みちしるべ 22年01月24日号
兜町カタリスト『櫻井英明』が日経平均株価や株主優待、投資信託、NISAなど幅広く紹介していきます。企業訪問を中心により密着した情報も配信中です。
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話題レポート
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《Eimei「みちしるべ」》





(1月24日→1月28日の週)

1月14日時点のQuick調査の信用評価損率は▲10.61%(前週▲11.30%)。
2週間ぶりに改善。
1月14時点の信用売り残は65億円増の6854億円。
2週連続で増加。
同信用買い残は751億円増の3兆4398億円。
2週連続で増加。
信用倍率は5.02倍(前週4.96倍)。
2週ぶりに5倍台。
1月14日時点の裁定定売り残は287億円減の85億円。
3週連続で減少。
裁定買い残は528億円増の4145億円。
5週連続で増加。

今年の曜日別勝敗(1月21日まで)

月曜1勝0敗
火曜1勝2敗
水曜2勝1敗
木曜1勝2敗
金曜0勝3敗

1月第2週の週間海外投資家動向。
現物727億円売り越し(4週ぶりに売り越し)。
先物2729億円売り越し(6週ぶりに売り越し)。
合計3456億円売り越し(4週ぶりに売り越し)。

1月第1週の週間海外投資家動向。
現物2988億円買い越し(3週連続で買い越し)。
21年10月第1週(4788億円)以来の高水準。
先物448億円買い越し(5週連続で買い越し)。
合計3437億円買い越し(3週連続で買い越し)。

★日経平均想定レンジ

下限26954円(8月20日安値水準)−上限28506円(25日線水準)

日銀のETF買い。
アベノミクス前の12年の6397億円水準に近い8734億円(12月27日)まで低下した。
1?3月は5930億円、4月以降は2804億円と激減。
前年の20年は史上最高の7兆1366億円(上限枠は年間12兆円)から見ても超激減。
今年はまだ701億円だ。
3か月買わない日が2回もあればこうなる。

「もっと遠くまで跳びたいのなら、チョッと後ろに下がると良い」。
慰めと聞こえるか、励ましと聞こえるかは千差万別。

そして・・・。
自動車の運転で言われることは相場にも通じる。

(1)死角に注意
(2)まだ間に合うはもう間に合わない。
(3)覆面パトカーは後ろではなく前にいる。

2015年から日経は「予想1株当たり利益の算出法」を変更している。
従来は自社株を含めた株式数で利益を割っていた。
それが「自社株を除く発行済み株式数」への変更。
理由は「自社株買いの効果を利益指標にも反映させる計算は世界の趨勢」だから。
自社株買いの規模の大きい企業ほど予想1株当たり利益が増加し、PERが下がる。
ただ「時価総額については従来通り自社株を含む」というのは苦しい。
「自社株を除くのは主流とはいえない」からだという。

それにしても意味不明のことは多い。
ウィルス対策分科会の会長さんは「人流抑制より人数資」とコメント。
会食を制限する立場に変化はないが「大人数での大騒ぎ」がオミクロン拡大の源泉なのだろうか。
「感染は止める。社会は止めない」は都知事。
「行動の自粛とワクチン接種の加速」は愛知県知事。
デルタ型がなぜ減少したのかの分析もないままで、こんどは四方八方を考慮して「何か言わなければ」の印象。
もう一つは「インフレ警戒、世界株安」の見出し。
教科書的には「インフレに強い資産は株式」と習ったが時代が変わると定義も変わるのだろうか。
というか、もともと株式にはインフレ抵抗力がなかったのかも知れない。
「インフレは企業業績を拡大させるため、インフレ局面では株価が上昇しやすい。
モノの値段が下がるデフレよりも、値段が上がるインフレのほうが利益は大きくなりやすい。
だから株価も上がりやすい」。何度聞いた話だろう。
一方で「短期的な視点に立つと、インフレが起こる、もしくはインフレの兆しが見えると、
金融引き締めを警戒して一時的に株価が下落する可能性はあります」。
ちゃんと逃げは打ってあった。
どちらに転んでも間違えない結果に映るから専門家というのは大したもの。

