みちしるべ 18年12月17日号
兜町カタリスト『櫻井英明』が日経平均株価や株主優待、投資信託、NISAなど幅広く紹介していきます。企業訪問を中心により密着した情報も配信中です。
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話題レポート
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《Eimei「みちしるべ」》
(12月17日から12月21日の週)

10月は米金利上昇で株下落。
11月は米金利下落で株下落。
金利が上がっても下がっても株下落の構図は変わらないというのは異常な世界に移る。
金利上昇株下落というのが古典的学問チックには正しい減少。

しかし市場では金利上昇株上昇がしばしば起こるからややこしい。
週末の新発10年国債利回りは0.025%と7月以来の水準に低下。
日本経済は成長しないということの傍証だ。
とはいえ政府の成長見通しは下方修正とはいえ1.3%のプラス。
経済は1%成長するのに金利は1%に届かない。
これを助長しているのは国の借金負担の軽減というのは明確だ。
これは土曜の日経朝刊1面でも指摘されている。
「日本はGDPの2倍を超える借金を抱え財政健全化するには消費税を10%に上げるだけでは足りない」。
しかし本当にそうなのかどうかは誰もわからない。
お題目は正しくても各論はそうでもない。
消費税を上げずに、消費を活性化すれば、法人税は増収になる。
付帯して消費税も増収になる。
「骨太の方針課題に取り組めないなら、何のため、誰のための長期政権なのか」。
小賢しげに問われても「では、骨太の方針に取り組めば経済は活性化するのか。
人生100年計画は安心になるのか」というアンチテーゼが待っている。
誰も指摘しないが、本来望まれているのはデフレ脱却なんてものではなくインフレ。
金利が3%を越えたときの日本経済の成長度合いのシミュレーションが見たいものだ。

その日ぐらしになってはいけないと思いつつもどうしてもその日ぐらしになってしまう傾向。
上がれば元気、下がれば意気消沈。
確固とした明確な目標があるのだから、関係ないとすればよいのだがどうしても引きずられる。
「日々の値動きに惑わされてはいけない」。
そう言いつつも惑わされ悩まされるのが相場。
それではいけないのだが、しかしその積み重ねが相場でもある。
デモーニッシュ(悪魔的)な材料が爆弾のように散りばめられた相場。
エンゼル(天使)ではなく、サターンが支配する市場という気がするのも悪い傾向。
相場は思った方と逆に動くもの。
頭でわかっていても体が理解していない。
タイミングをすかすというのはスポーツも同様。
でも体がついて行かない。
これもいけない傾向だ。
「こんなはずはない」のではなく「こんなハズ」なのだ。
人間の行うことだから所詮限界があるのも相場。
人工知能が出てきたとて変わりはしない。
所詮、人間の世界で人間がうごめいているのが相場。
デモーニッシュを感じるのは自分の思考と相場観のあり方次第。
そう考えれば、サターンも消えていくに違いない。

大納会まであと9日。
課題は19日の勝手雲の黒いねじれと26日の株高の得意日。
ソフトバンクの通信小会社が上場するIPOラッシュ。
クリスマス休暇での低商いで掉尾の一振ができるかどうかが課題。
まずは12月SQ値の奪還が急務だ。
どこかで誰かの一夜変わりがあると思いたい。


日経平均想定レンジ
下限21484円(11月13日安値水準)〜上限22574円(12月月足陽線基準)

注意を惹いたのは「ファーウェイ、日本でも存在感。
中国通信機、政府が警戒」の記事。
「政府はファーウェイなど中国企業を念頭に調達方針を策定する。
中央省庁が情報通信機器を調達する際、安全保証のリスクを重視する。
政府や国民の重要情報が中国などに流れることを防ぐ」。
これは米中貿易摩擦の根幹でもある。
従来も情報は流れていたのかも知れない。
しかし、改めてこの問題がクローズアップされてきた。
もっとも水道の民営化や漁業法の改正など結構神経質な問題ながらすんなり通過というのも現実。
水道民営化で誰が得をするかといえば最終的にはインフラ工事大国フランスだろう。
そう考えると、ルノー・ゴーン氏逮捕と相討ちみたいに見えてくるのは気の所為だろうか。
日欧EPAが2月に発足するというタイミングでもある。
加えて興味深かったのは米SECの19年活動計画、
企業業績の四半期決算を巡って、市場参加者から幅広く意見を募るという。
夏にトランプ大統領が言い出したので致し方なくとう言う側面はあろう。
しかい絶対的にグローバルなルールに見えていた「四半期決算」。
これが絶対ではなく可変であるということだけは明確になった。
しかも「充填活動テーマ」のトップは「新しい投資家保護ルールの導入完了」。
証券会社や投資助言者に顧客優先を義務付けという中身だ。
これこそ「えっ」という感じ。
まだ顧客優先でない世界がアメリカ市場にあったのかという思いだ。
グローバルスタンダードの根源と思われていたアメリカンスタンダードはまだ砂上の楼閣だった。
蟷螂の斧と言っても良いかも知れない。
それを目指して錯覚してきた動きは「時価会計ルール」を含めて可変ということ。
ルールを組めるものが一番力を持っているということだけは古今東西不変の真実ではあるが・・・。


最近のIPOで思うこと。
モノを作っている企業が少ないなということ。
というよりは、コンサルティングみたいな他の企業に対してアドバイスをする企業が多いなということ。
そんな気がする。
これはどういうことなのだろうか。
社会が成熟したからソフト化経済に進んでうることの裏返しなのだろうか。
でも、「必要不可欠」という視点からすると、どうも違うような気がしないでもない。
ある市場関係者は「他人の褌で相撲を取っている銘柄が多いですね」。
市場だけでなく企業も他力本願になっているとしたら、これは結構大きな課題である。
ただ単にモノを作っていればいいということではない。
ソフトも重要なコンテンツ。
創意工夫をより効率的にするためにはコンサルも必要だろう。
でも市場に溢れているのは「ネットを使ったコンサル」みたいな状況。
なにか危なげさを感じる。

気になるのはタマゴ価格の下落。
本来はクリスマスケーキや鍋などの最盛期だが需要が盛り上がらないという。
この時期の値下がりは14年ぶりのこと。
理由は「供給過多」だが、タマゴが安いと株も安いのアノマリーが去来する。
1キロ200円という安値水準は覚えておきたい。
一方で・・・。
日経「春秋」では京都・西本願寺のイチョウについて論及。
昨年台風で大枝が折れた大銀杏は今年は葉がでなかったという。
植物はこんな場合、傷を癒やすために内部で力を蓄積するためにあえて葉を出さないことがあるという。
「大きな衝撃を乗り切るため雌伏の時を過ごす。
幾百年の風雪に耐えた古木の知恵は何やら示唆に富む。
ジタバタして気力や体力を浪費しなさるな、ということだろうか」。
相場も一緒。
雌伏は至福につながるかも知れない。

(兜町カタリスト 櫻井英明)

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