話題レポート
《Eimei「みちしるべ」》
(4月22日から4月26日の週)
東証1部の時価総額は615兆円。
日経平均が25200円レベルで東証1部の時価総額は700兆円を超えてくることは覚えておくべき数字だ。
週足の雲の下限22397円が欲しい局面。
勝手雲の遅行線22277円(17日終値)を抜ければ明るくなる。
このまま行くと10連休前の26日頃には25日線(21640円)が200日線(21811円)を上抜ける。
イースタ休暇の3連休前の欧州株式市場の解釈は「イースター(復活祭)の連休を控え買い戻しが入った。好決算を発表した銘柄も相場を押し上げた。」
1週間後の東京がこの写真になる可能性も否定はできないだろう。
小さなサインは日経朝刊の「豪鉄鉱石、生産底入れ」の見出し。
リオ・ティントやBHPビリトンの鉄鋼石生産量は1〜3月に落ち込んだ。
しかし間もなく回復する見通しだという。
背景は「最大の輸出先中国の需要が景気対策で下支えされている」こと。
もちろん中国だけが材料ではない、サイクロンの影響からの回復、生産自動化なども奏功している。
鉄鉱石の価格も一段高。
目先底入れという印象だ。
「米中貿易摩擦」を悪材料にしていた市場にとっては朗報だろう。
国内では「小売・サービス1割増益」の見出し。
今2月期の決算は10%程度の増益見通しだという。
前期の6%減益から一転増益だからこれも悪くない。
人材不足、消費増税、原材料高などがあるもののそれを克服しての最終増益予想。
このところの日経平均採用銘柄のEPSの増加の背景はやはりコレだったということ。
肌感覚と合っている。
後出しだろうというのが「市場点描」。
13週線と26週線のゴールデンクロスが15日に発生した。
これは中期的上昇トレンドの起点となる可能性が高いという指摘だ。
昨年6月は発生後に株価はもみ合い。
16年9月末は1年超の上昇。
確定的なサインではない。
しかし、13週線が26週線を抜く可能性は毎日罫線を見ていれば先週からわかっていたこと。
相場は毎日あるもの。
実現してから4日後の記事では遅い。
今度は日足の日経平均の並び赤でも取り上げるのだろうか。
因みに酒田五法での並び赤。
下に小さ線が連続してじり高の動きを見せていたところから、パッと放れてほぼ同等の陽線二本。
翌日上寄りすれば大上げの前兆とされる。
昨日上寄りしての7連陽。
「陽線5本は上放れ」と考えれば、結構すごいこと。
「令和相場」の予兆なのかも知れない。
日経平均想定レンジ
下限21870円(4月SQ値)〜上限22698円(12月3日高値)
金曜日経朝刊では「信託4行の年金マネー運用、日本株比率下げ再加速」の見出し。
サブタイトルは「国内買い手乏しく」。
国内年金マネーの主要な運用主体である大手信託銀行が、再び国内株比率の引き下げに動くという。
2019年度の国内株比率は前年度より0.5ポイント低い27%にする計画。
引き下げは2年ぶりで2013年度の25.8%以来6年ぶりの低水準となる。
信託4行の投資比率を基準にする年金マネーは2〜2.5兆円。
企業年金のうち確定拠出年金の資産残高は約60兆円。
意外と大きい。
引き下げの理由は「上昇期待の乏しさ」。
今年度末の日経平均見通しは22637円。
だから「もういい」ということなのだろう。
その一方で債券投資比率は増やすのだと言う。
サラリーマンプロの読みが勝つことは滅多にない。
オウンマネーのプロに勝利の女神は微笑むような気がする。
そもそも2013年度に引き下げているが、そこから日経平均は1万円上昇したのが歴史である。
トヨタ(7203)、富士通(6702)、ファナック(6954)、
キャノン(7751)、東エレ(8035)などが年初来高値更新。
「安定成長銘柄群」なんて解釈をしてくるのだろうか。
むしろ・・・。
「クラスA大作戦」の一環として考えたほうが良いのだろう。
日経朝刊で興味深かったのは「日銀、日本株最大株主に」の見出し。
2020年末にも日銀は公的年金を上回り日本最大の株主となる見通し。
そして・・・。
「機関投資家・外国人が主導してきた日本の資本市場は、中央銀行が手動するこれまでにない段階に入る」。
3月末時点での日銀の日本株保有残は約28兆円。
東証1部の時価総額の4.7%相当だ。
このまま年6兆円ペースで行くと20年11月末には約40兆円に増加。
6%のGPIFを上回るという計算だ。
「戦後の持ち合い相場形成が第1幕。その後の海外投資家主導が第2幕。
そして日銀主導の第3幕」。
70年の歴史はこう説明される。
リーマンショックの頃、日経平均は8000円レベル。
当時懇意にしていたある元日銀プロパーの理事氏は「日経平均は13000円はあってもいい」と言っていた。
今は日銀保有株の簿価は18000円レベル。
だいぶ上がってきたが、OECDに「市場規律を損なう」と言われるほどでもないだろう。
良く考えておくべきは日本の最大の株主が日銀と公的年金だということ。
個別の日東電工やファナック、オムロン、日ハムなど10%超の株主だが、そんなことは小さいこと。
東京市場は、目先の利益に走るゼニゲバチックな投資層ではなく、時間をかけた市場形成のシンパに守られ始めたということだ。
ある事業会社の珍妙なコメント。
「株式報酬などで従業員の士気を高めようとしても日銀買いで株価が下がりにくいため効果が期待しにくい」。
株価が下がりにくいのならば、株価は上がるのだと考えない慎重さが目についた。
そして・・・。
日銀も公的年金も決してFXや仮想通貨、あるいはコモデティには投資していないという現実。
それだけ株式は資本主義国家の源泉であるということだ。
ペソとかリラとかへの投資ではなくあくまでも株。
あるいはパラジウムやトウモロコシではなくあくまでも株。
そして債券。
由緒正しい投資の世界を踏襲している以上、大きな間違いはないという思いかも知れない。
ということは・・・。
自信を持って証券市場に対峙することが求められてこようか。
「国策に売りなし」なんて格言では陳腐だが・・・。
手前味噌ながら・・・。
「60代から始める株1年生」を出版したのは昨年12月25日。
当日の日経平均は1010円安の19155円。
良く26日にヒゲで18948円まで下げたが終値は171円高の19327円。
結局出版日が底値でそこから約4ヶ月で22300円台まで上昇した。
上昇幅は3000円以上。
これまで本を出すと3ヶ月くらいは株高になってきたが今回はもっと長い。
しかも出版日が安値。
本は売れないが、相場にとっては良かった。
(兜町カタリスト 櫻井英明)