話題レポート
《Eimei「みちしるべ」》
(7月22日から7月26日の週)
7月12日時点の信用売残は36億円減の9514億円。
同信用買い残は594億円増の2兆1707億円。
7月12日時点の裁定売り残は1004億円減の8579億円。
3週ぶりの減少。
当限は481億円増の8255億円。
翌限以降は1485億円減の323億円。
同裁定買い残は921億円減の4203億円。
4週ぶりの減少。
翌限以降は660億円減でゼロ。
SQ週での減少となった。
日経平均想定レンジ
下限21060円(6月メジャーSQ値)〜上限21784円(7月2日高値)
日経平均は、木曜の下落分422円に対して420円高でほぼ取り戻した格好。
木曜の空売り比率は51.2%で88日連続40%超。
直近での最大値を更新した。
「空売り比率がバッケンレコードとなると翌日は反発」のアノマリーは今回も登場した。
まさに「下げなきゃ株は上がれない」の傍証でもある。
株が上がることを信じない経済紙という感じだろうか。
木曜の見出しを見れば「個人どこへ?閑散相場」。
4−6月の個人売買代金は49.8兆円。
前年同期比23%の減少。
12年10−12月の31.2兆円を下回ってきた。
安倍首相の言葉を借りれば「あの悪夢の時代」以来ということになる。
しかもMMFの残高も11兆円で増えていない。
背景はここ数年の大型IPOの不振との解釈。
日本郵政、メルカリ、SBと公開価格を下回っているのが現実。
これは確かに大きい。
一方でNISAなどでの「ほったらかし投資家」の増加。
「日銀のETF買いが邪魔」なんて天に唾するような業者の声は言語道断。
まともな投資家さんが増えてきたことを喜ぶべきで、業者は其の中で生き延びる道を考えるべき局面だろう。
付加価値を見つけず、護送船団のような人真似でお茶を濁してきたツケがきただけのこと。
自ら付加価値を放棄してきたのだから「スター銘柄不在」も「IPO株低迷」も理由にはならない。
「気になる信託銀の先物売り」なんて免罪符も必要かもしれないが、それより必要なものは多い。
もっとも真摯に相場と世界動向と政策を見直すべきだろう。
NY株と連動するなんて安易な相場観から脱却すれば相場は決して暗くはない。
意外なところで、世界史とか地理とかいうものが市場観測では結構役立つことがある。
例えばアメリカとメキシコの問題。
今の境界線に壁を作るということが話題になるが、もともとテキサスやカリフォリニアなど米中西部はメキシコだった。
それを踏まえると、移民が多いという現実と歴史的には自分たちの国を移動するという行為。
これが底流にもあるということに気が付かないと、事の本質には迫れないような気がする。
あるいは、中国という国。
ココは領土が広い代わりに接する国も多い。
昔は「北夷南蛮」などとも言われた。
南を攻めれば北から攻められるという形は変えようがない。
だから周囲を制圧するのは難しく、朝貢なんてことも行っていた。
しかし、貢物の何倍ものお返しをするのだから財政的には持たなかった。
あるいは、海洋戦略でインドシナなどへ出ようとしても、もともとは大陸国家。
なかなか勝てるものではない。
この地政学というのか、過去からも未来からも変えようがないもの。
これらを踏まえて米中貿易摩擦問題なども考える必要があるだろう。
国家戦略と地政学、あるいは大地の形状というのは、凝視しておかなければならない。
(兜町カタリスト 櫻井英明)