日経朝刊では「株主優待75社廃止」の見出し。
昨年の廃止企業はここ10年で最も多くなったという。
2連続での減少はリーマンショック後の2009、2010年以来だという。
昨年9月末時点での優待導入社数は1476社。
新たに導入したのは42社で過去10年で最低だった。
上場企業全体に占める比率は37.9%。
2019年のピークから約2%低下したことになる。
廃止の理由は「公平な利益還元」。
そして「業績悪化」。
プライム市場で必要な株主数は800名。
以前の東証1部は2000人だったからバーは下がった。
その代わりに流通時価総額や1日あたりの売買代金が登場した。
言い換えれば「市場で人気を保つためには優待ではない」という思考法なのだろう。
配当に加え、自社株買いなどに中身は変化してこよう。
そしてさらに重要なのは本業の隆盛。
クオカードやお米は邪道と言い続けて15年くらい経過したが、ようやく残渣が減ってきたようだ。
株が上がらない時代の名残などにこだわっていては進めない。
本業に絡まない優待などあまり意味がないし、優待で騒ぐ稀有な市場からは脱却したいもの。

東証1部上場のIT企業の創業会長の話が印象に残った。

創業から長い間。
年始回りというとまずは銀行の支店長のところに行った。
年初の仕事始めは取引先よりも数行の銀行の支店長に「今年もよろしくお願いします」。
成長のための資金繰りこそ優先事項という状況だったからこれが重要な年中行事だった。
そういう企業ばかりだったから銀行支店長のところは門前市をなす状態。
数十社のトップや財務部長が毎年来る風景だった。
なにしろ資金がなければ成長は止まってしまうのだから当然だったろう。
ゴルフや会食の接待も数多く行っていた。
ただ、上場以降はこれに証券会社の事業法人部や引受部が加わった。
当時としては珍しかったことだと思う。
しばらく両方を訪ねる年始が続いた。
でも銀行の方が用事がなくなってきたのが現実。
「貸し出しはいくらでもします」と言われても、必要資金は潤沢。
売り出しでも債券発行でも何でも可能になったので必要がなくなってきた。
コロナ禍の影響もあってこの3年は銀行へは年始回りに行かなくなった。
証券会社だけは続けている。
というか、証券会社に行くことは銀行にいくよりも意味があるからだ」。
「銀行よサヨウナラ、証券よコンニチワ」と言われたのは1960年代のこと。
それでも肌感覚で感じることはなかったのが現実。
しかも運用中心のリテールの世界での話だった。
事業法人の世界で証券会社の営業マンが年始回りに行くのは当然のこと。
でもプライム市場の上場企業のトップが年始にあいさつに行くのが証券会社。
IPOを控えた会社やIPO直後の会社の話ではない。
プライム市場確定の東証1部上場企業のトップの話。
風景は明らかに変化してきたような印象だ。
おそらく現場の証券マンはこの変化には意外と気が付いていないのかも知れない。
「間接金融の世界から直接金融の世界へ」はお題目ではなくなってきたようだ。
その意味では証券界も媚びることではなく自信を持つことが必要になってこようか。

そして同会長氏。
「成長と分配は毎年行っています。
5%成長すれば3%の賃上げ。
25%成長だったら20%の賃上げ。
それを実行してきました。
年収600万円→800万円。
年収800万円→1000万円。
年収1000万円→1300万円。
この世界を描いてあげることで社員は成長を目指して動いてくれます」。
つまり鶏と卵の話のようだが成長の絵図を具体的に示し分配の未来像を絵描くこと。
多くの企業がこれを行えばよいだけのこと。
「非正規社員が多いから収入が上がらない」なんてことはなくなる。
加えて、賃上げ企業には税制優遇をするというのが政府の方針。
税務効果だけでも賃上げはできるはずだ。
政府は個々人の能力を高める施策に4000億円を投入という。
勉強して知識をつければ成長するのだろうかという疑問も残る。
「現場の売り上げと利益が成長すれば分配を増やす」。
単純な方が分かりやすい。

(兜町カタリスト 櫻井英明)


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