話題レポート
《Eimei「みちしるべ」》
(4月1日から4月5日の週)
今年になってから昨日までの曜日別勝敗。
依然として月曜高木曜安の傾向は続いている。
月曜:9勝2敗
火曜:7勝6敗
水曜:7勝6敗
木曜:2勝9敗(唯一負け越し)
金曜:8勝5敗
株式市場における「変なこと」はいろいろある。
例えばチャート至上主義の台頭。
米の値動きも卵の値動きも原油も金も為替も株も同じ罫線で語られる。
コレに意義を唱える向きはほとんどない。
北半球なら毎年春に田植えをして秋に収穫する米の価格変動と企業の業績と景気要因、そして受給に左右される株価。
これが一緒の図形になるというのは何か不自然だ。
株式市場はどちらかといえば「数理解析」が主役の場。
あるいは「確率論の世界」と言っても良いかも知れない。
しかし罫線の世界は幾何学の世界。
幾何学は「空間内の物体や諸現象の観察を通してそこから得られた図形の性質を研究する必要性から起った学問」。
古典的な平面幾何学や立体幾何学ばかりでない。
現在では、最も抽象的な思考や想像の産物までが幾何学的に表現される。
「図形が株なのか」という根源的な疑問はなかなか解決しにくいものである。
幾何学の父であるユークリッドの名言は「学問に王道なし」。
「株式に王道なし」と連想されてしまう。
日経平均想定レンジ
下限20901円(13週線水準)〜上限22038円(週足ボリンジャーのプラス2σ水準)
金曜日の米雇用統計までイベントは多い。
新元号の発表で奉祝ムードというのがあるかも知れない。
「相場は悪い材料を早め早めに織り込んでいた。反発力も大きくでよう」という見方もある。
株式市場大観で4月は「買い一貫。上旬は押し目買い、中旬に一押しあり。買い増して進め」。
アノマリー的にもこの相場観だろう。
興味深いのは「黒字転換企業、熱視線」の見出し。
「来年度の業績見通しが黒字転換する77社の平均株価は昨年末比16%上昇。
日経平均の7%を上回った」。
黒転企業はラクオリアやナノキャリ、WSCOPEなど知っている企業も多い。
米中貿易摩擦やブレグジットなど両替商や商品先物商の材料に拘泥していると株相場は進んでしまいそうだ。
両替屋市場からの脱却こそ株式市場に求められていることだと思う。
東京株式市場では「株屋の自立」こそが、明日をもたらしてくれるに違いない。
庇を貸して母屋を取られてから約20年。
兜町に対する蛎殻町や両替商の憧憬はもう満たされた時期。
そろそろ別れの季節としたいところだが・・・。
別の角度から言えば、政策の主導が経産省から財務省に戻ることも必要なのかも知れない。
世界の国々で通産省や商務省が幅を効かせているのかどうか。
改めて確認する必要があろう。
もう30年も経過したのだからさまざまな「禊」は終了している筈だ。
極論すれば「大蔵省」という名称の復活だってあっていいかも知れない。
大蔵省が財務省となってから日本の市場はパワーを失ったような気もする。
律令制による「大蔵省」は奈良時代の大宝律令から明治維新まで存続。
明治以降も2001年1月6日まであったのが大蔵省。
1300年の長い時代で用いられていたのが歴史だ。
「伝統ある大蔵省の名を財務省に変えたのは官僚の士気高揚という国民の利益にとってマイナス効果。こんな無意味な改革はいつか元に戻すべき」という声も当時あったという。
「検非違使」や「征夷大将軍」とは訳が違う。
アナリスト予想に届かなかったとして売られる株がある。
「未達」とまで言われる。
あるいはアナリスト予想を上回ったとして買われる株がある。
「想定以上」とさえ言われる。
市場ではあまり言われないが、考えておきたいのは主客の逆転ということではなかろうか。
「未達」や「想定以上」になったのは企業の業績である。
企業の行動の結果がそうなったことは間違いない。
しかし・・・。
「未達」や「想定外」を惹起したのはアナリスト予想。
簡単に言えばアナリストが読み間違えたということに他ならない。
