話題レポート
《Eimei「みちしるべ」》
(7月20日→7月22日の週)
Quick調査の7月10日時点の信用評価損率は▲18.71%(前週▲18.01%)。
7月10日時点の信用売り残は330億円減の8833億円。
2週連続の減少。
同信用買い残は797億円増の2兆2746億円。
2週ぶりに増加。
2兆円台は9週連続。
ボトムは3月27日週の1兆7545億円。
ピークは1月31日週の2兆4637億円。
金額ベースでの信用倍率は2.57倍(前週は2.40倍)。
3週連続悪化。
7月10日時点の裁定売り残は214億円減の1兆8232億円。
(当限は1兆6432億円)
2週ぶりの減少。
同裁定買い残は665億円減の3183億円。
(当限は2438億円)。
4週ぶりの減少。
「横ばっている株価で方向感は出ない。夏枯れ」というのが市場のコンセンサスの印象。
ただ、コンセンサスは「大きく間違う」のが市場の常識。
だったら「専門家は理路整然と間違う」のは今回も一緒か。
「ヒトの行く裏に道はめったにない」のが市場でもある。
日経新聞元旦朝刊の見出し。
「さび付く成長の公式 (競争・革新 新たな挑戦)」だった。
半年経過して思うのは「今年もそんな動き」ということ。
成長の公式はコロナ禍で確かにさびついた。
これは誰もが感じるところ。
ただ「新たな挑戦」というのも「新常態」や「新しい生活」などで実感するところ。
マイナスとプラスがいつも混在しているのが世界。
だとすれば差し引きプラスであれば世界は回る。
そう考えたい局面だ。
今年の曜日別勝敗(7月16日まで)
↓
月曜12勝13敗
火曜14勝12敗
水曜13勝13敗
木曜12勝16敗
金曜13勝14敗
日経平均想定レンジ
下限22601円(7月SQ値)ー上限23178円(6月8日高値)
熱狂的な集団の中にいると「これはやばいかな?」と体で感じることはよくあること。
冷静な視点で見ることが出来れば当然のことだろう。
理性は「ここから去ることが最適の選択肢と指示することだろう。
しかし、集団の中に滞在しているといつの間にか同化する傾向も否定できない。
クラスターの発生した新宿の劇場などそうだったのかも知れない。
シアターの外では常にコロナを警戒する人もいつの間にか警戒を解いてしまったのだろう。
「これくらいなら大丈夫」。
自制も自粛も理性で肯定し勘定で否定する。
それが集団の中の心理なのだろう。
その昔、38915円をいう高値を日経平均が付けた日の大手証券のトレーディングルーム。
「来年の日経平均予想は5万円」と言ったら「10万円だろう」という声が飛んだという。
理性で否定しても感情はサラリーマンの習性で「あるかも知れない」。
荒唐無稽を現実として見てしまうことはよくあること。
反省すること30年。
いまだに10万円どころか5万円も見られず、その日の高値も超えられない。
火曜ラジオの質問。
「上海の株価は、堅調に戻り高値を更新しています。
羨ましい限りです。
それに引き換え、日本株は上値が重いです。
この差は、何処にあるのでしょうか?」。
答えたのは・・・。
(1)中国の国策のけん引力の強さ。
(2)市場に対する信頼感と期待感の差。
(3)米国に対する対抗と隷属の違い。
実態はどうなのかは不明だが・・・。
先々週の書き込みは興味深い表現だった。
「しかし市場観戦者(株屋、予想屋、セミナー屋、テクニカルト占い教会、それらのイナゴアナ)。
その多くがこんなの金融緩和で上がってるだのバブルだの言ってます。
金融緩和なんて3月4月から何も変わってないと思うんですが・・・」。
そういわれると自分も「株屋」の世界の住人ということになる。
「日経レバ(1570)初の貸借取引の停止措置」の記事。
「日経レバ」の貸借取引について7月16日から、いわゆる「売り禁」。
停止されるのは新規の信用取引の売り、信用買いの決済の「現引き」を停止する。
コメントは「日経平均株価が上昇する局面で、高値警戒感から日経レバに信用売りを出す個人投資家などが増加。
融資残高を貸株残高で割った貸借倍率は1倍割れの状況が続いていた。
日証金は貸株の増加を受け、日経レバに貸株利用の注意喚起を出していた」。
たしかに7月6日以降逆日歩は1日5円が継続。
売り方はナンピンも出来ず苦しくなってこよう。
売り方が投げるということは「買い戻し」だから通常は株価上昇要因と考えたいところ。
因みに・・・・。
昨年9月12日が70円。
9月17日まで50円だった逆日歩は18日に100円、19日に20円と強烈だった。
9月5日から始まった日経平均の上昇がその後年末まで続いたのは記憶に新しいところ。
ソニーFH(8729)の代わりに225新規採用はJPX(8697)。
リバランスによる買い入れ株数は約2570万株、買い入れインパクトは18.5日分との試算。
リバランスの実施は28日終値ベース。
全体では520億円の売りとの試算。
個別銘柄についてコメントすると必ずついてくるのは「あくまでも投資は自己責任で」。
なんでもかんでも自己責任というのは90年代からの習わしだから今更言うまでもない。
第1回目の内部管理者試験も受けて当然ながら合格した。
しかし「個別銘柄についてのコメントがありますので」というのが気にかかる。
個別はダメで指数はいいのか。
投資判断の提供という責任では同じではないのかという疑問だ。
この「個別がダメ」を極度に恐れ指数しか語れない専門家もいる。
あるいは「世界最大の携帯電話の会社」なんて比喩をつかう人もいる。
これこそ本末転倒だろう。
指数は個別の集合体なのだから体裁だけを整えても意味がない。
「化学セクターが上昇しそうだ」と聞いて誰が面白いだろうか。
かつて個別銘柄の動向を左右できる力を証券会社が持っていた時期も確かにあろう。
しかし今は牙も翼も抜かれてそんな力も意欲もない。
全社一丸となって個別銘柄を買いあがるとか売り抜けるなんてあり得ないことだ。
その一方で投資家さんとかファンドマネージャーさんとかが滔々と個別株を語る現実。
業者=悪の構図の歴史がこんなイビツな状態を作ってしまったのだろう。
投資顧問なら個別銘柄を語って良くて証券会社はコンプラで引っかかる。
面白い現実だ。
しかもマスコミは「金融商品取引法」の範疇には入っていない筈。
それでも「投資は自己責任で」のお題目。
不思議な構図だ。
加えれば「投資は自己責任」はある意味「奢り」の言葉でもあろう。
投資家保護=投資家さんは素人という前提。
しかし今や業者や市場関係者よりも投資家さんの方が詳しいことも多い。
一律に「投資は自己責任」と謳うのは「我々はプロ」と思っているか「我々は業者」と思っているかの裏返し。
強いて言えば「あなた方が素人」と言いたくなることもある。
あるいは「投資は自己責任。だったらあなたの存在理由は何?」。
素直な疑問である。
仮面と鎧に守られた市場観測など役に立つはずがないと思う。
(兜町カタリスト 櫻井英明)