みちしるべ 19年09月02日号
兜町カタリスト『櫻井英明』が日経平均株価や株主優待、投資信託、NISAなど幅広く紹介していきます。企業訪問を中心により密着した情報も配信中です。
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話題レポート
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《Eimei「みちしるべ」》
(9月2日から9月6日の週)

8月23日時点の信用買い残は361億円減の2兆3433億円。
同信用売り残は615億円増の9370億円。
Quick調査の8月23日時点の信用評価損率は▲14.63%と3週ぶりの改善。
8月23日時点の裁定買い残は前週比456億円増の4808億円。
2週連続の増加。
当限は447億円増の4472億円、翌限以降は8.8億円増の628億円。
同裁定売り残は2766億円増の1兆9059億円。
6週連続の増加。
当限は2631億円増の1兆6492億円、翌限以降は134億円増の2566億円。
1991年の統計算出以来の過去最高記録更新だ。

裁定売り残は1.9兆円と歴史的水準。
買い残から売り残を差し引いたネットの裁定残高は約1.4兆円。
うち日経型とTOPIX型の比率は1対2と想定されている。
昨年9月28日時点ではネットの裁定残は2.18兆円の買い残超過。
今は1.4兆円の売り残超過。
先物の売り方は海外投資家と信託銀行。
そこで指摘されているのは信託銀行の「高配当株買い・TOPIX先物売り」のニュートラスポジション。
これが9月中間決算前に解消されれば、結構なインパクトになるとは思われる。
一方でヘッジ売りの存在も指摘される。
おおまかなヘッジ比率は15年3月が20%、17年3月末が60%、
18年3月末が70%、18年9月末が85%ともされる。
TOPIX先物を今年もっとも売り越しているのは信託銀行。
8月第2週までの売り越し額約7000億円は海外投資家の売り越し額3000億円を大きく上回る。
ヘッジ等を背景に先物価格が下落すると裁定売り機会は拡大。
だから裁定売り残は過去最高。
わかりやすいといえばわかりやすい解釈になる。
金融機関の株下手は今に始まったことではないが・・・。

日経平均想定レンジ

下限20520円(8月29日マド明け水準)〜上限21256円(200日線水準)

「月初のマドあけ」という今年の流れ。
1月大発会は下にマドあけで452円安(月足陽線▲△)。
2月はマドあけなし(月足陽線ー▲)
3月1日の翌営業日の4日(月)は上にマドあけで219円高(月足陰線△▲)。
4月1日は上にマドあけで303円高(月足陽線△△)。
5月7日の翌営業日の8日(水)は下にマドあけで321円安(月足陰線▲▲)。
6月3日の3日新甫は下にマドあけで190円安(月足陽線▲△)。
7月1日は上にマドあけで454円高(月足陰線△▲)
8月は1日は落ち着いたが2日にマドあけで453円安(▲▲)

マドをあけていない月初は2月だけ。
そしてマドの下向き上向きと月足に因果関係は見出せない。
それでも月変わりでマドあけての相場の変化のリズム。
さて2日新甫の9月もやはりマドがあくのだろうか。

27日から連載が始まった日経朝刊の「隣のインベスター第2部」。
サブタイトルはアクティブ投資家の実像。
「神戸の83歳の投資家は毎日100回以上の注文を出し、毎月4億円の売買に精を出す」。
預金に金利がつかない時代に足りないお金は運用で稼ぐという姿勢。
売買頻度は多いがこれも現実なのだろう。
「投資は生きがい」というコメントも見える。
確かに「投資は生きザマ」だ。
毎月分配型のタコ足投信は依然として人気があるというのは「今だに」の感。

