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みちしるべ 18年04月09日号
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《Eimei「みちしるべ」》

(4月09日から4月13日の週)

情緒と数字で揺れ動くNY株式市場。
三国志のように人間心理を読むほうが良いのかも知れない。
しかし、究極的に株価は本来、景気と業績に帰着するもの。
浮沈する心理に演繹的に付和雷同するのではなく足元の個別企業の数字からの帰納こそ必要な時期だろう。

日経平均想定レンジ

下限21395円(3月月中平均)〜上限22659円(2月5日マドあけ水準)

「早耳の早耳だおれ」という格言がある。
「情報を早く得た者が相場で成功するとは限らない」という意味の格言だ。
「情報をいち早く得て争いに参加して、その情報をもとに投資を行っても損をすることが多い」という意味でもある。
現在は、インターネットの発達でだれもが素晴らしい情報環境を手に入れることができつつある。
しかしその行く先は「一分一秒を争う戦い」。
「情報の早さの争いに参加するよりも、その情報が大局上昇相場もしくは下落相場へつながるものなのか。

これを見極める力は必要」という声がある。
換言すれば「スピードを競わずに、質を競え」になる。
体力を鍛えずに脳トレを繰り返すのが本筋でもあろうか。
ギリシャ神話に「王様の耳はロバの耳」という話もある。
本当の事を言うことの大切さと人に対する寛容さを説いた寓話だ。
しかし相場に置き換えるとどうなるだろう。
耳でも目でも口でも自分で見ることは絶対にできない。
日銀短観の中身だって、雇用統計の個別像だって自分では絶対に見ることは不可能。
それでも市場は、これらの自分では絶対に確かめることの出来ない指標を用いてアレコレ詮索する。
しかもロバの耳と違って、どこが正しくどこが間違っているのかを確かめることは出来ない。
それで相場を生き抜くことはかなり難しいような気がする。
「カミソリと鉈」として考えることも重要かも知れない。
カミソリはスパッと切れる。
ナタはザクッと切れる。
見た目はカミソリの方がナタよりも鋭く切れる。
しかしカミソリの方が切れ味が良いかというと、そうとは限らない。
「長もちし大成しようと思うなら、目先を追って小回りを利かすよりも、肚をすえてどっしり構える」。
「分かったような気になったり、分かったふりをするのは、間違いのもと」というのは身に染みる言葉だ。

米国の2月の貿易収支。
赤字額は前月比1.6%増の575億9100万ドル。
金額ベースで2008年10月以来、9年4カ月ぶりの高水準だった。
市場予想は約568億ドル。
ただ、対中赤字は大きく縮小。
2月はモノの赤字が08年7月以来の高水準となった。
サービスの黒字額は12年12月以来の低水準。
赤字額は6カ月連続増加。
対中のモノの貿易赤字は18.6%減の292.62億ドル。
輸出が横ばいで輸入が14.7%減少した。
一方、メキシコとの貿易赤字は46.6%と急増。
「経済が底堅く成長すれば輸入増につながる。
トランプ政権が打ち出す1.5兆ドル規模の減税で貿易赤字が拡大する」。
ある意味パラドックスでもある。
因みに対米黒字のトップは中国、2位がドイツ、3位がメキシコ。
日本は4位だ。
27日のトランプ大統領とメルケル首相の会談は注目されようか。

興味深かったのは、先週のロイターのコメント。
「日米金利差が3%を超えれば、ドル高/円安に振れるのか」。
3月29日の参院財政金融委員会で、麻生財務相は「少なくとも米国金利がいま2%台で、こっちはゼロ。
限りなく3%に近いところまで来ている。
これまでの長い、数十年間の歴史をみると、日米の金利差が3%ならドル高/円安に振れる」と答弁。
この読みが正しいのかどうかは別だが、過去の事例は面白い。
日米10年国債の名目金利差は80年台前半には6%以上に開いいていた。
4%半ばまで開いた90年代半ばから98年ごろにかけてはドル/円は円安トレンド。
伝統的に日本と米国は平均して2%程度のインフレ格差がある。
2%以上金利差が開けば実質金利でも米国の方が優位となるからドル高傾向だ。
しかし99年夏ごろから2000年にかけては、日米金利差は4%後半まで拡大。
ドル/円は120円台から101円台まで下落した。
当時はITバブルの真っ最中。
「株買いの円買い」がお題目だった。
結局金利が株式に与える影響は一方向ではないし為替も同様。
その都度、都合の良い解釈で移り変わる。
つまり核心ではないと言えるのかも知れない。
それよりはマーケットシナリオや市場心理、あるいは資金動向や需給を見るほうが良いとも言えよう。

(兜町カタリスト 櫻井英明)

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