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トヨタ自動車<7203>(東1・売買単位100株)は、計画している「AA型種類株式」(譲渡制限付き非上場種類株式)発行について、機関投資家の議決権行使を助言する米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)が反対を表明。米カリフォルニア州教職員退職年金基金(CalSTRS)も海外の投資家に閉ざされているとして、反対する意向を明らかにしている一方で、米グラスルイスはトヨタが資金調達の手法を多様化できるとして賛成を表明おり賛否が分かれている。
トヨタは日本国内の個人投資家向けに、5年間は譲渡できない株式を発行する計画。配当利回りが段階的に上昇する仕組みで、5年後には普通株式への転換を要求できる。発行の目的について中長期的に株主となり得る個人投資家の拡大を狙うほか、調達した資金を燃料電池車の開発や次世代技術のための研究開発に充てるとしており、16日の定時株主総会で3分の2の賛成を得ることができるか、市場はその動向を見極めようとしている。
足元の業績は、前2015年3月期業績実績が、売上高27兆2345億2100万円(前の期比6.0%増)、営業利益2兆7505億6400万円(同20.0%増)、税引前当期純利益2兆8928億2800万円(同18.5%増)、株主に帰属する当期純利益2兆1733億3800万円(同19.2%増)に着地。年間配当は200円(同35円増)を実施。
今16年3月期予想は、売上高27兆5000億円(前期比1.0%増)、営業利益2兆8000億円(同1.8%増)、税引前当期純利益2兆9700億円(同2.7%増)、株主に帰属する当期純利益同2兆2500億円(同3.5%増)と連続最高益更新を見込む。年間配当は未定としている。
株価は、3月24日に上場来の高値8783円と買われた後、8200円どころを下値にもみ合っている。投資信託協会が11日発表した5月の投資信託概況によると、公募投信の純資産総額は102兆4574億円で、初めて100兆円の大台に乗ったと伝わっているが、今後ボーナス資金などの流入が期待される。
今期予想PER12倍台と日経225採用銘柄の予想PER16倍台に比べても割安感があり、16日の定時株主総会でAA型種類株式の発行に3分の2の賛成を得られれば、素直に上値を試す展開が期待されそうだ。
(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)