それでも市場は企業を攻めるのが風潮。
「市場コンセンンサス」至上主義も甚だしい。
本来は「企業が間違ったのではなく市場の予想が間違えた」というのが正しいように思える。
日経朝刊の特集は「市場再編」。
サブタイトルは「東証1部、3割期待はずれ」。
東証1部役2100社のうち直近まで3年連続でROEが8%に届かなかった企業数は684社。
3分の1が期待ハズレということだ。
ただROE8%という基準は単に一部の学者が言っているだけのこと。
本当に市場が求めているのかどうかは微妙なところだ。
もう一つは低PBRの問題。
TOPIXのPBRは1.22倍。
NYダウが3.79倍、NASDAQが4.35倍。
独DAXが1.56倍、英FTSEが1.72倍。
主要先進国では最低水準との指摘だ。
PBR1倍割れは東証1部で約1000社。
「市場が厳しい評価を下している」との解釈だ。
しかし、低PBRは企業のせいなのかどうか。
市場に資金が流入しないから、低PBRで放置されているとも言える。
何でもかんでも企業のせいにするのではなく、市場の責任ということも問うことが必要だろう。
因みに・・・。
89年12月30日の東京証券取引所1部市場全銘柄のPERは61倍。
PBRは5.6倍。
当時は単体ベースだったから現在の連結ベースとはやや差がある。
しかし「バリュエーションの高さは尋常ではない」という声は当時にはなかった。
しかし後に「デタラメなバブルの時代」と言われる。
むしろ日本の株式市場が成熟したと評価しても良いのかも知れない。
今年は「節分天井彼岸底」ではなかった。
昨年は多少そのトレンド。
一昨年は違った。
アノマリーなんて所詮いい加減なものだし時の進化によって移ろうもの。
それでも都市伝説みたいに市場の心を惹きつけるものだ。
ということで4月のアノマリーは・・・。
2006年以降NYダウは13年連続上昇。
1990年以降の28年間、2008年以降の10年間では11月と12月と4月が「上げの特異月」。
4月の勝率は12月に次ぐ2位、バブル崩壊後では3位、リーマンショック後では同率2位です。
上げ相場でも下げ相場でも4月は強い月。
マザーズ指数も同様に4月は高い傾向がある。
4月は機関投資家の新規ポジションが開始。
海外投資家は買い越し傾向。
初旬と下旬に株価が上がる傾向。
中盤に一旦下げることが多い。
4月15日が米国の確定申告期限のため、損益通算の株売が多い。
しかし還付金の再投資がその後にやってくる。
TOPIX組み込みの大型セクター優勢。
「春の陽気に浮かれて、手放す時期を見失わないように」という声。
「鯉のぼりが見えたら売り」という格言。
医薬品、医療関連は「春や秋の学会シーズンに株価が上昇する」。
4月の円安。:GWで海外旅行者が増えるため、旅行先の通貨へ両替する動きが増える。
その先のGW10連休。
以下はそれぞれの日の勝率。
4月22日騰落確率54.72%
4月23日騰落確率56.36%
4月24日騰落確率52.73%
4月25日騰落確率53.57%
4月26日騰落確率58.18%。
4月27日休場
4月28日休場
4月29日 天皇誕生日の休場
4月30日 騰落確率51.06%
5月1日騰落確率74.55%
5月2日騰落確率 69.64%
5月3日休場
5月4日騰落確率76.67%
5月5日休場
5月6日騰落確率41.86%
5月7日騰落確率47.27%
5月8日騰落確率52.73%
5月9日騰落確率40.00%
5月10日騰落確率51.85%
因みに・・・。
日経平均のスタートは1950年9月の「東証修正平均株価」
1971年7月に「NSB225種修正平均」を開始。
1975年5月に「日経ダウ平均」算出開始。
1985年5月「日経平均株価」に名称変更。同時に1分ごとの算出開始。
2010年1月15秒ごとの算出開始。
2017年1月1秒ごとの算出開始。
(兜町カタリスト 櫻井英明)