話題レポート
《Eimei「みちしるべ」》
(10月22日から10月26日の週)
結局「売りたい人が多かったから安かった。買いたい人が増えたから戻した」というところだろうか。
原理原則を考えれば「ナニワのことは夢のまた夢」。
現実に即して市場のことは考えるべきであって決して夢ではない。
「魔物が棲む10月」なんてことに騙されてはいけない。
ちなみに・・・。
1950年以降、NYダウの11月から翌年4月までの平均上昇率は7%超。
4月から10月までの上昇率は0.5%未満というのが歴史。
バイロンウォーン氏は下落の最中に「今回の動きは強気相場の調整。
年末にS&P500は3000ポイントに向かおう」とコメントしていた。
GSは「S&P500の強いファンダメンタルズは、市場の売りが限定的であることを示している。
S&Pの調整は通常5%程度。
1928年以降、71営業日に1回は5%下落の調整があった。
10月11日時点で5%下落していたが既に69日経過していた。
日柄と値幅を考えればそれ以上の下落の可能性は低かった」。
とはいえS&P500の年末予想の1850ポイントというのはショボイが・・・。
日経平均想定レンジ
下限22313円(10月SQ値)〜上限23373円(10月10日窓開け水準)
「グーグル、アプリ有料化」との記事。
これが欧米系企業のビジネスの本質という気がする。
最初は無料、あるいは規制緩和等で自由な展開。
しかし、それで弱いところが消えてきて高シェアになってくると変身してくる。
世の中にタダほど怖いものはないということだ。
EUは精神構造がアメリカと一緒だから、すでに脅威を感じて諸々の制裁を貸している。
しかしこの国にそんな発想はない。
位置情報もメールアドレスも裸のままで「データを見られている」なんで発想はない。
しかし、この無料ビジネスによるデータ収集は世界では脅威となっているのが現実。
1月に本格協議に入るという日米貿易交渉の中身は為替と農業。
市場開放、関税引き下げを求められれば応じてくるのだろう。
しかし、アップフロントでの安い農産物を許容すれば、いずれ、高い農産物や農薬などの副産物に移行するシナリオ。
本丸は車と見せかけて実は農業や医薬品がターゲット。
もしそうであるなら零細農家を守るということだけでなく消費者を守るという発想が必要だろう。
そういう意味でTPPをやめたトランプ大統領は米各業界にとって「手に負えない」存在。
一方でそれ以上の協定を締結してくれるならば、業界からは称賛の嵐。
そういう綱渡りをしているのがトランプ政権という見方も必要かも知れない。
「双子の赤字」という懐かしい言葉が登場してきた。
米国の財政赤字と貿易赤字の2つの共存のことだ。
17年のモノの貿易赤字は1962億ドルと9年ぶりの悪化水準。
18年の財政赤字は減税の影響もあり1兆ドル超の赤字見通し。
「双子の赤字は米経済のバランスが欠けていることを示している。
市場にゆがみをもたらす」は教科書的解釈。
1980年代のレーガン政権時代に起こった「双子の赤字」。
もたらしたのは85年の「プラザ合意」での円高。
それに伴うカネあまりでのバブル。
うなだれた米国と胸を張る日本という構図が甦って来る気がしてならない。
(兜町カタリスト 櫻井英明)