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英明コラム 5月第3週 マーケットストラテジーメモ
「英明コラム 5月第3週 マーケットストラテジーメモ」


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《マーケットストラテジーメモ》5月3週

【推移】
 
18日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数は不安定ながらも上昇。新型コロナウイルスに絡む制限措置の緩和で経済活動再開への期待が拡大。
一方、中国のファーウェイへの半導体輸出規制は強化の方向。中国はアップル、シスコシステムズ、クアルコム、ボーイングなどの米企業を「信頼できない実体リスト」に加える方向で米中貿易摩擦への懸念は継続した。
フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は2.2%安。小型株指数のラッセル2000指数は1.6%高。治験抗体候補に新型コロナの潜在的な感染抑制効果が見られた医薬品のソレント・セラピューティクスは158%の急騰。4月の小売売上高は前月比16.4%減。統計開始の1992年以来の大幅なマイナスを2カ月連続で更新。
 
日経平均株価は96円高の20133円と続伸。「米国による中国への圧力は米大統領選に向けて強まることはあっても弱まることはないだろう」との声もある。上値は重く下値は堅い値動きだった。東証1部の売買代金は2兆37億円。SBG、エムスリーが上昇。ソニー、東エレが下落。
 
19日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数は大幅に続伸。NYダウは一時1000ドル以上上昇。終値は911ドル(3.9%)高の24597ドルと4月29日以来の高値水準を回復。
NASDQAQは220ポイント高の9234ポイントと2月21日以来ほぼ3カ月ぶりの高値水準。S&P50は2953ポイント終値ベースで10週間ぶりの高値水準。上昇の背景は「ワクチン」。バイオ製薬のモダーナが新型コロナのワクチンの初期の臨床試験で効果が確認されたと発表。「ワクチンが早期に完成すれば経済活動は正常化が進む」との解釈だ。
 
日経平均株価は299円高の20433円と大幅に3日続伸。一時500円以上上げた局面もあったが安値引け。上値が重かった。東証一部の売買代金は2兆5408億円。OLC、パナソニックが上昇。任天堂、SBGが下落。
 
 
20日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数は4日ぶりに反落。ただ前日の上昇幅を消すほどではなかった。前日上昇材料になった新型コロナウイルス感染症のワクチン「モデルナ」の治験データに否定的な報道を嫌気。
「市場は経済指標よりも医療関連の情報をはるかに注視している。GDP成長率や企業業績、経済指標などが第2四半期に大幅に落ち込むことは見込まれている。市場をけん引するのは医療の最前線に関する良いニュースだ」というのが市場の声だ。
 
日経平均株価は161円高の20595円と4日続伸。75日線を明確に超えた。米中問題の懸念後退を受けてNY株価先物指数の時間外取引での堅調推移を好感。上昇幅は一時250円を超え前日のザラバ高値を抜けた場面もあったがその先の上値は重かった。
TOPIXも4日続伸。東証1部の売買代金は2兆1730億円。JPX、SBGが上昇。ソニー、フィルムが下落。
 
21日 (木):
NY株式市場で主要3指数は反発。前日の下落分を取り戻した。「ロックダウン(都市封鎖)措置からの速やかな経済回復やFRBによる追加刺激策などへの期待が高まった」という背景。日替わりの解釈にしか過ぎないが楽観が勝っただけのことだ。フェイスブックとアマゾンが過去最高値を更新。
NASDAQは終値ベースで3カ月ぶりの高値水準を回復。2月19日の過去最高値に4.5%のところまで迫った。
 
日経平均株価は42円安の20552円と5日ぶりの反落。米中の対立激化を警戒した格好。もっとも「国内外で経済活動が徐々に再開するとの見方は相場の支えになった」という声も聞こえる。商いは薄く東証1部の売買代金は1兆9230億円と4月23日以来の2兆円割れ。TOPIXも5日ぶりの反落。AGC、ファーストリテが上昇。KDDI、エムスリーが下落。
 
