《Ｅｉｍｅｉ「みちしるべ」》

(2月8日→2月12日の週)

Quick調査の1月29日時点の信用評価損率は▲11.61%。
(前週▲10.05%)。
2週ぶりの悪化。
1月29日時点の信用売り残は635億円減の7736億円。
3週連続の減少。
同信用買い残は1590億円増の2兆7695億円。
4週連続の増加。
2兆円台は38週連続。
金額ベースでの信用倍率は3.58倍(前週は3.12倍)。
2週連続の3倍台。
1月29日時点の裁定売り残は196億円増の1兆3295億円。
(当限は1兆1351億円)
2週ぶりの増加。
裁定買い残は251億円減の4526億円。
(当限は3810億円)。
2週ぶりの減少。

1月29日時点の信用取引の買い残は2兆7695億円。
2018年12月21日時点(2兆329億円)以来、約2年1カ月ぶりの高水準。
1月22日時点に比べて1590億円増加。
増加幅は18年10月12日時点(1657億円増)以来、約2年3カ月ぶりの大きさ。
1月25→29日)の日経平均株価は968円06銭(3.38%%)下落。
日経平均は1月29日に心理的節目の28000円を割り込んだ。
一方、信用売り残は前週より635億円少ない7736億円。
20年10月30日時点(7491億円)以来、約3カ月ぶりの低水準。

今年の曜日別勝敗(2月5日まで)
↓
月曜2勝2敗
火曜3勝2敗
水曜3勝2敗
木曜3勝2敗
金曜2勝3敗

1月最終週の海外投資家動向。
現物748億円の売り越し(2週連続)。
先物2311億円の売り越し(4週連続)。
合計3059億円の売り越し(3週連続)。

日経平均想定レンジ

下限28210円(25日線水準)ー上限30400円(週足のボリンジャーのプラス3σ水準)

ゲームストップへの個人投資家の買いを促したのは同社の財務や見通しの根本的な変化ではない、
SNS「レディット」に投稿された強気のコメントだった。
「GME(ゲームストップ株)は聖杯(最高の投資対象)だ」。
「今なお月へ向かう途中だ。
買うのが遅過ぎるということはない」。
東京市場の掲示板などでも時折見かけるような言葉だ。
東京では「風説」という言葉がある。
しかしこれらの書き込みが風説かというと違うだろう。
それでも強い言葉に反応する傾向は東西一緒のようだ。
「利用しやすい個人向けネットトレーディングとSNSの組み合わせ」。
いかにも近代的に見えるが中身は「大量の売買注文と風説のようなささやき」。
ツールが進歩しただけの古典的な手法だ。
「誰それが買っている」。
「いくらまで買うらしい」。
確証のない言葉はまことしやかに流れ上昇が上昇を呼ぶ状況。
何度も経験してきたことだ。
世代が変わってまた現れただけに過ぎない。
それにしても・・・。
証券市場の理想と恋い焦がれたNY株式市場も結局は欲望の集積場だった。
ITを駆使したオプションさえも設けの道具と化した。
やはり相場に必要なのは高邁な学術理論ではないというころ。
ESGやSDGsをきれいに唱えるファンドでさえ勝てない相場があるということ。
「相場は利で動く」。
これだけが変わらない真実だ。

話題の渦中のゲームストップ株。
2日の株価は一時約67%下落。
74ドル台は1週間ぶりの安値水準。
高値は347ドルだった。
時価総額はピークから270億ドル(約2.84兆億円)吹き飛んだ計算。
背景は空売り投資家のショートカバーによる空売りポジションの急減。
オンライン掲示板「レディット」を通じて個人投資家の間で急速に人気が広がったトレード。
「急速に崩れ始めた。
激流は必然的な終末を迎えた」という見方だ。
銀先物は8年ぶりの高値から反落し5%の下落。
ただロビンフッド・マーケッツの証券取引アプリの先週の国内ダウンロード件数は210万件。
前週から394%、お急拡大した。
「今後も証券アプリ業界を大きく引き離す」との見方だ。

