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【どう見るこの相場】「リベンジ投資」の出遅れ
【どう見るこの相場】「リベンジ投資」の出遅れ
 
【どう見るこの相場】「リベンジ投資」の出遅れ



「リベンジ投資」の出遅れリアル株は次の株式投資正常化ステージに向け下値をマーク
 
 
「リベンジ消費」があるならば「リベンジ投資」もあるのだろうか?今週の当特集の自問自答である。リベンジ消費とは、例えば今週末から始まるゴールデンウイーク(GW)中の旅行、外食、ショッピングなどの個人消費行動を意味する。2020年初頭の新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な感染爆発)から2年も過ぎ、「自粛」も「巣ごもり」もいい加減の臨界状態で、開放されたいと消費者のリバウンド心理が働いている。
 
 フトコロ具合には何ら問題はない。日銀の資金循環速報によれば、家計の金融資産は、2023兆円に達しこのうち1091兆円は現金・預金で占められなど潤沢である。パンデミック以来、初めて行動制限なしのGWとまたとないチャンス到来で、ブレーキは緩むことになる。鉄道会社、航空会社の予約状況は、パンデミック以前の2019年には及ばないものの、昨年2021年比では大幅増となっているようだ。
 
 一方、「リベンジ投資」とは、新工場とか新製造ラインの建設、生産設備の増強など企業のリアルな設備投資行動と自分流に絵解きした。これまで日本的経営は、成長戦略投資には見向きもせずリスクを取らない横並び経営と酷評され続け、この結果、企業のフトコロには不要不急の手元流動性が溢れ返り、前記の日銀速報でも、民間非金融法人企業の金融資産も1279兆円に達し、うち現金・預金が319兆円となっている。これが「モノ言う株主」の目の着けどころとなり、自己株式取得や大幅増配などを要求する株主提案を突き付けられ四苦八苦し、相場テーマの一つにも浮上することとなっている。
 
 この日本的経営の巣ごもりをさらに強いているのが、「パンデッミク」はもちろん、ロシアのウクライナへの軍事侵攻による地政学リスク、資源価格高騰、サプライチェーンの途絶懸念による生産コスト増、米国の金融政策正常化などである。リスク要因が錯綜する経済環境では、とても「アフター・コロナ」の経済正常化は見通せず成長戦略投資などには踏み切れないという企業心理が働いている。
 
 この観点から今年1月以来、東証の適時開示情報閲覧サービス欄に掲載された開示情報を見直してみると、そうでもなく成長戦略投資に乗り出し始めた企業が散見されるのである。冒頭の自問自答には「リベンジ消費」も「リベンジ投資」も両立するとの回答になるはずで当然、この「リベンジ投資」関連株にフォーカスすることが、経済活動正常化に敗けず劣らずスタンダードな株式投資正常化への道筋となるはずである。
 
 この傍証銘柄は、4月12日に四輪電動ビジネス説明会の資料を開示したホンダ<7267>(東証プライム)である。2030年代までに30車種のEV(電気自動車)を年間200万台超生産するために今後10年間で約8兆円の研究開発投資と全固体電池の実証ラインのために約430億円を投資し2024年春の立ち上げを目標とした。すでに昨年12月にライバルのトヨタ自動車<7203>(東証プライム)が、バッテリーEV戦略説明会を開催し、2030年までにバッテリーEVのグローバル販売台数の目標を年間350万台にセットしたことへの対抗策で、もちろんEV世界トップの米国テスラへのキャッチアップを目指す成長戦略でもある。
 
 投資金額がホンダほど大規模ではないが、成長戦略を積極開示した関連株は多く、なかでもホンダ同様に投資採算的にも割安水準の置かれている銘柄も目立つ。小型株が中心だがこのリアルな「リベンジ投資」関連株が、「アフター・コロナ」、「アフター・地政学リスク」の次のステージに名乗りを上げる展開も想定されることなる。前週末22日の米国市場で、ダウ工業株30種平均(NYダウ)が一時、1000ドル安と売られる大荒れとなり、週明けの東京市場も売り先行、ギャップダウン・スタートが予想され影響を受けそうだが、こうしたアゲインストな環境こそ下値をマークするチャンスとなりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)


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