みちしるべ 17年10月23日号
《Eimei「みちしるべ」》
(10月23日から10月27日の週)
市場の歴史に遭遇している。
先週までの日経平均14連騰は過去タイ記録。
そして15日連騰が新記録だ。
でも感動や驚きは少ない。
淡々と時間が流れて株価指数だけが微増。
面白くないことこの上ないが、下がるよりはマシといった感覚。
これが良くない。
市場では投資家は主人公になりたいものだし、驚きも欲しいものだ。
日経平均は10月負けなしの14連勝。
週間では約302円(1.4%)の上昇で6週続伸(累計11.3%上昇)。
週足では3週連続で陽線。
TOPIXは1.3%高、6週続伸(同8.6%上昇)。
新興市場は相対的な選好が弱まり東証マザーズ指数は1.2%安で2週ぶりの反落。
日経ジャスダック平均は1.2%安、6週ぶりの反落。
東証2部指数は0.5%安、4週ぶりの反落。
25日線(20652円)からのかい離はプラス3.9%(前日プラス4.1%)。
直近は1日70円以上の上昇をしないと乖離率は低下する。
200日線(19645円)からのかい離は9.2%。
プラス10%(21609円)を超えてくれば「上昇加速」と見たい。
日経平均採用銘柄のPERは15.00倍でEPSは1430.51円。
「衆院選の投開票日までは高い」が相場のジンクスだったが与党圧勝の場合開票後も上昇相場が続いてきたのが歴史。
安川電機の決算発表から本格化する決算発表シーズン入りも追い風となろうか。
日経平均想定レンジ
下限21500円(心理的節目)〜上限22666円(96年バブル崩壊後戻り高値)
株式市場は些細な枝葉末節ではなく大きな流れが登場しているのかも知れない。
世界株高で史上最高値更新という市場がたくさん出てきた。
日本株でさえも高値の半分程度とはいえ20年以上ぶるりの復活感。
ファンドの収益は今年は上がっていないからの動き。
企業業績を先取りした動き。
世界の経済成長が背景。
さまざまな分析がある。
しかし、もっと大きな流れと考えたほうが良いだろう。
世の中が大きく変わる前哨戦が株式市場で繰り広げられている。
それは第5次産業革命とでもいうようなもの。
AIやロボットが人間の生活を大きく変えてくるのは間違いない。
そして地政学の流れ。
北朝鮮の突出した愚かしい行動が欧米アジアの地政学を変えてくる可能性はある。
だからこその株高。
そう考えれば連騰記録なんて所詮一里塚。
その先を見据えることの方が必要だろう。
起こってきたことは2008年のリーマンショックによる主役の後退と考えてもよかろう。
電気や自動車、代表的なのは金融という従来勢力からITを中心とした新興勢力への主役の変化。
だからこそリーマンショックという荒療治が象徴的に必要だった。
あながち間違ってはいないような気がする。
歪んだ指数の日経平均に退場宣告と言う訳でもなかろうが・・・。
TOPIX先物が来年第1四半期のCMEに上場するという。
国際的認知度が高まれば商いの盛り上がりも想定できる。
何より「変な指数」の日経平均離れができる可能性が出てきた。
日経平均がCMEに上場したのが1990年。
そこでバブルが崩壊したのは記憶の彼方の事実。
ようやく代替商品が登場し主役の座が変わる可能性は評価したい。
そして、先物の上場は間違いなく現物指数を当初は押し上げたのが歴史。
ここに期待すれば来年第1四半期のTOPIXは期待感大となる。
奇妙なのは北朝鮮の沈黙。
米韓合同軍事演習で米軍の戦略兵器が集結している。
「予想外の時間に想定外の打撃への直面を覚悟」とブラフはある。
しかし行動はない。
従前ならロケットとか実験とかを行って威嚇してきたもの。
中国共産党大会に祝電を送っているのだから、その間はお休みなのかも知れない。
あるいは、年末にかけての動きを対話に持ち込もうとしているのかどうか。
いずれにしても衆院選挙期間中にロケットは打たれずに済んだ。
1950年台後半のアメリカの対日要求は「軍備力保有」。
32万人の軍を要請したという。
しかし吉田政権がこれを蹴っての自衛隊。
そして憲法との矛盾。
その総決算が実は今回の総選挙だったのかも知れない。
その意味では大きな変化の兆しでもある。
スターリンは実は毎晩ビクビクしていたという逸話は実に興味深い。
今後企業を見る視点に追加したいのは「製造力」というキーワード。
戦後高度成長を牽引してきたのは間違いなく「製造能力」だった。
いいものをどれだけ早くたくさん作れるか。
マーケッティングの世界では「個」が重視されるようになって久しい。
しかし世界景気が先進国の思惑で進まずの発展途上国の成長に依存するならば必要なのは品物。
そのために必要なのは製造力。
実は研究室ではなく現場に未来があるような気がする。
ということは・・・。
企業の持つ内部留保のマネーが使われていないなんて議論はいずれナンセンスになろうか。
挙句の果てに「今の大企業経営者は70年台の学生時代はノンポリ。
リスクを取らない優等生が多かった」。
「我が国の経営者にアニマルスピリットをいかに取り戻すか。情けないことに」。
ちょっと前の団塊世代の経営者だってリスクは取らなかったように思えるのは気のせいだろうか。
気骨があったのは昭和ヒトケタ世代までだったのかも知れない。
(兜町カタリスト 櫻井英明)