HGF遺伝子治療薬
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HGF遺伝子治療薬
HGF遺伝子治療薬開発プロジェクト HGFは、肝臓の細胞を増やす因子として1984年に日本で発見されました。
最初は、肝臓の病気の治療薬として研究されていましたが、HGFの遺伝子を投与することで血管を新しく増やす治療法が1995年に大阪大学の森下竜一教授らの研究チームにより発見されました。
HGF遺伝子治療薬は、血管が詰まり血流が悪くなっている虚血性疾患に対し「血管を新生する」というこれまでにない作用を有する治療薬になる可能性があります。
血管が詰まることによって生じる病気には、例えば、(1)糖尿病などによる動脈硬化が原因で足の動脈が閉塞し、血液がうまく届かず壊死して最終的には足を切断しなければならなくなる末梢性血管疾患(閉塞性動脈硬化症やバージャー病)、 (2)心臓の冠動脈の血液の流れが悪くなって起こる虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)等があります。
これらの病気に対する現在の治療法として、重症例に対しては薬物療法に加えてバルーンカテーテルによる血管内治療(カテーテルにより血管を通して動脈の再疎通を行う治療法)や外科的なバイパス手術が行われますが、それでも十分に回復しない場合もあります。
HGF遺伝子治療薬は、こうした他に治療法がない症例に対する治療薬として期待されます。
注射によるHGF遺伝子治療(末梢性血管疾患)
リンパ浮腫とはリンパ管の障害によってリンパ流が停滞し発生する浮腫で、リンパ系そのものの先天的な障害(原発性リンパ浮腫)や乳がん手術のようなリンパ管に対する損傷(続発性リンパ浮腫)が原因で発生します。
現在の治療としては、滞留したリンパ液の流れをよくするためのマッサージや弾性着衣の着用等が行われていますが、治療を止めるとすぐに悪化してしまうため、 患者さんは生涯にわたり治療を続ける必要があり、 根本的な治療法が存在しません。
HGF遺伝子治療薬は、リンパ管新生という新規の作用を有していることからリンパ浮腫の根本的な治療薬としても期待されます。