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NYダウ125ドル安、米企業収益の頭打ち懸念
【市況】NYダウ125ドル安、米企業収益の頭打ち懸念
 
23日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前日比125ドル98セント安の2万5191ドル43セントで終えた。
 
朝方に2018年7〜9月期決算を発表した建設機械大手キャタピラーと工業・事務製品大手スリーエム(3M)がそろって12月通期業績予想について、慎重な見通しを示したことから、ダウ構成銘柄である両社株が急落。相場急落を主導し、午前中にダウは一時550ドル近い下げを記録した。「通商摩擦の激化やドル高進行、原材料コストの増加で米主要企業の収益拡大が頭打ちになる」との懸念が広がった。
 
キャタピラーは、決算で12月期通期の業績見通しを据え置いた。発表資料ではトランプ政権による鉄鋼関税が原材料コストを押し上げていると説明し、嫌気した売りが膨らんだ。3Mは7〜9月期決算が市場予想を下回ったうえ、12月期通期の1株利益の見通しを下方修正した。
 
2銘柄ともダウ平均構成銘柄のうち、代表的な中国関連とみなされている。政府の景気刺激策後も中国株は戻りが続かず、中国景気の減速懸念が強いことも売りに拍車を掛けた。
 
世界的な株安で安全資産とされる米国債が買われ、長期金利が低下した。利ざや縮小の思惑からゴールドマン・サックスなど銀行株が下落。原油安でシェブロンなど石油株も売られ、ダウ平均を押し下げた。
 
もっとも、朝方は米株の変動性指数(VIX)の上昇を受けた機械的な株売りもあったもよう。200日移動平均を下回り、テクニカルに着目した売りも出たとみられている。こうした売りが一巡した後は徐々に下げ幅を縮める展開だった。
 
23日は航空機・機械のユナイテッド・テクノロジーズ(UTC)や外食のマクドナルド、通信のベライゾン・コミュニケーションズが決算発表後に買われた。ほかの通信関連や消費財・小売関連の一角に買いが向かい、相場を下支えした。
 
ナスダック総合株価指数は反落し、前日比31.090ポイント安の7437.539で終えた。アマゾン・ドット・コムやマイクロソフトなど週内に決算発表を控える銘柄が大きく売られた。エヌビディアやマイクロン・テクノロジーなど半導体関連も軟調だった。ただ、相場全体が戻りを試すのにつれてアップルやアルファベット(グーグル)など主力株が買われ、指数も小幅高に転じる場面があった。
 
セクター別では、電気通信サービスや自動車・自動車部品が上昇する一方でエネルギーや運輸が下落した。
 
個別では、建設機械のキャタピラー(CAT)は、鉄鋼価格の上昇や関税引き上げによる原材料コストの上昇に懸念を示し下落した。事務用品などのスリーエム(MMM)は、通期見通しを引き下げ軟調推移。原油相場の下落で、エネルギー会社のチェサピーク・エナジー(CHK)や深海油田開発のトランスオーシャン(RIG)などエネルギー銘柄が売られた。オートバイメーカーのハーレー・ダビッドソン(HOG)は、約24万台のオートバイのリコールを発表し下落した。
 
一方で、ファストフードのマクドナルド(MCD)は、決算内容が好感され上昇。通信大手のベライゾン(VZ)は、業績見通しが市場予想を上振れ堅調推移となった。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
25,191.43−125.98
S&P500種
2,740.69−15.19
ナスダック
7,437.539−31.090
 
米10年債利回り(%)
3.1714 -0.028
米2年債利回り(%)
2.8832 -0.029
 
NY金(ドル/トロイオンス)
1,236.80              +12.20
NY原油(ドル/バレル)
66.15−0.28
円・ドル
112.41 - 112.42+0.09


 

【シカゴ日本株先物概況】


シカゴ日経平均先物は反落した。
12月物は前日比300円安の2万2175円で取引を終えた。大阪取引所の終値は255円上回った。米株式市場で株価が大幅下落し、日本株先物も連れ安した。
 
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
22175 ( +255 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
22205 ( +285 )
( )は大阪取引所終値比




【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6955.21(−87.59)
FTSE100種総合株価指数は世界的な株安を受けて大幅続落した。前日22日の終値に比べ87.59ポイント安の6955.21と、3月下旬以来の安値水準で引けた。
約2週間ぶりに7000ポイントの節目を終値で割り込んだ。
指数構成銘柄全体の7割超が下落した。日本や中国の株価が急落した上、他の欧州株も軒並み下落。欧州時間の午後にオープンした米国市場でも軟調とあって、売りが先行した。
資産運用株やギャンブル関連株、非鉄金属や石油などの資源株の一角の下げが目立った。一方で、産金大手は急上昇した。
 
個別銘柄では、オンライン食品販売オカド・グループが9.7%安と急落。資産運用大手シュローダーが4.2%安、同ハーグリーブズ・ランズダウンは4.2%安、投資会社メルローズ・インダストリーズも4.3%安となるなど、資産運用株が売られた。
原油の大幅な下落を背景に石油株が全面安となった。銀行株をはじめ金融株も下げた。ギャンブル事業のGVCホールディングスは7.1%安と下げが目立った。
 
半面、安全資産とされる金塊相場の急上昇で、産金大手フレスニーヨが9.1%高、同ランドゴールド・リソーシズも3.8%高と急騰した。外国為替でポンドが下落し、通貨安の恩恵を受けやすいたばこ株が堅調だった。たばこ大手ブリティッシュ・アメリカン・タバコは4.2%高、同インペリアル・ブランズも1.5%高と上昇した。
 
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11274.28(−250.06)
ドイツ株式指数(DAX)は大幅続落した。終値は前日22日と比べて250.06ポイント安の11274.28と、2016年12月中旬以来、約1年10カ月ぶりの安値水準だった。1日の下げ幅としては8月以来となる。
 
この日のアジア株の大幅下落が欧州株にも波及したほか、サウジアラビアをめぐる地政学リスクやイタリアの財政問題の先行き懸念も投資家心理を冷やした。医薬・農薬大手のバイエルが急落した。子会社が販売する除草剤の発がん性をめぐる米国での裁判判決が嫌気された。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 4967.69(−85.62)
フランスの株価指数CAC40は1%前後下落し、年初来安値となった。

 
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