みちしるべ 17年12月18日号
《Eimei「みちしるべ」》
(12月18日から12月22日の週)
株式市場は視点を近くに置いて足元の事柄ばかりを気にする世界。
だから日替わりメニューの目眩ましに幻惑される。
市場のベクトルの根本は世界の金融動向と規制の強弱と決め打ちすれば、瑣末な海外事情に右往左往しなくなるだろう。
重要なのは視点の時間軸の頂点ということになる。
何十年も相場を見てきて感じるのは未来永劫に続く好材料も悪材料もないということ。
目先しか見ていない輩の方が声が大きいことが多いからそれに引きずられる。
自分の視点がないから、他律他動的な相場観になってしまうのだろう。
これは敵の思う壺。
先週のエルサレムなんて今は誰も言わないし、アラバマ州上院補選もいずれ忘却の彼方だろう。
「ブレないこと」は難しい。
しかしブレないところに本質があると考えればブレないことは重要だ。
フランスの哲学者アランの言葉は「遠くを見よ」。
兜町の視点だけでなく、ウォールストリートやシティの視点だけでなく地球鳥瞰のような目を持つべきだろう。
一方で「脚下照顧」というのは比叡山延暦寺の根本中堂に掲げられた言葉。
「自分の足元をよくよく見よ」という意味の前の言葉。
「他に向かって悟りを追求せず、まず自分の本性をよく見つめよ」という戒め。
他に向かって理屈を言う前に、まず自分の足元を見て自分のことをよく反省すべき。
あるいは「足元に気をつけよ」の意。
ここまでの高尚さを持っていれば良いのだろうが・・・。
米共和党の指導部が決めた税制改革の最終法案。
連邦法人税率を2018年に35%→21%に引き下げ。
減税規模は10年で1.5兆ドル(約170兆円)。
金額ベースで過去最大の見込み。
この減税で1株当たり利益がアマゾン・ドット・コムは24%、フェイスブックとグーグルも8%上昇。
フォード・モーターは20%近く高まるとの試算。
トランプ大統領の初めてのクリスマスプレゼントは最高との声。
日経平均想定レンジ
下限22590円(12月メジャーSQ値)〜上限23382円(11月9日高値)
日経平均に対する興味深い分析。
今年4月の日経平均の安値は前年末比▲4%。
アベノミクススタートの2012年以来の平均は▲7.4%。
2000〜2011年の平均下落率は▲20%。
アベノミクスは「押しの浅い相場」という解釈だ。
今のところは前年末比約20%の上昇。
6年連続上昇はバブル期以来のことになる。
「押しの浅い相場は相場」という格言もあった。
日経平均の足元の試算。
2017年
1ドル110円1ユーロ130円の場合
PER14倍で22300円、15倍で23900円、16倍で25400円。
2018年
1ドル110円1ユーロ130円の場合
PER14倍で23700円、15倍で25400円、16倍で27100円。
1ドル120円で1ユーロ140円ならPER16倍で28400円。
年末23000円で上昇率が年間限界値の20%ならば27600円。
28000円が2018年に見えても不自然ではなくなってきた。
因みにこの試算の前提の日経平均採用銘柄のEPSは2017年1600円レベル。
2018年は1700円レベルだ。
2018年米投資雑誌バロンズ推奨10銘柄。
アルファベット、米デルタ航空(この2社は昨年も推奨10社に選ばれていた)
投資会社バークシャー・ハザウェイ
独自動車大手、フォルクスワーゲン
石油・天然ガス採掘会社パイオニア・ナチュラル・リソーシズ
半導体製造装置アプライドマテリアルズ
石油・ガス輸送サービスエンタープライズ・プロダクツ・パートナーズ
金融サービスアライ・ファイナンシャル、
医療保険大手アンセム
食品サービスUSフーズ・ホールディング。
(兜町カタリスト 櫻井英明)