「発想」
「発想」 |
このところの話題は「東証1部」の問題。
プレミア市場を創生するとか、東証1部上場銘柄を絞り込む、とか議論が喧しい。
東証1部は優良企業と小粒で低収益な企業が混在する「玉石混交」の状態。
1部市場の上場企業数を絞り込むのは、優良企業にマネーを誘導する狙い。
などなどの方向性が登場している。
しかし「優良企業」とは何なのだろう。
ESG経営を行っていて、業績が右肩上がりで、社外役員や女性役員が多い。
財務体質も健全でROEが2ケタ以上というのもあるのだろう。
しかしこれが「優良企業」の条件なのだろうか。
80年代の日本企業のいくつかは「エクセレント・カンパニー」と呼ばれていたことがある。
あるいは「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われてこともある。
価値観が変わった訳ではなく、おそらく成長性が陰り、エクセレントの座を明け渡したのだろう。
ということは、エクセレント・カンパニーにまず求められるのは事業の継続と成長性。
この成長性こそが、株式市場で求められるものだ。
しかし、今行われようとしているのは「時価総額の基準の引き上げとか英文開示などの義務付け」。
どうぞ1部へ来てくださいと招聘して、今度は突き放すかのような「時価総額増加期待」。
あまりに企業を弄んでいるように見えるのは気の所為だろうか。
収益の改善の見えない企業、あるいは時価総額の増えない銘柄にペナルティというのは理解できる。
ということは今回の動きは「叱咤激励」と考えてよいのかも知れない。
一方で課題となるのは「上場企業による自社株の消却の増加」。
2018年度は5兆3000億円強と過去最高を更新する見通しだという。
「消却」は自社株買いで市場から取得した株式を企業が消滅させること。
発行株式数の減少や、無駄な資本を圧縮する効果に期待しているということだろう。
「資本効率の改善などで本気度を示し株主重視を強く打ちだそうとする動き」との解釈だ。
しかし・・・。
「剰余金を設備投資に回すよりも自社株買いに回した方が良い」というのは株価的発想なのだろうか。
「自社株を買う方が、事業の進展よりも儲かる」という発想では、成長は覚束ないような気がする。
財務的にROEを高くすることが至上命題というのは正論だがある意味学者の論理。
成長性こそ株価であるならば、業容の拡大に資金は投入すべきだろう。
縮小均衡の世界に発展はない。
東京エレクトロンのトップインタビュは今朝の日経朝刊。
メモしておきたい言葉がいくつかあった。
「メモリー中心に調整局面にあることは間違いない。
価格が下がることで半導体の普及が進む側面もある」
「一時的な調整とみており、深刻な減速とは考えていない」
「半導体市場が中長期に成長する大きな流れは変わらない。
IoTやAIの時代が到来。
次世代の高速通信規格の5G向けの投資も始まる。
大規模なデータセンターの建設ラッシュは続く。・
そこで使うサーバーは定期的に入れ替える必要があろう」。
「半導体は大容量、高速化が進み、消費電力も抑える技術開発が求められるようになる」。
「市場の拡大ペースは速くなり、半導体市場は今後10年で倍増。
1兆ドル規模になるとの予測もある」
「半導体市場の調整は長期化せず、今年後半から来年にかけて。
ロジック半導体がけん引する格好で再び上向く可能性がある。」
「当社は今年の半導体の前工程製造装置の市場について15〜20%の減少予測。
しかし回復が早まれば実際の落ち込みは少し小さくなることも期待できる」。
(櫻井)