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【株価診断】 東芝の株価予測3つの方向、オリンパス型なら好買い場だが? |
東芝の株価予測3つの方向、オリンパス型なら好買い場だが?
東芝<6502>(東1・売買単位1000株)は、明治6年(1873年)に田中久重が政府機関から受注した通信機を開発、受注拡大に伴い東京銀座に工場を創設、のちの田中製造所の創業であり東芝の発祥となった。関東大震災時には医療機器分野に進出、1939年に東京電気と芝浦製作所が合併し東京芝浦電気が発足した。
創業140年余の歴史に今回、大きい汚点を残した。水増し経理で1500億円を超す利益下方修正が必要と外部第三者委員会から求められている。しかも、不正経理が経営者自らの指示によって行われたという。
経営者が会社のカネをネコババしたということではないが、公表された数字を信じて投資した投資家に株価値下がりによる直接的な損失だけでなく、上場企業全般に対し不信感を与えた罪は大きい。とくに、NISA導入など長期投資が進められている最中だけに、「やはり株は信用できない」という空気の強まることが怖い。
今後の同社株のシナリオとしては、(1)悪材料出尽くしからオリンパスのような株価急伸となる、(2)社内の意識改革に時間がかかり業績と株価の低迷が続く、(3)最悪のケースでは、名門企業という立場からマーケットに与えた信用毀損を考えると西武鉄道のように一旦、上場廃止になる−−、といったことがマーケットでいわれている。
今回の問題が発覚する前の株価は昨年12月の548円50銭が高値。問題発覚で5月12日に375円20銭まで高値から31.5%下げて、一旦、底打ちし6月に450円まで戻していた。その後、第三委員会の調査待ちの中、ジリ安を続け7月16日に361円20銭と昨年12月高値から34.1%下げたところで底打ちし22日は407円50銭まで戻している。
オリンパスの場合は問題発生前の3100円前後から2011年11月に424円まで80%超下げて底打ちし、問題発生後、ソニーが筆頭株主となったこともあって急反発に転じ、22日は4925円とボトムから実に10倍を超える上昇となっている。高値で買って安値圏で投げたとしたら大損を被ったことになるが、逆に、ボトム圏で買った向きは大きく儲けた計算だ。東芝が上場廃止とならず、オリンパスのようにコーポレートガバナンスを強化して改質改善に努めるということなら中長期で好買い場ということになるだろう。
仮に、「日本を代表する名門企業がマーケットを無視した不正経理の罪は重く、一罰百戒で上場廃止の可能性を完全に否定することはできない」(中堅証券)ということから上場廃止となれば大量の信用買残が処分売りに回り株価下落に拍車を掛けることになるだろう。
とくに、気になるのは不正経理の期間中に1兆円規模のファイナンスを実施したと報道されていることだ。事実とすれば詐欺にもなるだけに刑事事件となる可能性もあるだろう。
不正経理問題が後を絶たないことや、日本が今、「預貯金から投資へ」という大切な流れの中にあるだけに社会及び関係当局がどのような判断を下すか注目される。
(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)