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英明コラム 9月2週 マーケットストラテジーメモ
「英明コラム 9月2週 マーケットストラテジーメモ」


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《マーケットストラテジーメモ》 9月第2週

【推移】

7日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数は続落。一時プラスの場面もあったが売り込まれた後戻す展開。NASADQ一時2日の過去最高値から最大9.9%下落した場面があった。ただアップル、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブックが終盤にかけて下落幅を縮小し下げ渋る展開。

ソフトバンクグループがここ数週間の米国株の上昇局面で、オプション市場に多額の資金を投じたとの報道。「ハイテク優良株のバリュエーションが高すぎるとの懸念が深まった」との解釈だ。「幽霊の正体を見れば枯れ尾花」の心理なのかも知れない。

日経平均株価は115円安の23089円と続落。前週末のNY株安の流れを引き継いで、ハイテク株を中心に利益確定売りが出た。「レーバーデーの祝日でNYが休場のため様子見姿勢が強まった」との解釈だ。日中値幅は131円33銭。

東証1部の売買代金は1兆9245億円と9月に入って以降5日連続で2兆円を下回った。SBGのマイナス寄与度が100円程度でこれが効いた。ファナック、オークマが上昇。エムスリー、NECが下落。

8日(火):
NYはレーバーデイで休場。欧州株式市場は3営業日ぶりに反発。「米国市場が休場となる中、中国の輸出の伸びが相場を後押し。先週の弱気心理がやや持ち直した」との見方だ。

日経平均株価は184円高の23274円と3日ぶりの反発。景気ウォッチヤー調査の改善も追い風になった。
東証一部の売買代金は2兆971億円と6日ぶりの2兆円超。日足は2日ぶりに陽線。ファーストリテイリング、リクルートが上昇。SBG、ダイキンが下落。

9日(水):
3連休明けのNY株式市場で主要3指数は3日続落。NYダウとS&P500は2%超、NASDAQは約4%それぞれ下落。フェイスブック、アマゾン、アップル、マイクロソフト、アルファベッ、ネットフリックスなどテクノロジーセクタは軒並み安。
日中安値で、各社の合計時価総額は今月2日から1兆ドル超縮小した。テスラの21.1%安も効いた。「SBGがここ数週間の米株の上昇局面でオプション市場に多額の資金を投じたと報じられたことで投資家が警戒を強めた」との解釈。

日経平均株価は241円安の23032円と反落。東証一部の売買代金は2兆4180億円。郵船、東ソーが上昇。SBG、アドバンテストが下落。

10日 (木):
水曜のNY株式市場で主要3指数は揃って4日ぶりに反発。主要株価指数の上昇率はS&P500が6月5日以来、NASDAQが4月29日以来、NYダウが7月14日以来の大きさ。
ただ上昇幅は前日の下落幅ほどではなかった。このところ急落していたハイテクセクターの反発が効いた格好。テスラが10.92%、アップル、マイクロソフト、アマゾンが約4%の上昇。フェイスブックやアルファベットも上昇した。「新型コロナでどのような問題が起こっても、これらの企業が生き残ることを市場は知っている」という見方だ。

日経平均株価は202円高の23235円と反発。新型コロナウイルスのワクチン開発を巡る不透明感が和らいだ買いと目先の利益を確定させる売りの交錯。大引けにかけダウ先物が持ち直すと日経平均も次第に強含んだ。
東証1部の売買代金は2兆1663億円。楽天、日電産が上昇。ダイキン、東エレが下落

11日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は揃って反落。前々日の安値水準に戻ってしまった。荒い値動きとなったが下落の要素はハイテクセクターの反落。テスラは1.4%高だったがアップル、マイクロソフト、アマゾンが3%程度下落した。週間新規失業保険申請件数(季節調整済み)は88万4000件と前週から横ばい。
共和党が提出した3000億ドル規模の新型コロナウイルス追加経済対策法案の採決に向けた動議を上院が否決。警戒感が高まったとの解釈だ。

