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第1四半期の好調を先取りの展開、動きの軽い銘柄に資金集中
27日のユーロ圏財務省会合でギリシャ支援が決まればNYダウは反発、連れて週明けの日経平均も上昇に転じるものとみられる。支援が不発ならギリシャは6月末に15億ユーロの返済期限を迎えていることから返済不履行(デフォルト)、そしてユーロからの離脱が想定され、世界のマーケットはあるていど織込んでいるとはいえ波乱が予想される。
ただ、仮に、今回、支援継続になったとしても来月からまた返済に迫られるはずである。ギリシャは日本円で約33兆円もの債務を抱えているというから簡単ではない。観光以外は、これといった産業がなく収入獲得は難しく、欧州の景気が上向いて観光客が増えることが期待されるところだろうが直ちに好転する状況でもなさそうだ。1月の選挙で登場した現政権は緊縮・ガマン政策反対の支持を受けているだけに、賃金、年金カットなどは取り難いようでもある。
企業なら清算の道もあるが、国家となると難しいだろう。社会不安が起こり北アフリカのようにテロが蔓延しては欧州全体にとっても困ることである。このあたりを見越してか、ギリシャはロシアや中国に近づく姿勢をみせ牽制している。これから先もギリシャ問題は世界のマーケットの頭を押さえそうだ。
日本のマーケットは、ギリシャ不安からドル高(円安)もあって出来高は多くないが日経平均は2万1000円に接近、1993年6月の2万2750円以来の水準に値を上げている。「5月の3月期決算発表頃に比べ、円は一時125円台をつけるなど円安が進んでいるので第1四半期(4〜6月)の決算は悪くないはず。第1四半期で通期の会社側上方修正はないとしてもアナリストサイドでは上方修正を織込むレポートになるだろう」(中堅証券)との見方。7月に発表される第1四半期決算を先取りといえる相場だろう。
ただ、TOPIXは2007年の1823ポイントに届いていないことが示すようにマーケット全体が活気づいている状況ではない。引き続き売買代金2兆円強という限られた資金での回転の速い相場で値動きの軽い銘柄を狙う展開が引き続き予想される。
(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR 犬丸正寛の相場展望)