22日(金):
NY株式市場で主要3指数は反落。トランプ大統領のコメントは「中国が香港での国家分裂行為やテロ活動、外国勢力による介入などを禁じる国家安全法を導入すれば、
米国は極めて強硬に対応する」。これで米中緊張の再燃を懸念した売り物に押された。「大統領選に向けて中国がサンドバッグとして利用されている」という見方だ。アマゾン、ベストバイなどが下落。
 
週間新規失業保険申請件数は243.8万件。新型コロナ流行を受けたレイオフの第2波が広がる中、申請件数は依然高水準。失業保険給付金は総額が少なくとも162億ドル。新型コロナウイルスの感染が拡大する前の2月から5倍以上に膨らんだという指摘もある。
フィラデルフィア地区連銀業況指数はマイナス43.1。前月のマイナス56.6から改善した。
 
日経平均株価は164円安の20388円と続落。アジア株が軟調。米株価指数先物の300ドル近い下落も重荷。「NYがメモリアルデーの3連休に入るため持ち高調整の売りも出ている」との声もある。東証1部の売買代金は1兆9334億円。2日連続の2兆円割れ。SBG、カーバイトが上昇。ソニー、任天堂が下落
 
(2) 欧米動向
 
金曜日経朝刊では「海外勢、14週連続売り越し」の見出し。
外国人投資家は累計8兆円(現物先物合計)の売り越し。
この間の日銀のETF買いは4兆円。
海外VS日銀の構図は絵になるのかも知れない。
外国人の14週連続売り越しは08年以降で過去最長。
現物だけでも5週連続の売り越しだ。
不自然なのが外国人が継続して売り越している市場の株がなぜ反騰しているのか。
確かにその途中の3月に日経平均は16000円台まで急落した。
しかしその後は2ヵ月以上に渡って株価は戻り過程。
結果的には9週間で4000円ほど上昇している。
この間の外国人売りを日銀のETFで吸収したという発想なのだがどうも腑に落ちない。
実は「外国人売っても日本株上昇」という構図の前哨戦なのかも知れない。
 
 
(3)アジア・新興国動向
 
トランプ米大統領は「米国は中国に極めて強硬に対応する」と警告。
第1段階の米中通商合意が破棄されるとの懸念が拡大した。
商務省は人権侵害や国家安全保障上の懸念を理由に33の中国企業・団体をブラックリストに追加すると発表。
米中摩擦は一過性のものではない。
そしてイスラム世界はラマダン明けの週。
 
【展望】
 
スケジュールを見てみると・・・。

26日(火):企業向けサービス価格指数、全産業活動指数、CB消費者信頼感、S&P住宅価格指数、シカゴ連銀全米活動指数、FHFA住宅価格指数、新築住宅販売、株高の日
27日(水):米ベージュブック、変化日
28日(木):米GDP改定値、耐久財受注、株高の日
29日(金):失業率、鉱工業生産、消費動向調査、米個人所得、株高の特異日、鬼宿日、WTO一般理事会、(ビルダーバーグ会議は延期)
31日(日):緊急事態宣言の期限、中国製造業PMI
 
 
1−3月期の国内GDP速報値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.9%減。年率換算では、3.4%減で着地。
マイナス成長は2四半期連続。
2019年度の実質GDPは前年度比0.1%減と5年ぶりのマイナス成長となった。
消費税率引き上げ直後の10?12月期実質GDPは前期比年率で7.3%減。
市場予想の4.8%減よりは低かったがいずれにしても2四半期連続マイナス。
4−6月期のGDPのマイナス幅予想は年率20%超え戦後最大に達するとの見方だ。
1−3月名目GDPは前期比0.8%減、年率換算で3.1%減だった。
ちなみに米国の実質GDPは年率換算マイナス4.8%と約11年ぶりの低水準。
4→6月期は年率換算マイナス40%が見込まれている。
 

(兜町カタリスト 櫻井英明)
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