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中国の不動産大手・恒大集団とは?
中国の不動産大手・恒大集団とは?
中国の不動産大手・恒大集団とは?

Q&A形式でまとめてみた。

 

Q:恒大集団とは?

A:中国最大級の民間企業で、不動産開発大手。280以上の都市で事業を展開している。中国政府が推し進めてきた改革開放路線の下、ここ数十年間、不動産開発事業で急成長してきた。同社の許家印会長は、一時は中国一の富豪に上り詰めたが、2017年に430億ドル(約4兆7000億円)あった資産は、現在は90億ドル(約9900億円)を下回っている。
 

Q:事業内容は?

A:中核は不動産業だが、近年は多角化を進めている。中国ではサッカークラブの広州FC(前身は広州恒大)の運営母体として広く知られている。ミネラルウオーターや食品の販売も手掛け、観光業、インターネット関連サービス、保険、ヘルスケアにも投資。子ども向けのテーマパークも建設し、ディズニーランドより広いとうたっている。2019年には電気自動車(EV)開発を手掛ける「恒大新能源汽車集団」を設立した。ただし、市場に投入されている車種はない。
 

Q:問題点は?

A:一言で言えば、負債だろう。
恒大はここ数年、中国国内の不動産バブルを追い風に買収を積極的に行ってきた。しかし今月に入ってから、負債総額が1兆9700億元(約33兆5000億円)に膨れ上がっていることを公表し、「デフォルト(債務不履行)に陥るリスク」があると警告した。格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスに続き、フィッチ・レーティングスとスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)も恒大の格付けを相次いで引き下げた。

恒大の株価は、今年になって約80%下落した。請負業者やサプライヤーからは支払いが滞っているとの苦情が聞かれ、また債権者からも返済を求める声が上がっている。恒大と投資家の双方は、約1300億元(約2兆2000億円)の返済に関して合意したものの、同社の返済能力は疑問視されている。恒大は13日、経営破綻は回避できると主張したが、翌14日、「否定的な報道が続いている」ことから今月も不動産販売に悪影響が出ているとして、キャッシュフローと流動性が大きく圧迫されかねないとの考えを示した。深センの本社には、多数の投資家が抗議に押し掛ける事態となった。
 

Q:今後の展開は?

A:不動産業は中国経済のけん引役の一つであり、新型コロナウイルス禍後の経済再建に向け重要な役割を担っている。業界を代表する大企業が破綻すれば、多方面への影響は必至だ。

落としどころとして可能性が最も高いのは「管理された再編」だと指摘。「他の開発業者が、恒大が開発用に保有している土地の権益と引き換えに未完成の物件を引き継ぐことになるだろう」との見方を示した。

恒大は、香港で上場しているネット事業や地方銀行、中国本土の不動産会社などの保有株を売却してきたが、香港本部ビルの売却では難航している。しかも、新たな規制によって未完成の不動産物件を販売できなくなったため、恒大がこれまで資金繰りに主に利用してきた先行予約販売の手法にも頼れなくなった。
ただアナリストの中には、恒大のような巨大企業の破綻を中国政府が放置する可能性は非常に低いと見る向きもある。体制の安定が損なわれかねないからだ。

一方で、政府が救済する公算は小さいとみている。恒大は「過剰な借り入れによる成長が許されてきた時代の申し子」だが、「政府としては規律の強化を求めている」と話した。(時事通信より)


 
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