話題レポート
《Eimei「みちしるべ」》
《Eimei「みちしるべ」》(12月30日→年末年始の週)
12月20日時点のQuick調査の信用評価損率は▲8.86%(前週▲8.47%)。
2週ぶりに悪化。
12月20日時点の信用売り残は645億円減の7501億円。2週ぶりに減少。
同信用買い残は831億円増の4兆2891億円。3週ぶりに増加。
6月21日時点は4兆9117億円。6週連続で4兆円台。
信用倍率は5.72倍(前週5.16倍)。
8月9日が7.48倍、8月2日が8.72倍。
12月20日時点の裁定売り残は253億円増の2339億円。3週ぶりに増加。
当限は178億円増、翌限以降は74億円減増。
裁定買い残は494億円増の2兆859億円。2週連続で増加。
当限は656億円増、翌限以降は162億円減。
12月第3週(12月16日─12月20日)の海外投資家動向
現物4750億円売り越し(2週連続で売り越し)。
先物625億円買い越し(3週ぶりに売り越し)。
合計5375億円売り越し(2週連続で買い越し)。
個人は現物1565億円買い越し(3週ぶりに買い越し)。
現物389億円売り越し(3週ぶりに買い越し)。
合計1951億円買い越し(3週ぶりに買い越し)。
信託銀行は現物59億円買い越し(4週連続で買い越し)。
先物181億円売り越し(3週ぶりに買い越し)。
合計241億円買い越し(3週ぶりに買い越し)。
投資部門別売買代金では個人が現物で1183億円売り越し(前週3481億円売り越し)。
信用で2744億円買い越し(前週89億円売り越し)。
海外投資家が4750億円売り越し(前週5092億円売り越し)。2週連続で売り越し。
自己売買が2059億円買い越し(前週2427億円買い越し)。
信託銀行が59億円買い越し(前週1779億円買い越し)。
事業法人が2050億円買い越し(前週1975億円買い越し)。25週連続で買い越し。
今年の曜日別勝敗(12月27日まで)
↓
月曜24勝17敗
火曜30勝21敗
水曜19勝30敗
木曜27勝25敗
金曜29勝21敗
今年の自社株買いは約17兆円。
前年比7割増で3年連続の過去最高水準を更新した。
社数ベースでは1079社と前年比23%増。
17兆円は上場企業の純利益の3割。
配当総額と同じだ。合計すれば約6割。
「資本効率の改善」の要請は相当奏功している。
「トヨタがROE目標20%に」との見出し。
東証プライムの多くの企業が8%を目指している中で高い目標を掲げた。そしてROEの解説。
「純利益を自己資本で割って算出する」。多くの人にこれはわかる。
ただ、
(1)ROEは利益率(売上高純利益率)
(2)資産の活用度(総資産回転率)
(3)負債の活用度(財務レバレッジ)
に分解できる。
例えば借り入れで負債を増やすと財務レバレッジが高くなり、利益率が変わらなくてもROEが上昇するとの解釈。
借り入れた資金を自社株買いや配当に充てて自己資本を減らすと、ROEはより高くなる。
そう考えたときに、これは正しい経営行動なのだろうかとふと疑問が湧いた。
財務レバレッジが高いこと自体は、悪ではないという。
収益機会をタイムリーにとらえるため、あるいは事業成長を加速させるために、財務レバレッジを高めることは、積極的な経営とも考えられるとの解釈。これは納得できる。
あるメーカーさんのトップは「借金は悪だと思って、自己資本比率を高めることを進めてきた。
でも最近は財務レバレッジを活用する方がいいと思うようになった」と語られた。
これはあくまで設備投資が限定での発言。これはこれでいい。
しかし「借入金で自社株買いと増配」っていうのも正しいのだろうか。
自社株買いと配当でマネーは出ていく。残るのは借金だけ。
単純に考えるとこういう図式になる。それが正しいのかどうか。
結局金融機関にとって悪くない説というだけではなかろうか。
財務分析のイロハのイではあるがよく理解できない。
★日経平均想定レンジ
下限38693円(200日線)―上限42224円(7月11日終値ベースの過去最高値)
25日付日経朝刊の「大機小機」。
紹介されていたのはかつてNYタイムズの論説欄を統括していた英誌エコノミストのジェームズ・ベネット氏の言葉。
「NYTは米国の進歩的エリートが実際には存在しない米国について独り言を言う出版物になりつつある」。そして筆者は言う。
「エリートの正しい議論が思い上がりと見なされ拒絶される。
多くの民主主義国で見られる現象だ。
我が国も近くそうなるのではないか。
高邁な議論を見るたびに危ういものを感じている」。
市場に置き換えれば「実際には存在しない市場について高邁な独り言で煙を巻く世界」。
そんな気がする。
「相場仙人修験道」というものはあるのだろうか。
7月11日に天井と言い、8月5日に底打ちと言ったのも理由を考えると下のような要因だった。
つまり、海外要因とか、政治経済要因とは全く違う観点で、素直にデータを見たということ。
これが実は、欲望や願望に左右されない強い相場観に結び付くような気がする。
来年は以下のようなことを心掛けながら相場を読んでいきたい。
↓
☆ニュースが相場をつくるのではなく相場はニュースの誘因となると心得るべし。
☆スマホを見なくなるのと一緒で切迫観念と周囲の雑音から遮断されると相場観は研ぎ澄まされる。
☆株価はすべからく思惑の産物であると考えるべし。
☆外部要因にとらわれず、罫線と原データだけを見て、相場の先行きだけを想像する。
☆罫線とデータだけを読み込んで未来を想像する。
☆株価の上下変動は結果であり、正誤の判断とはまた異なるもの。
☆相場の行方は相場の声に耳を傾けることだけで推理する。
☆極力、単純化して推理する。
☆欲望(財欲、名誉欲など)から離脱すべし。
☆目先の動きにとらわれず本質を見るべし。
朝日新聞の天声人語で紹介されていた「月を指せば指を認む」。
大乗仏教の「りょうごん経」になる言葉だという。
月を示そうと指さしても、肝心の月を見ないで指を見る。
道理を説き聞かせるのに、本旨を理解しないで、文字や言葉の端々にばかりこだわることの意味。
「言葉や文字の空を強調する教えを示したもの」と言われる。
「言葉や文字に囚われていると、言葉や文字の遊びになり、言葉や文字の解釈に明け暮れることになる。
それは指で指し示す方向にあるものを見ないで、その指の先端を見る愚かさに似ている行為」』という教え。
相場の解釈にも通じることばだ。
近来の相場解釈のテーマに通じるものがある。
昔から感じていたことだがどうも注目銘柄の動意が3か月から半年後になることが多い。
逆に言えば「注目するのが早過ぎる」。
例えば昨日大幅高した積水化学。
今年の6月にペロブスカイト太陽電池を材料に注目した。
ほとんど泣かず飛ばずだったが年末になってようやく同意。
ペロブスカイト太陽電池の原料となるのがヨウ素。
スタンダード市場での伊勢化学は今年大幅上昇していたから、積水の動きも当然ではあるが「ようやく」の思い。
もっとも半年ずれたとしても「ゆっくり投資」であれば弊害は少ない。
塩漬け10年に比べれば、遅くはない。
明日上がる株を見つけるよりは楽な作業だと思う。
(兜町カタリスト 櫻井英明)