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【どう見るこの相場】ポスト10連休へ「持つ・持たざるリスク」
【どう見るこの相場】ポスト10連休へ「持つ・持たざるリスク」
 
【どう見るこの相場】ポスト10連休へ「持つ・持たざるリスク」

■ポスト10連休へ「持つ・持たざるリスク」の圏外で直近東証1部昇格銘柄の株式分割の権利取りに一考余地
 
 いよいよ史上最長の10連休を直前にした4月最終週相場である。悩ましいことこの上ない5日間となることは間違いない。早くも連休モードの凪ぎ相場となるのか、なお買い方の手仕舞い売りと逆日歩コスト増を警戒する売り方の買い戻しが交錯する需給相場が激化するのか、それともまだ思惑余地があるとして超短期トレードが仕掛けられるのか、「持つリスク」と「持たざるリスク」の判断がつき兼ねるからだ。とてもすんなり家族サービスに精を出す10連休中の姿を思い描く心境にはなり難い。
 
 どの相場パターンになるにしろ、この4月最終週は、依然として国内固有の材料より海外相場に追随する展開が有力となる。今週は、米主要企業の決算や米国の雇用統計が発表され、連休中にはFRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公開市場委員会)が開催され、重要経済指標も相次ぎ発表させる。米中貿易協議も英国のEU(欧州連合)離脱交渉なども、まだ確たる方向性は不透明である。また為替相場も、連休中は、日本企業の実需のドル売りが休止することから、円高に傾くアノマリーがあるといわれており、これも見定めなくてはならない。10連休中、10連休明けに相場全体が、「リスク・オン」と「リスク・オフ」のどちらになるかの判断を迫られることになり、悩ましいことこの上ないとサジを投げたくなる。
 
 そこで連休中、連休明け後の海外市場がどう動こうと、外部環境に左右されず銘柄個々の事情によって独自人気を高める銘柄をセレクトしてアプローチすることをお薦めしたい。その有力な候補セクターは、明23日や連休明け後に株式分割の権利取りの最終売買日を迎える直近東証1部昇格株である。この株式分割は、今年3月に明らかになった東証の市場再編を多分に意識したものとみられ、市場再編後も東証第1部に残留することを目指すとすると、東証1部市場からの締め出し基準といわれる時価総額250億円〜500億円のクリアに向けてさらに積極的な株価対策が継続する可能性があるからだ。株式分割の権利取りに妙味が膨らむことになり、急ぎ商いとなるが、前向き対処も一考余地が出てくるはずである。
 
■東証2部指定替え猶予期間入りのラクトJNPは分割に続き株主優待制度も拡充
 
 株式分割に緊急性のあるのは、ラクト・ジャパン<ラクトJPN、3139>(東1)である。同社は、4月30日を基準日に株式分割(1株を2株に分割)を実施するが、この優遇策を発表したあと今年3月8日に株主数が上場規程の2000人に未達となったため、市場第2部への指定替え猶予期間入りとなってしまったからだ。2017年8月に東証第2部から東証第1部に昇格、このときに株式売出しを実施したが、このまま上場規程を期限の今年11月末までクリアできなければ、東証の市場再編を待つまでもなく東証2部銘柄降格となり、今回の株式分割効果に掛ける期待は大きい。さらに今年4月8日に株主優待制度の内容を決定、従来は100株以上の株主にQUOカード1000円相当分を贈呈していたが、新たに継続保有期間が3年を超える株主に自社製品3000円相当分を追加贈呈する拡充を発表し、5月31日を基準日に実施する。今後も、積極的な株主作りの継続が期待されることになる。
 
 システム情報<3677>(東1)は、今年3月13日に今9月期業績の上方修正、増配、東証第1部への市場変更と盛り沢山の好材料を発表、市場変更日の3月20日に株式分割(1株を2株に分割、基準日4月30日)を追加開示したが、時価総額は203億円と締め出し基準の250億円に届かない。同じく4月30日を基準日に株式分割(1株を2株に分割)を実施するテラスカイ<3915>(東1)の時価総額も、221億円にとどまる。
 
 今年5月31日を基準日に株式分割を実施するオロ<3983>(東1)の時価総額は541億円、4月30日を基準日に株式を分割(1株を2株)する日総工産<6569>(東1)の時価総額は413億円とそれぞれ250億円を上回っているが、締め出し基準が時価総額500億円となるとの観測もあり、対応策が期待されるところだ。
 
■時価総額250億円を下回る12銘柄も締め出し基準のクリアに向けガバナンスを期待
 
 この直近東証1部昇格銘柄では、締め出し基準の250億円にまったく届いていない銘柄も多く、今後の株価政策は要マークとなる。新興市場や東証第2部時代は、独自人気を誇っていたのに東証第1部に昇格後、時価総額を減少させるケースが多々みられるからだ。諺でいう「十で神童十五で才子二十過ぎればただの人」のように、東証第1部ではその他大勢に成り下がり往時の輝きを失った結果だろう。
 
 時価総額が250億円に届かない今年1月以来の東証第1部昇格銘柄は、昇格順にショーエイコーポレーション<9385>(東1)、MS&Consulting<MSコンサルタント、6555>(東1)、エンカレッジ・テクノロジ<3682>(東1)、ソネット・メディア・ネットワークス<SMN、6185>(東1)、イワキポンプ<6237>(東1)、エイトレッド<3969>(東1)、クワザワ<8104>(東1)、信和<3447>(東1)、インテリジェント ウェイブ<4847>(東1)、アイティメディア<ITメディア、2148>(東1)、ネットマーケティング<6175>(東1)、テモナ<3985>(東1)の12銘柄となる。時価総額は、最小のMSコンサルタントの48億円からイワキポンプの214億円までバラツキがあるが、今後の基準クリアが、重要なガバナンス(企業統治)になるはずだ。
 
 このうちショーエイコーポ、MSコンサル、イワキポンプ、クワザワ、信和は値ごろ妙味もあってPER10倍〜12倍台と割安であり、10連休後に発表予定の3月期決算の動向も注目されよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
 
 
 
 


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