレ、JTが下落。
7日(水):
NY株式市場は堅調展開。主要3指数は揃って小幅に上昇した。ダウ輸送株指数とSOX指数も上昇。中間選挙の投票日で積極姿勢は見られず方向感は希薄だが上昇基調。
「投資家は選挙結果がこれまでの不透明感を払拭し、株式市場に幾分の安心材料を与えることを期待している」という解釈だ。 中国の王岐山国家副主席が「貿易問題の解決に向けて米国と協議を行う用意がある」と表明したことは好感された。
11月2日時点の信用買残は前週比1421億円減の3兆38億円。信用売残は50億円減の7153億円。6週連続減少で2016年9月以来の低水準。10月23日以降11日連続の13倍台割れとなっている。EPSは1757.76円と過去最高を更新。
日経平均株価は61円安の22085円と反落。米中間選挙の結果、上院は与党・共和党、下院は民主党が過半数を握る「ねじれ議会」となる見通し。トランプ米政権による経済政策の審議が滞るとの解釈で引けにかけてマイナス転換した。
SQ週の荒れる水曜日といった印象だ。東証1部の売買代金は概算で3兆1154億円。ファーストリテ、NTTが上昇。ダイキン、京セラが下落。株安の特異日かつ荒れるSQ週の水曜日。
8日(木):
中間選挙を通過したNY株式は大幅高。NYダウは500ドル超、NASDAQは200ポイント近く、S&P500は50ポイント超の上昇となった。テクノロジーやヘルスケアセクターを中心に幅広い銘柄が上昇。「中間選挙の結果を受け、ねじれ議会が株式市場を支援するとの見方からの安心買い」との解釈だ。「ねじれ議会となることで、トランプ政権は追加減税など新たな法案の通過が難しくなるとみられる。
しかし投資家はすでに成立している減税策や規制緩和が巻き戻されることはないとみている」。与党が下院で負けても「安心感」というところにワシントンとNYの奇妙さが表現されているのだろう。
Qucjk調査の11月2日現在の信用評価損率は▲10.44%(前週は▲16.07%)と2週ぶりの改善。空売り比率は45.4%と27日連続の40%超。裁定買い残は184億円増の1兆799億円。5週ぶりの増加。裁定売り残は1152億円増の5017億円。4週連続増加。
日経平均株価は401円高の22486円と大幅は反発。ただ22500円を前に上値の重い展開となった。スルガ銀、ユーシンが上昇。ファナック、浜ゴムが下落。日経ジャスダック平均が続伸、東証マザーズ指数は2%超の上昇となり5日続伸。日経平均の日足は陽線で鯨幕継続。13日ぶりに200日線を上回り21日ぶりに25日線を上まわった。52週線も3週間ぶりにクリア。
9日(金):
NY株式市場はNYダウが小幅上昇、NASDQAQとSP500が反落とマチマチの動き。前日の上昇への反動からか静かな動きとなった。FOMCの声明は「力強い雇用の伸と個人消費を背景に経済は成長軌道を維持している。企業投資は今年に入ってからみられた速いペースからは緩やかになった」。ほぼ予想通りでの着地だった。
日経平均採用銘柄のPERは12.6倍。EPSは1780.44円と連日の過去最高更新だ。
日経平均株価は236円安の22250円と反落。上海株式相場の下落を背景に中国関連銘柄が下落をけん引。ファナックが売買を伴って下落し日経平均を36円押し下げた。円相場は1ドル=114円水準まで下落したが輸出関連セクターへの買いは少ない展開。
東証1部の売買代金は2兆5967億円とSQ当日にしては薄商い。日東電工が上昇。資生堂、千代建が下落。
(2) 欧米動向
来年のダボス会議は1月22〜25日。
統一テーマは「第4次産業革命時代に形成するグローバル構造」。
IoT、AI、ビッグデータに加えサイバーテロなどが課題になる。
16年の「第4次産業革命をマスターする」以来のテーマだ。
トムソン・ロイターの調査。
S&P500採用銘柄の2018年第3四半期決算は前年同期比27.1%の増益見通し。
エネルギーセクターを除いた増益率は23.8%の見込みだという。
第3四半期決算を発表した376社のうち、利益がアナリスト予想を上回った企業の割合は77.9%。
長期平均の64%、過去4四半期平均の77%を上回った。
第3四半期の売上高は8.0%増加する見通し。
売上高がアナリスト予想を上回った企業の割合は60.6%。
長期平均は60%だが過去4四半期平均は73%だ。
第4四半期の1株利益について、悪化もしくは市場見通しを下回ると予測している企業は37社。・
改善もしくは市場見通しを上回ると予測した企業は20社。
S&P500採用銘柄の今後4四半期の予想PERは15.8倍。
一方で日本の企業業績。
最高益水準は続くが「期待値には遠ざかっている)と指摘される。
7四半期連続での2ケタ増は直近7〜9月期は0.5%増。
4〜9月期で5%増とブレーキ。
ちなみに中国企業の7〜9月期の増益率は7%。
アメリカ一人勝ちの構図というのは、どちらかが間違っているハズ。
おそらくアメリカの数字が正しいのだと読みたいところだ。
(3)アジア・新興国動向
先週の世界の株式相場は主要25株価指数のうち9指数が上昇。
上位1位米国週間騰落率2.84%、2位ポーランド1.57%、3位オーストラリア1.27%、
4位スイス0.91%、9位日本0.03%。
下位25位香港▲3.34%、24位ブラジル▲3.14%、23位中国▲2.90%、
22位メキシコ▲2.60%、21位フィリピン▲2.40%。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・
12日(月):国内企業物価指数
13日(火):米財政収支、独ZEW景況感
14日(水):7〜9月期GDP、米消費者物価、独GDP、中国鉱工業生産、小売売上高
15日(木):首都圏マンション販売、米小売売上高、NY連銀製造業景況感、フィラデルフィア連銀製造業景況感
16日(金):米鉱工業生産、対米証券投資
【11月】
12日(月)米ベテランズデー振替
13日(火)MSCI定期見直し(半期)の発表、株安の日
14日(水)金星順行開始、株高の日
15日(木)変化日
16日(金)広州モーターショー(〜25日)
17日(土)水星逆行開始
21日(水)変化日、株高の日
22日(木)米サンクスギビングイデーで休場、株高の日
23日(金)勤労感謝の日で休場、米ブラックフライデーで半日立会い、
25日(日)海王星順行開始
26日(月)「11月3連休明けは株高」の特異日、米サイバーマンデー、
27日(火)変化日
28日(水〉株高の日
30日(金)G20首脳会議(〜1日、ブエノスアイレス)
1896年以降、30回の中間選挙では翌年のS&P500は平均14.3%の上昇。
それ以外の年の8,4%を大きく上回っている。
経験則は「中間選挙後の株高」。
下院の多数政党が変わった翌年は1.9%の上昇。
変わらなかった場合は16.8%の上昇。
因みに・・・。
過去の経験則では中間選挙がある11月から翌年3月までは株価が上昇する傾向。
NYダウは1956年以降平均で11%上昇。
日経平均も71年以降で平均9%上昇。
(兜町カタリスト 櫻井英明)