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様子見か

様子見か
 
中国恒大集団の経営危機に対する警戒感から、20日の欧米市場で主要株価指数が下落した流れを引き継ぎ、大幅安となったが、8月下旬からほぼ一本調子で水準を切り上げてきただけに、スピード調整のきっかけとしては、良いタイミングだったとの見方が多い。目先は中国恒大に関するニュースで相場は振らされるだろうが、株価調整局面での押し目買いのスタンスが有効だろう。
 
 
連休明けの日経平均株価は大幅反落。終値は前週末比660円安の2万9839円で、今月7日以来の3万円割れとなった。中国の大手不動産企業の経営不安を受けて日本株も寄り付きから大幅安。日経平均は前週に約31年ぶりの高値まで買い進まれていたため急ぎの手じまい売りが広がった。
 
ただ、20日の米国株の大幅下落に関しては、中国恒大集団に対する懸念が売り材料にはなった。場中に売りが加速するといった展開にはならなかった。
弱い中でもアフターコロナ関連が大幅高となるなど、買える銘柄を探すような動きも見られた。きょうの下げ方であれば、あす以降にはあまり悪影響が残らないだろう。
目先の下値は6日〜7日に空けた窓下限(2万9700円)が最初の支持ポイントとなるだろう。
 
FOMCの結果発表前であったということが、値幅を大きくした可能性もある。この問題がリーマン・ショックに匹敵するといった見方もあるが、米国は中国とは距離を置くスタンスを採っている。今晩の米国株が落ち着いた動きとなるようなら、過度な懸念は後退しそうでもある。東京株式市場は木曜が祝日で休場明けにFOMC結果を消化するため、あすは様子見姿勢が強まるだろう。きょう弱いなりにも下げ渋ったことから、3万円台を早々に回復できるかが注目される。
 
 
■上値・下値テクニカル・ポイント(21日現在)
 
31821.25  ボリンジャー:+3σ(13週)
31531.85  ボリンジャー:+3σ(26週)
31421.39  ボリンジャー:+2σ(25日)
30697.75  ボリンジャー:+2σ(13週)
30670.10  新値三本足陽転値
30608.78  ボリンジャー:+2σ(26週)
30382.05  6日移動平均線
30291.46  均衡表転換線(日足)
30152.30  ボリンジャー:+1σ(25日)
 
29839.71  ★日経平均株価21日終値
 
29685.70  ボリンジャー:+1σ(26週)
29574.25  ボリンジャー:+1σ(13週)
28883.22  25日移動平均線
28875.30  均衡表転換線(週足)
28875.30  均衡表基準線(週足)
28875.30  均衡表基準線(日足)
28762.63  26週移動平均線
28563.45  200日移動平均線
28553.00  75日移動平均線
28450.74  13週移動平均線
28376.67  均衡表雲上限(日足)
 


中国の不動産大手・恒大集団とは? Q&A形式でまとめてみた。
 
Q:恒大集団とは?
A:中国最大級の民間企業で、不動産開発大手。280以上の都市で事業を展開している。中国政府が推し進めてきた改革開放路線の下、ここ数十年間、不動産開発事業で急成長してきた。同社の許家印会長は、一時は中国一の富豪に上り詰めたが、2017年に430億ドル(約4兆7000億円)あった資産は、現在は90億ドル(約9900億円)を下回っている。
 
Q:事業内容は?
A:中核は不動産業だが、近年は多角化を進めている。中国ではサッカークラブの広州FC(前身は広州恒大)の運営母体として広く知られている。ミネラルウオーターや食品の販売も手掛け、観光業、インターネット関連サービス、保険、ヘルスケアにも投資。子ども向けのテーマパークも建設し、ディズニーランドより広いとうたっている。2019年には電気自動車(EV)開発を手掛ける「恒大新能源汽車集団」を設立した。ただし、市場に投入されている車種はない。
 
Q:問題点は?
A:一言で言えば、負債だろう。
恒大はここ数年、中国国内の不動産バブルを追い風に買収を積極的に行ってきた。しかし今月に入ってから、負債総額が1兆9700億元(約33兆5000億円)に膨れ上がっていることを公表し、「デフォルト(債務不履行)に陥るリスク」があると警告した。格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスに続き、フィッチ・レーティングスとスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)も恒大の格付けを相次いで引き下げた。
 恒大の株価は、今年になって約80%下落した。請負業者やサプライヤーからは支払いが滞っているとの苦情が聞かれ、また債権者からも返済を求める声が上がっている。恒大と投資家の双方は、約1300億元(約2兆2000億円)の返済に関して合意したものの、同社の返済能力は疑問視されている。恒大は13日、経営破綻は回避できると主張したが、翌14日、「否定的な報道が続いている」ことから今月も不動産販売に悪影響が出ているとして、キャッシュフローと流動性が大きく圧迫されかねないとの考えを示した。深センの本社には、多数の投資家が抗議に押し掛ける事態となった。
 
Q:今後の展開は?
A:不動産業は中国経済のけん引役の一つであり、新型コロナウイルス禍後の経済再建に向け重要な役割を担っている。業界を代表する大企業が破綻すれば、多方面への影響は必至だ。
 英経済調査会社キャピタル・エコノミクスのアジア担当チーフエコノミスト、マーク・ウィリアムズ氏は、落としどころとして可能性が最も高いのは「管理された再編」だと指摘。「他の開発業者が、恒大が開発用に保有している土地の権益と引き換えに未完成の物件を引き継ぐことになるだろう」との見方を示した。
 恒大は、香港で上場しているネット事業や地方銀行、中国本土の不動産会社などの保有株を売却してきたが、香港本部ビルの売却では難航している。しかも、新たな規制によって未完成の不動産物件を販売できなくなったため、恒大がこれまで資金繰りに主に利用してきた先行予約販売の手法にも頼れなくなった。ただアナリストの中には、恒大のような巨大企業の破綻を中国政府が放置する可能性は非常に低いと見る向きもある。体制の安定が損なわれかねないからだ。
一方でウィリアムズ氏は、政府が救済する公算は小さいとみている。恒大は「過剰な借り入れによる成長が許されてきた時代の申し子」だが、「政府としては規律の強化を求めている」と話した。
(時事通信より)
 
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