話題レポート
《Eimei「みちしるべ」》
(10月09日から10月12日の週)
9月28日現在の信用買残は158億円減の2兆7815億円。
信用売残は1382億円減の9291億円。
もちろんつなぎ売りの解消もあっただろうが踏み上げも結構あった印象だ。
9月28日現在の裁定買い残は4342億円と大幅増加で2兆5628億円。
同裁定売り残は192億円増の3794億円。
日経平均のPERは13.79倍でEPSは1748円。
今年というか過去最高を更新してきた。
決算発表佳境の前に1800円台乗せの可能性も出てきたということから目を背けないことが肝要だ。
「押し目買い吹き値売り」のスタンスに軍配が上がりそうな気配。
日経平均想定レンジ
下限23582円(9月20日安値水準)〜上限24500円(心理的抵抗水準)
週末5日に開催された「未来投資会議」。
来年夏までに今後3年間の工程表を含む実行計画をまとめた。
ポイントはやはり「第4次産業革命」。
AIとITが主役だ。
ポイントは日本経済の強化という点を見逃してはいけない。
労働生産性は持続的成長のために必要。
そしてAIもロボットも労働生産性の向上に必要なのである。
フィンテック分野のスマホでの送金が労働生産性かどうかは微妙だが・・・。
この成長戦略の中身はいずれ相場の材料になってくる。
日経朝刊の特集は「通説を疑え」。
水曜は「製造業は稼ぎ頭は本当?」だった。
数字で言えば19年3月期の経常利益は24兆円。
08年3月期を2.5兆円上回る見通し。
しかし非製造業の経常利益は26兆円。
リーマンショック前を10兆円上回る。
明らかに非製造業の時代だ。
輸出を見据える製造業、内需に軸足を置く非製造業の構図は内需に軍配があがる。
わざわざ外へ出ていかなくても、来てもらえばいいだけのこと。
戦いの要諦は相手の陣地で戦わず自分の陣地で戦うということになる。
そして木曜は「円高だと減益は本当?」。
過去20年に年間で円高ドル安に振れたのは11回。
そのうち上場企業が最終減益になったのは99年、08年、11年の3回。
08年はリーマンショック、11年は東日本大震災だったから実質は99年だけ。
つまりアレコレ騒ぐ割には為替動向はほとんど影響がないということになる。
それはそうだろう。
過去20年という時間軸になっているが、昭和バブルまでは「円高株高」だった。
景気停滞で内需が悪化し輸出に頼らざるを得なかったから為替がクローズアップされただけのこと。
しかもFXの個人取引が可能になったのが確か98年。
業者の思惑に乗った「為替の重要視」に乗らされたと言えなくもない。
繰り返しになるが「通貨が売られて滅びる国はあるが、通貨が買われて滅びる国はない」のである。
通貨危機で登場するのは常に「自国通貨安」であることを忘れてはいけない。
「増資で売り」というのも通説。
1株あたり利益が希薄化するというのがその根拠だ。
しかしバブル期までは「ファイナンス銘柄」といって持て囃されたもの。
将来に対する成長計画に則って資金需要があるのだから本来は悪くない。
「円高株安、増資株安」という発想が薄れてくれば東京市場もさらに元気になれるような気がする。
(兜町カタリスト 櫻井英明)