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「金利」
「金利」
「金利」
 
金利というものが市場でネタになっている。
その金利。
カトリックでは禁じられていたという歴史があるというから面白い。
しかし、貨幣経済が広く浸透した13世紀頃から、実態としては利子取得は一般的に行われるようになったという。
16世紀には、宗教改革の指導者の一人であるジャン・カルヴァンが5%の利子取得を認めた。
イギリスでは1545年にヘンリー8世が10%以内の利子取得を認める法令を発布した。
 
余談だが・・・。
複利計算のマジックがある。
ヨゼフが息子キリストの誕生のときに、5%の利子で1プフェニヒを銀行に預けたと仮定。
ヨゼフが1990年に現れたとすると・・・。
地球と同じ重さの黄金の玉を銀行から13億個も引き出すことができることになるという。
時間と金利のマジックだ。
 
日本ではどうだろう。
日本で初めて出来た貨幣「和同開珎」。
西暦708年からあったというから金利もあったのだろう。
鎌倉時代などを経て、江戸幕府の最初の頃は年率20%が上限金利だった。
元文元年(1736年)には15%に引き下げられた。
天保13年(1842)の法令では、法定利率が年率12%に引き下げられた。
現在も適用されている利息制限法は1877年施行。
その頃の金利は最高日歩50銭、年率で換算すると182.5%。
1954年に利息制限法の改正と出資法が施行された。
これ以降も何度か上限金利の引き下げが行われ、現在の上限金利20%に落ち着いたというのが歴史。
 
因みに出資法の金利改正による上限金利の変遷。
 
 年   上限金利 
1954年  109.5% 
1983年  73% 
1986年  54.75% 
1991年  40% 
2000年  29.2% 
2010年  20%
 
金利の上限というのは法律で制限されているというのが現実。
しかし、面白いことに金利の下限は法律で制限されていない。
だからマイナス金利が登場するのである。
法の世界では、金利のマイナスは影響を与えないと考えているのだろうか。
因みに高度経済成長時代の過去最高の普通預金の金利は1974年の3.0%。
今の普通預金の金利は0.001%程度ですから、3000倍も違うということ。
定期預金で考えてみても500倍くらいは違います。
 
昔の金貸したちが得ていたのはプラスの金利。
法外な高さは禁じられました。
今の庶民が略奪されている金利も実は「得ていた筈の財産」とすればすごい料率になる。
この議論は当然、法的にされてはいない。
しかし、上も下も限界はあるというのが市場であることは間違いない。
 
ところで・・・。
意外なところで世界史とか地理とかいうものが、市場観測では結構役立つことがある。
例えばアメリカとメキシコの問題。
今の境界線に壁を作るということが話題になるが、もともとテキサスやカリフォリニアなど米中西部はメキシコだった。
それを踏まえると、移民が多いという現実と歴史的には自分たちの国を移動するという行為。
これが底流にもあるということに気が付かないと、事の本質には迫れないような気がする。
 
あるいは、中国という国。
ココは領土が広い代わりに接する国も多い。
昔は「北夷南蛮」などとも言われた。
南を攻めれば北から攻められるという形は変えようがない。
だから周囲を制圧するのは難しく、朝貢なんてことも行っていた。
しかし、貢物の何倍ものお返しをするのだから財政的には持たなかった。
あるいは、海洋戦略でインドシナなどへ出ようとしても、もともとは大陸国家。
なかなか勝てるものではない。
この地政学というのが、過去からも未来からも変えようがないもの。
これらを踏まえて、米中貿易摩擦問題なども考える必要があるだろう。
 
国家戦略と地政学、あるいは大地の形状というのは、凝視しておかなければならない。

(櫻井)
 
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