話題レポート
《Eimei「みちしるべ」》
(8月24日→8月28日の週)
Quick調査の8月14日時点の信用評価損率は▲15.58%。
(前々週▲20.60%→▲17.86%)。
2週連続の改善。
8月14日時点の信用売り残は631億円増の9503億円。
2週連続の増加。
同信用買い残は1298億円減の2兆1249億円。
2週連続の減少。
2兆円台は14週連続。
ボトムは3月27日週の1兆7545億円。
ピークは1月31日週の2兆4637億円。
金額ベースでの信用倍率は2.24倍(前週は2.54倍)。
先週末時点で売り残が1兆円台に乗せ、買い残が2兆円を割れると信用倍率は2倍割れとなる。
4月3日時点が1.62倍だったがそこから日経平均は5518円上昇した。
8月14日時点の裁定売り残は1078億円減の1兆6702億円。
(当限は1兆4340億円)
2週ぶりの減少。
同裁定買い残は1271億円増の5031億円。
(当限は4352億円)。
2週連続の増加。
裁定買いも少しやる気が出てきた印象。
土曜日経朝刊の「市場展望」。
話題は75日線が200日線を上抜けたゴールデンクロス。
先週水曜に発生した。
「テクニカル的には中長期の強気サイン。
しかし経験則からは短期的な下げ局面警戒」。
不思議な解釈だ。
そのココロは「2019年9月のゴールデンクロスでは直後3日で約700円安だった」。
昨年発生したGCは9月26日。
一計平均は22048円。
10月3日の日経平均は21277円。
確かに下落したがその後12月17日の24006円まで長期上昇になった。
しかも8月26日の20268円が安値となっての上昇途中でのGC。
目先的な下落があっても中長期の上昇サインと考えたい局面だ。
今回のGCがあった8月19日は23110円。
ココを取り戻せば道は開ける気がする。
今年の曜日別勝敗(8月21日まで)
↓
月曜14勝15敗
火曜17勝14敗
水曜15勝16敗
木曜13勝19敗
金曜15勝16敗。
売買エネルギーの低迷をどう見るかが別れ道という気がする。
東証1部の売買代金2兆円割れは5日連続。
3日連続で約3ヶ月ぶりだ。
夏休みで夏枯れという指摘もある。
世界的な金融緩和で運用マネーは減っている訳ではない。
結局先行き不透明ということだろう。
コロナ、米中、企業業績。
指を折れば限りはない。
「日経平均は23000円を超えた水準では上を追いにくい」。
そんなコメントだ。
でも2週間ほど前には「日経平均の22000円買い23000円売りのシナリオ」。
そんな声ばかりだった。
でも23000円。
しかもいつもは上がる筈のない8月に高値を取ってきた現実。
外れた市場関係者は悔しさをどこで振り切るのかが課題となってきた。
そう考えると「ジャンプの前のすくみ」。
価格ではなく量の点で「陰極まれば陽」だと考えたい局面。
去年だっていつもは上がる筈のない9月10月に上がっていた。
金曜日経朝刊では「海外勢、日本株を再評価」の見出し。
8月第2週の海外投資家の買い越し額は現物・先物合計で9899億円。
お盆の週で営業日は4日だったが現物3663億円・先物6236億円の買い越し。
もっとも海外投資家の今年の売り越し額は約7兆円。
売り姿勢が買戻しに転じて買い増しになればそれこそ24000円から上の世界も見えてこようか。
日経平均想定レンジ
下限22874円(8月12日高値)ー上限23995円(2月6日高値)
SBGはアマゾン・ドット・コム株式約12億ドルを保有していると米規制当局へ報告した。
孫正義会長兼社長は11日に投資運用子会社を設立したとコメント。
「アマゾンやアップル、フェイスブックなど主にIT関連株を対象に余剰資金を運用する」方向を示していた。
この流れの一環だろう。
