話題レポート
【どう見るこの相場】ギリシャ問題の行方と相場 |
■短期的には底打ち近いが中長期的には引き続き頭を押さえる材料
<Q>ギリシャの国民投票の結果が出たようだが。
<A>今朝、結果が明らかになった。EUからの緊縮要求に「反対」が61%、「賛成」が39%と、反対が大きく上回った。
<Q>どうなるのか。
<A>チプラス首相は、EUからの緊縮要求に反対して国民投票に打って出たわけだから、勝利したことでチプラス首相は続投し、改めてEUに対し強い姿勢で臨むことになる。
<Q>借金したものが強い姿勢に出るということか。
<A>この点が、企業と国家の違いで、難しいところだ。倒産企業ならマーケットでのプレーができなくなり、資産も無くなり、マーケットから消えることになるが、国家はプレーに参加できなくなるとしても国家を消滅させることはできない。倒産した企業の従業員はどこか他へ移ることになるが、国家の場合は、山も土地も鉄道も国民も残ったままになる。ここをどうするかが難しい。
<Q>放っておくとどうなるのか。
<A>ギリシャで社会不安が起こりテロなども心配されるなどEU28カ国、ユーロ圏19カ国にとっては楽しい話ではない。たとえば、第二次大戦でも敗戦のドイツと日本は過大な賠償は免じられた。負担を背負わせて経済の停滞することは戦勝国にとって、むしろ、マイナスということだった。とくに、第一次大戦でドイツに多額の賠償を命じたことでさらに戦争へ向かわせたという教訓があった。チプラス首相は債務再編を口にしていることからみてギリシャの債務棒引き、あるいは一部カットの要求を考えているのではないかと思われる。
<Q>しかし、EUとしてもハイそうですかということにならないのでは。
<A>甘い顔ばかりはできない。ギリシャと同じように借金の多いところもある。そういったところへの飛び火をEUは心配している。これから、EUとギリシャの正面からの厳しい交渉が始まるだろう。
<Q>ギリシャはユーロから抜ける可能性はないのか。
<A>十分、予想されることだ。ユーロ圏としては、ルールはルールだから再建のメドが立つまでは一時、枠外扱いとする可能性はある。ただ、ユーロのバックにはEUが控えているわけだからEUが本腰を入れて救済に乗り出すということになるのではないか。その際にギリシャは、約23兆円といわれる借金をめぐる交渉になっていきそうだ。ギリシャはロシアや中国との接近をチラつかせながら債務再編を迫る可能性もあるだろう。こうした点では、今回のギリシャ不安は一般企業の破綻の場合より銀行の破綻と似ているともいえうだろう。
<Q>マーケットへの影響は。
<A>今朝は日本が最初に開く市場で注目されるたが、日経平均は約340円と下げているが2万円はキープしている。この問題はマーケットに長く晒されてきた材料だけにいつまでも下げ続けないだろう。ただ、中長期的にはギリシャのユーロ離脱問題など交渉の行方、EU経済への影響を見守る必要があるから頭を押さえる材料だろう。リーマンショックの時も、当初はたいした影響はないとみられたが、影響は非常に大きかったという例もあるのであなどることはできない。
<Q>仮に、ギリシャのペースで交渉が有利に進んだとしてもギリシャにとって楽な道ではないように思われるが。
<A>ユーロから離脱すれば、通貨「ユーロ」からギリシャ独自の通貨に移ることになるだろう。その場合、ギリシャ通貨がどう評価されるか。貿易などで厳しい場面も予想されインフレも予想され金利は非常に高くなり経済活動は今以上に厳しくなることも予想される。仮に借金が全面免除されたとしても自分たちの力でどこまで経済を立て直すことができるか。国民がヤル気になるかどうかがポイントになってくるだろう。
(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)