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【どう見るこの相場】なお業績上方修正、増配が続く木材関連株
【どう見るこの相場】なお業績上方修正、増配が続く木材関連株
 
【どう見るこの相場】なお業績上方修正、増配が続く木材関連株

【どう見るこの相場】なお業績上方修正、増配が続く木材関連株、リユース株はロングラン相場に推進力
 
新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な感染爆発)が始まって以来、東京市場で株価を下支えしてきたロングラン銘柄といえば、その一つとして海運株をあげてもそう異論なはいはずだ。とにかく代表の日本郵船<9101>(東証プライム)は、コンテナ船運賃の上昇を背景に2年3カ月前の2020年8月に2021年3月期業績を上方修正して以来、足元の今年11月4日の今2023年3月期の2回目の上方修正まで毎期、3回〜4回の上方修正を繰り返し、合わせて大幅増配も行い、株式分割まで実施した。
 
 株価も、2020年8月安値から株式分割権利落ち前の上場来高値1万2490円まで9倍化した。足元ではコンテナ船運賃の頭打ち懸念も出て分割権利落ち後安値近辺でもみ合い方向感を探る展開が続き先行きは予断を許さないが、それでもPERは1.3倍、年間配当利回りは18.9%にも達する。
 
 パンデミック初期にやはり出ずっぱりの高人気を呼んだのは、マスク株、除菌剤株、ワクチン関連株、巣ごもり消費関連株、リモートワーク関連株などの「ウイズ・コロナ株」であった。ただ除菌剤株は、大幸薬品<4574>(東証プライム)の業績下方修正・赤字転落で早くに脱落し、株価が、わずか3カ月で上場来高値2492円まで6.6倍化けしたアンジェス<4563>(東証グロース)は、今年7月にそのDNAワクチンの開発中止を発表して144円まで急落してしまった。「ウイズ・コロナ株」をロングラン銘柄とするには相当割り引かなければならず厳選は不可欠となる。
 
 こうしたなか、前週末11日に峠を越した上場会社の決算発表を集計すると、大手海運3社ほどのスケールも、「ウイズ・コロナ株」ほどのバライティはないものの、このカゲで隠れたロングラン銘柄としてピックアップされるセクター株が浮上した。木材関連株と中古品の買い取り・販売のリユース株である。両セクター株ともなお業績上方修正と増配が相次いだのである。このうち木材関連株は、米国で需給バランスが崩れていたところに、FRB(米連邦準備制度理事会)の超低金利策とパンデミックに伴うリモートワーク用の郊外戸建て住宅の需要拡大が加わって、木材不足と木材価格急騰がシンクロする「ウッドショック」が2020年に起こり、これが日本にも波及した。
 
 木材関連株でまず東京市場で動意付いたのは、戸建て住宅を供給するハウスビルダー株で、同時に数少ない木材関連株の業績上方修正も相次いだ。「ウッドショック」そのものは、米国では2021年5月ごろまでにピークアウトし、国内でも2021年末からは製材の輸入価格が値下がりに転じたとされた。さらに米国では、FRBの政策金利切り上げで住宅ローン金利も上昇しており、住宅需要の調整期入りが木材価格に逆風になるとみられている。
 
 にもかかわらず足元の東京市場では、木材価格が想定を上回ったとして木材関連株に業績上方修正が目立ったのである。また前週11日に日本銀行が発表した今年10月の企業物価指数でも、品目別の木材・木製品は、前月比では連続マイナスとなったが、前年同月比では連続プラスをキープした。これが木材関連株の相次ぐ業績上方修正の要因になっているとすれば、同関連株のロングラン銘柄期待は高まることになる。
 
 一方、リユース株買いも、コロナ禍、超金融緩和策、地政学リスクが重なって資源価格が急騰し、金先物価格が、1トロイオンス=2100ドル台と史上最高値まで買い進まれたことが発端で貴金属リサイクル株と貴金属買い取り・再販株が同時人気となった。リユース株人気は、ブランド品、アパレル、古本、家電商品、中古自動車などにまで及び、金先物価格が、足元で1700ドル台まで調整してもリユース株各社が発表している月間売上高は連続プラスが続いており、業績の上方修正が相次いだ。物価上昇に伴う節約志向も、追い風となっているフシが強い。
 
 もちろん日経平均株価の寄与度の高い値がさ株やハイテク株は、米国の株価や金利動向にそのたびごとに敏感に反応し、常にマーケットの中心にいてロングラン銘柄的なDNAはある。現に前週末4日の米国市場では、ダウ工業株30種平均(NYダウ)が続伸し、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は3%超高と続急伸しており、主力株としてジャンプアップからスタートし値幅効果も発揮するはずだ。ただこのアプローチは、先着順次第で瞬発力と臨機応変さは不可欠で、山と谷があり過ぎてロングラン銘柄とするにはよほどの割り切りが求められる。とすれば次善策対応としてロングラン銘柄に待機姿勢を取るのも一考余地が出てくることになる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)


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