日経平均株価は171円高の23406と続伸。朝方はNY株安を受け売り先行。後場上昇幅を拡大した。暫定メジャーSQ値(23272円88銭)は上回った。海運などバリュー(割安)株の一角を中心に指数を押し上げた格好。「一部では生保の押し目買いが入ったとの見方」との声もある。9月配当取りの動きも見られた。
東証1部の売買代金は2兆5640億円と4日連続の2兆円超。ダイヤHD、キリン堂が上昇。すかい、サムコが下落。

(2) 欧米動向

雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比137万1000人増と伸びが鈍化。
市場予想は下回った。
ただ失業率は8.4%に改善し予想を上回った。
マーケットインパクトは限定的だった印象。


(3)アジア・新興国動向

中国人民銀行が11日発表した8月の経済全体のファイナンス規模は3兆5800億元(約55.62兆円)。
7月は1兆7000億元だった。
市場予想は2.59兆元と見込まれていた。
8月のマネーサプライ(通貨供給量)統計では、M2は前年同月比10.4%増加。
「国債発行増加など緩和的な政策の効果が続き、景気回復を支えている」との見方だ。

【展望】

スケジュールを見てみると・・・。

【9月】陽線確率6勝4敗(陽線確率60%)、過去15年10勝5敗(1位)
    気学では「上旬・中旬は強調。秋分以降は売り一貫のとき」


14日(月):第三次産業活動指数、自民党総裁選投開票、
15日(火):米FOMC(→16日)、NY連銀製造業景気指数、輸出入物価、鉱工業生産、国連総会開会、中国各種経済指標、アップルのオンラインイベント、株高の特異日
16日(水):日銀金融政策決定会合(→17日)、貿易統計、訪日外客数、米小売売上高、
企業在庫、NAHB住宅価格、対米証券投資、パウエル議長会見、変化日
17日(木):黒田日銀総裁会見、米住宅着工件数、フィラデルフィア連銀製造業景況感、ADB年次総会
18日(金):消費者物価、米経常収支、CB景気先行指数、ミシガン大学消費者信頼感、株高の特異日、鬼宿日・天恩日、FTSE日本指数パッシブ売買インパクト

ウォーレンバフェット氏と孫正義氏の動き。
この2つの出来事から見えてきたのは「自分のことだけを考えている」。
バフェット氏は「なんだアビトラか」と自然の行動に映る。
しかも「半年かけて買った」のですから、ほとんどナンピン状態。
「日本の総合商社の未来に期待して」。
あるいは「日本株再評価にも少なからぬ影響を与える」。
そんな解釈は高邁だが色褪せてしまいそうだ。
孫氏は持っている現物の価値を高めるために、コールオプションを買う行動。
投資行動として間違ってはいないのだろう。
しかし・・・。
当たり前のことだが、市場では見透かされない行動というのも大切なもの。
記憶力と想像力・創造力がぶつかり合う場所で「見透かされ」ではいけない。
似て非なものに映るのが楽天。
「第2の創業」ともいえる携帯電話事業に専念する姿勢が鮮明になってきた。
投資家と実業家の差とでもいうのだろうか。

株価が調整基調となったNY。
弱くなると弱気が津お嬢するのは洋の東西を問わないようである。
例えば・・・。
S&P500のPERは2日に23倍台台後半。
2000年のITバブルの時の26倍に接近。
だから調整。
あるいは、9月はリバランスの時期。
月末にかけて2000億ドルの売りが出るとの試算。
ただ、イールドスプレッドは3.6%。
「債券市場が崩壊しなければ株バブルの崩壊しない」との見方もある。
その高値水準でクジラが泳ぎだしたとの指摘。
まさか、SBGのファンドをクジラと呼ぶ日が来るとは思わなかった。

(兜町カタリスト 櫻井英明)
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