アマゾン以外にはネットフリックス、テスラ、マイクロソフト、アルファベット(グーグル)の株式なども保有。
また半導体メーカーのエヌビディア株も2億2000万ドル相当取得。
「ソフトバンクGは現在、傘下の英アーム売却でエヌビディアと協議している」とも報道された。
しかし・・・。
確かにNY市場では株式投資を主とする特別目的会社の上場が目立ってはいる。
間違ってはいないのかもしれない。
ただSBGが得意としていたのはアーリーステージに対する投資だったような気がする。
ということは、アマゾンやネットフリックス、テスラ、マイクロソフト、グーグルはまだ成長株。
こう考えることも可能だが、「SBGの相場観が成熟してしまった」と考えるのが妥当なのか。
人は老いると冒険ではなく安定を求めたがる傾向があることは否定しないが・・・。
金の市場関係者の鼻息が荒い。
以前とは違って静かになったFX関係者と立場を変えて喧しい。
一方でいつも静かなのは株式市場関係者。
「やる気レス」などっちつかずのコメントは何十年も続いている。
法改正を含め手足を縛られた形がDNAとしてそのまま残ったからだろうか。
八面六臂、あの手この手で浮遊マネーを誘い込む手法なんては両替屋さんや先物屋さんに奪われてしまった。
委縮した業者のマインドがそのまま株式市場の物足りなさに直結しているような気がする。
そもそも興味がないから気が付かない。
気が付かないから変化は見過ごす。
その結果儲からないかラますます離脱する。
悪循環だ。
ビフォアバブルは「まだ」のマインド。
アフターバブルは「もう」のマインド。
たちが悪いのは「ビフォアバブルのもう」だろうか。
政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長のコメント。
国内の流行状況について「全国的に見ると大体ピークに達したというのが私たちの読み」。
感覚的には違和感のあるコメントながら、いわゆる「専門家」がそう言うのだからそうなのだろう。
加えて・・・。
「これまでの経験から流行を乗り切るには医療機関や保健所への支援。
接待をともなう飲食店、そうした地域などへの支援が重要なことがみえてきた。
国に対して早急にこうした支援ができる体制の確立を求めたい」とも。
疾病と政策が同居していることがやや理解不能だが、そうなのだろう。
ただ「インフルエンザヤ風邪とコロナはどこが違うのか」という素朴な疑問は残る。
明解な答えもあまり聞かれない。
それでも「全国的にはピーク」と言われれば少し安心感は出てくる。
そして、マスクの販売規制は29日に解除。
「コロナは冬と夏に拡大する」という少数意見を考えれば秋はしばしの安息期なのかも知れない。
将棋の名人に挑戦者が勝っただけでも買い材料になることがある。
下がりたいリズムの時はどんな材料でも下がる。
スーパーボウルでAFCチームが負けた程度でも悪材料になるということ。
つまり、表面の材料は傀儡に過ぎないということ。
それをアレコレ詮索することの空虚さというのも感じなければならない。
暑ければ「堪らないね?」。
寒ければ「冷えるね?」。
下げてれば「酷いね」。
上げてれば「凄いね」。
所詮マーケットはそんなマインドだと指摘される
「ひとつふたつみっつ株価が落ちる
そのたびマーケットは胸の前で手を組む
よっついつつむっつ株価が消える
マーケットの願いはさっきからひとつ
マーケットは線香花火に息をこらして
虫の音に消えそうな小さな声で
いつ帰るのと聞いた
揺らしちゃ駄目だよと言ってるそばから
火玉がぽとりと落ちてジュ」。
でも「目が覚めて夢のあと、長い影が夜に伸びてマーケットの空へ
夢はつまり罫線のあとさき
夏が過ぎ風アザミ
未だ黄昏にさまよう
八月は夢花火 株価の心は夢模様」の方が似合いそうだが・・・。
おしまい。
(兜町カタリスト 櫻井英明)