話題レポート
《Eimei「みちしるべ」》
(10月26日→10月30日の週)
Quick調査の10月16日時点の信用評価損率は▲12.42%。
(前週▲10.07%)。
2週ぶりの悪化。
10月16時点の信用売り残は3500万円減の8283億円。
2週ぶりの微減。
同信用買い残は939億円増の2兆5566億円。
2週ぶりに増加。
2兆円台は23週連続。
金額ベースでの信用倍率は3.09倍(前週は2.97倍)。
2週ぶりに3倍台。
10月16日時点の裁定売り残は947億円減の1兆9153億円。
(当限は1兆8556億円)
7週ぶりの減少。
同裁定買い残は204億円減の4383億円。
(当限は3159億円)。
5週ぶりに減少。
今年の曜日別勝敗(10月23日まで)
↓
月曜20勝18敗
火曜22勝17敗
水曜19勝21敗
木曜16勝24敗
金曜19勝21敗。
10月第2週の海外投資家売買動向。
現物696億円買い越し(2週連続)。
先物3634億円売り越し(2週ぶり)。
合計2988億円の売り越し(2週ぶり)。
重要なのはリズムとハーモニー。
リズムは少し満たしてきた。
あとはハーモニー。
あちらが上がればこちらが下がるので悪くはない。
グロースとバリューでも良いだろうし、トラッドとニューフェイスでも構わない。
不自然でなく自然な形でのハーモニーということ。
そして重要なのは音の響きの美しさ。
加えて潔さ。
秋の相場は少し色濃くなってきたような気がする。
日経平均想定レンジ
下限23185円(月足陽線基準)−上限24115円(1月17日高値)
アメリカの大統領選挙を海のこちら側から占う声ばかりが聞こえるマーケット。
自然なのか不自然なのかよくわからない。
しかし選挙になるとやかましくなる市場関係者は多い。
きっと人は「いれふだや人気投票」が古今東西好きなのだろう。
それはともかくとして・・・。
トランプ政権で表面上薄まったのは軍産複合体の姿。
ロッキード、ボーイング、パトリオットミサイルのレイセオンなど巨大兵器メーカーはどうも恩恵を受けていない印象。
ボーイングは737MAXでつまづき、レイセオンはNYダウ30種平均から除外された。
しかもこの4年間武器弾薬の在庫は米軍としては使われていない。
視点は戦争といっても貿易戦争に移ってきたという感じだ。
とはいえ、この軍産複合体の思考と支持どうなのだろう。
トランプ継続でいいのか。
新たなメシアス、あるいは目新しいアイドルを求めているのか。
たぶんここを読むことの方が、フロリダ州やカリフォルニア州など選挙方法の帰趨を読むよりは大切だろうと思う。
ちなみにトランプ大統領の9月の発言。
「軍トップが戦争を遂行するのは防衛分野に属する製造業各社の利益を上げることが目的だ」。
「私は軍にあまり好かれているとは言えない。
兵士らはともかく、ペンタゴンのトップたちはおそらく私のことが気に入らないだろう。
彼らは戦争をしたくて仕方がないからだ。
戦争を起こせば爆弾や航空機、その他もろもろの兵器を作る素晴らしい企業を喜ばせることができる」。
これだけ本質を語ってしまったトランプ大統領というのは実は結構すごい。
ただ軍事のオルタナティブをどこに求めるのか。
貿易での戦争だとしたら、それは結構不毛だ。
もっとも・・・。
国防予算の拡大を政権の主要な実績としたのもトランプ大統領であることは間違いない。
戦争をしない大統領が軍事予算は増加しているというパラドックスでもある。
そして・・・。
「同盟国に国防費支出の増額を迫り、米国の兵器輸出拡大につなげる」というビジネスモデルの創造でもあった。
ただ・・・。
NYダウに80年以上も採用されていたレイセオンの除外は一つの大きな変化の前触れとも読める。
点と点を結んで線にすればレイセオンの帰趨こそ未来へのサインなのかも知れない。
90年代の負の遺産をITバブルで消し、そのITバブルの負債を不動産バブルで消した米経済。
リーマンショック以降は、再びITで経済をけん引してきた。
この先、負の遺産が出てきたときにどう消すのか。
求められているのはそのシナリオだ。
10月下半期入りはおそらく利食いから入ったであろう職業投資家というか機関投資家。
終日売買停止のアクシデントに襲われたが3週間も経過すればそれも消えただろう。
それは今日の強さなのかも知れない。
外国人投資家は3月のコロナショックで現物を1.7兆円売り越した。
売買シェアの6割を握る外国人信仰もここらに起因するのだろう。
ただ夏枯れの8月も売り越しは5000億円。
それでも8月はアノマリーに比して月間で上昇。
外国人投資家が相場巧者であるとは言えないようである。
だったら見えない影におびえる必要もないだろう。
要するに日本の投資家とは違って「上がれば買い、下がれば売り」という順張り投資家ということ。
GPIFを見ればわかるように「下がれば買い、上がれば売り」というのが国内投資家の姿勢だ。
これがいつの日か相場を信じるようになって順張り姿勢に転じれば風景はだいぶ変わるだろう。
事の本質でない枝葉の部分をデフォルメして動く。
世界経済を論じる市場の風潮の中で話題は世界ながら中身は枝葉末節。
事の本質を離れて周辺をアレコレと論じるばかりに映る。