司馬遼太郎氏の「関ケ原」を読んでいて目に止まった一節。
「世間は利害と恐怖で動く。
そして正義ではなく、強弱を支持する」。
相場も一緒だろう。
「相場は利害と恐怖で動く。
相場は欲望の世界だから当然利害が優先。
そして下がるかも知れないという恐怖が人々をかきたて売買が頻繁になる。
持っていれば上がりそうでも恐怖が利食いや損切りを頻繁にする。
そしてわかってはいるものの相場の集合的動きは正義の旗印ではなく強弱に着く傾向。
売り手と買い手のどちらが優勢なのか。
できれば勝ち馬に乗りたいという日々の投資心理。
これこそが相場心理の本質だ」。

米巨大IT5社の10→12月期決算が出そろった。
グーグルの持ち株会社アルファベット、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト。
全社が四半期として過去最高益を更新。
背景は「デジタル化の加速」。
いすれも最大級の勝ち組となっている。
純利益の合計は前年同期と比べ41%増の7788億8600万ドル(約8.2兆円)。
5社合計の株式時価総額は計7兆8000億ドル(約820兆円)。

初心者の「わからないこと」を聞いていたら「わからないこと」は多い。
「株価は高い水準ですが人気な高い株。
株価は安い水準ですが人気のない株。
初心者はどちらをかうべきでしょうか?」。
あるいは「初心者は個別株に手を出すなというサイトと初心者こそ個別株がいいというサイトがありました。
どちらがいいのでしょうか?」。
いずれも難しい質問だし事の本質をついている。
こういうところでESGなど何の役にも立たない。
日経平均などどこ吹く風だ。
頭に浮かぶのは「ビギナーズラック」と「NTT」という組み合わせだった。

「投資教育」という上から目線の言葉がどうも気になる。
「教えてやる」という感じがする。
「別に教えてもらいたくもない」と潜在的に耳をふさいでしまいそうだ。
そもそもFPとかIFAってもともと株屋さんや保険屋さん、あるいは不動産屋さん。
それが投資教育という言葉の魔術を纏うといつの間にか「先生」となる。
ココが長い間違和感のあったところだ。
この際、「投資教育」ではなく「投資学習」と言い方を変えたらどうだろう。
「教育」という押しつけがましい表現が弱まる。
そして「自発的に学んでみよう」という気になりそうだ。
「投資学習なら自分からやる気になる言葉です」とある女子アナさん。
「教育」なんて高尚な表現をするから、ポートフォリオ理論なんてややこしいことまで学ぶことになる。
「学習」ならば「どう運用すればよいのか」。
あるいは「何を買えば、どう売れば良いのか」。
この1点に集中すれば良い。
そして・・・。
ライフプランと資金運用を分けて考えたらどうだろう。
資金運用という言葉の持つ隠微な香りを消臭するために「ライフプラン」が登場する。
しかし人生はお金だけの世界ではない。
ならば「ライフプラン」は資金の運用だけで事足りるものではない。
もっと哲学的で深淵なものだ。
しかも他人に蹂躙されるものではなく自分で選択するもの。
一方資金運用は現実的即物的で結果は明確に出るもの。
学校の勉強だって座学と実践の両方がある。
ライフプランは数学・国語や理科・社会のような座学。
ならば資産運用は体育・図工・音楽みたいなもの。
ライフプランは頭で考え資金運用は体で覚える。
これが望ましい姿だろう。
一緒にするか訳が分からなくなる。
頭脳と身体のトレーニングを通して最終的には市場を理解できれば良いと思う。
特に体で覚えればリズムもテンポもハーモニーも身についてくる。
しかも・・・。
面白いことに資金運用あるいは株式投資では容易に弟子が師匠を越えられる。
1日でも早く株式投資を始めた人は「先生」となりえる不思議な場所だ。
だからこそ「教育」なんてタカピーな言葉ではなくパターンを覚える「学習」という表現の方が望ましい。

(兜町カタリスト 櫻井英明)