愕然としたのは大阪の70歳の投資家さんの投資行動。
「金利が8%と魅力、と最近米エヌビディア株とAMD株を参照する仕組み債に5000万円投資した」。
アップサイドがゼロでダウンリスクしかないと言う仕組みは当然知らないのだろう。
何より原資はおそらくオプションのプットの売りの保証金であろうから「金利」ではない。
「参照する」という言葉を用いているところを見ると記者も仕組み債の仕組みを知らないのかも知れない。
たぶん目論見書を見せてもらって記事にしたのだろう。
以前、証券専門紙の記者に個別株の仕組み債と225リンク債の仕組みを説明したことがあった。
出来た記事は全くチンプンカンプンのものだった。
そんな記憶もある。
「仕組み債」という名前だから形は債券だが、中身はオプション。
この図式が流行ったのは20年前。
ITバブルに乗った銘柄を対象にした仕組債が乱舞したのが歴史だ。
8%が1年で8%なのか年率換算8%なのかは不明だが、8%をもらえるということはボラは相当大きいはず。
(償還が3ヶ月後ならば2%=年率換算8%と表現できる)。
組成した証券会社が得る手数料も表面上見えないながら相当大きいだろう。
しかも米株だから為替リスクも伴っているはず。
安全安心とは対局にある投資商品だと思われる。
しかし亡霊のように現れた「仕組み債」。
かつて組成したことのある身からするとそれこそ「今だに」。
時が移ろい人が変わっても、中身は変わらないのが投資の世界の欲望心理なのだろうか。
あるいはリスクを正確に認識しない姿勢は未来永劫変わらないのだろうか。
「生きがい」なのか「餌食」なのかの線引きは結構微妙なところにある。

今日の朝刊で登場したのは、相場予測をしない46歳の投資家さん。
すべて日ばかり商いで1日に300銘柄の商い。
寄りで売り買いし大引け直前に反対売買。
15年での稼ぎが2億円。
ネット証券の担当者がこの投資家に営業をかけるというのは本末転倒の姿勢だが・・・。
必要なのは投資技術ではなくプログラミング技術という指摘。
老若男女ともに、株式市場はますます人から遠くなっていく。

経営者の言葉というのは軽いようで重い。
興味深かったのは28日日経朝刊でのトヨタの社長石田退三氏の言葉。
「トヨタの石田やけど、おたくのおやじさんから電話もらえんかな」。
電話を取ったのは松下電器産業の名古屋事務所の中村邦夫氏(のちの社長)。
「おやじさん」とは松下創業者の松下幸之助さんのことだったという。
石田氏の言葉は「大阪に電話すると電話費が高うつくねん」。
トヨタの本質を見事に表現した言葉だ。
大学のクラブの3年先輩が当時のトヨタ自動車に入社後、見せられたのは社内便の封筒。
何度も何度も行き先が張り替えられボロボロになっていた記憶は薄れない。
今は世界のトヨタとパナソニック。
それでも昔は名古屋のトヨタと大阪の松下。
成長企業の逸話ではある。
もっとも昭和24年にトヨタが倒産の危機に陥り日銀に助けられた歴史など知るすべもないが・・・。

もう一つは23日の日経朝刊での「日本製鋼所」の記事。
同社は兵器メーカー⇒石油精製プラント⇒原発関連⇒産業用機械へと大きく変身してきた。
車載電池用のセパレータなどの成形機(世界最大級のフィルムシート製造装置:広島工場)は超人気。
マグネシウム成形機も人気
発祥は北炭や英国アームストロング社と組んだ室蘭。
原子炉用圧力機器の世界社シェアは」7→8割に達していた。
「室蘭が止まれば世界の原発が止まる」とまで言われた。
福島事故以来3期連続の最終赤字。
17年から社長の宮内社長の言は「社内に残る原発への郷愁を断ち切ること」だった。
「原発は事業として成り立たない。生まれ変わろう」と宮内社長。
原発への郷愁を断ち切るという決断だ。
月島機械と提携し下水汚泥装置にも進出。
前期連結営業利益はがん発事故後としては最高を記録した。
証券市場も「郷愁を断ち切る」ことが求められているのかも知れない。


(兜町カタリスト 櫻井英明)


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