言い換えればマクロが好きなのに話題はミクロといった印象だ。
しかも、過去からの延長戦が多く、未来は少ない。
「過去に饒舌、未来に寡黙」というのは市場の常だが、それでも違和感は残る状況だ。
一番の本質は「コロナ禍」からの脱却だろうが半年もにわか専門家として論じると飽きる。
目先をコロコロと転じるためには細部に入り込んだ目くらましが必要なのかもしれない。
トランプ氏だろうとバイデン氏だろうと、このコロナからの脱却は第一義の筈。
それでもその論点は忘れ去り、投票方法や州ごとの勝敗確率はクローズアップされる。
おかしいと思いながらも、その風潮に付和雷同。
歌を忘れたカナリアのような印象だ。
何が起きてどうなってどの銘柄が上がるのか。
それはトランプ氏とバイデン氏の争いではなかろう。
罫線のなかにも過去のデータの中にも答えはないような気がする。
些末を離れて本質へ。
意味のない結論の出ないエンドレスな言葉の応酬よりも大切なものがある。
曖昧化された「全体」よりも具体的な「個」の重要性が再認識されるべきだろう。
全体は間違っても非難は少ないが、個で見間違えると非難の度合いは大きい。
そんな自己保身的な相場予見など実は当たらないのではなかろうか。
個別を語らずして全体は見えない。
自己保身と自己防衛に長けた市場関係者のコメントの呪縛からは離れたいものである。
もっとも・・・。
それでも銭ゲバチックな「あなただけの」というような謳い文句の「情報」よりはマトモかも知れないが・・・。
長年お付き合いのある税理士さんレポートでの指摘。
NBFが新宿三井ビル1700億円と東京駅前のグランサウス(一部)470億円を三井不動産さんから取得。
資金は1400億円の増資。
ゼロ金利でレバレッジをかければ金利負担は増加せずに家賃だけが増える。
結果、分配金利回りは上昇。
至極当たり前のことだが、新たな錬金術。
フツーに考えれば金利負担が少なく不動産投資ができれば家賃高が丸儲け。
ここに魅力を感じない不動産業者はいないだろう。
市場の多くの部分は利害で考えることが重要だ。
そもそも・・・。
銀行が農耕民族と言われたのに対し証券界は狩猟民族と言われた。
ところが、バブル崩壊以降、証券界も農耕民族と化してしまった印象。
「長期分散投資」はその最たるものだろう。
あるいは「預かり資産の増加が評価基準」も同様だ。
長い目でみて顧客の資産を増やすことに異論はない。
当然の動きでもある。
しかし、だからといって狩猟民族のDNAを忘れていいものだろうか。
ここがしっくり理解できないところでもある。
農耕だけではとても世界で戦えないのは自明の理。
だから「外国人が買いに来ないと日本株は上がらない」なんて敗北主義も横行するのだろう。
第1回成長戦略会議。
菅総理のコメント。
「本日は、新たに設置しました成長戦略会議の第一回を開催し、
成長戦略に関する今後の論点を有識者の皆さんから自由に御議論いただきました。
今後、経済財政諮問会議において、経済財政運営と改革の基本的な方針を議論し、
その方針の下で、この成長戦略会議において、我が国経済の持続的な成長に向けて、
制度改正など成長戦略のための改革の具体策を御議論いただきたいと思います。
本日の議論でも御指摘がありましたが、
今後、ウィズコロナ、ポストコロナの世界における我が国企業の事業の再構築、
生産性の向上、労働移動の円滑化、強靱(きょうじん)なサプライチェーンの構築、
新しい働き方の実現、足腰の強い中小企業の構築、
バーチャル株主総会の実現などビジネス上のイノベーションの推進、
グリーン成長というこのエネルギー・環境政策の再構築などを御議論いただきたいと思います。
こうした成長戦略の具体化を図るため、
本会議では、本年末に中間的な取りまとめをしていただきたいと思います。
本日、有識者の皆さんから頂いた御意見も踏まえて、議長の官房長官を中心に議論を進めていただきたいと思います」。
因みに議長は加藤勝信官房長官、副議長は西村康稔経済再生相と梶山弘志経産相。
メンバーは元ゴールドマン・サックスのデービッド・アトキンソン氏
竹中平蔵慶大名誉教授。
金丸恭文・フューチャー会長兼社長、
国部毅・三井住友フィナンシャルグループ会長、
桜田謙吾SOMPOホールディングスグループCEO、
南場智子ディー・エヌ・エー会長、
三浦瑠麗・山猫総合研究所代表、
三村明夫・日本商工会議所会頭。
総理が帰国し見えてきたのは政策。
26日召集の臨時国会で菅義偉首相が初めて臨む所信表明演説の骨格。
「アベノミクス」を継承し新型コロナウイルス対策と経済再生の両立を目指す。
デジタル化や規制改革にも言及する。
行政手続きなどの押印は原則廃止、21年3月からマイナンバーカードと健康保険証の一体化始める。
運転免許証のデジタル化も検討。
生産拠点の国内回帰や東南アジアなどへの分散させる方針を説明する。
法案は10本程度に限定。
デジタル庁の新設と押印・対面・書面原則の撤廃は2021年の通常国会にそれぞれ一括法案での提出めざす。
通常国会は追加経済対策を盛る20年度補正予算案も扱う。
要は菅義偉首相の看板政策が集中するということだ。
(兜町カタリスト 櫻井英明)