兜町カタリスト『櫻井英明』が日経平均株価や株主優待、投資信託、NISAなど幅広く紹介していきます。企業訪問を中心により密着した情報も配信中です。
会員情報作成
ログイン
初めてのお客様は、
『会員情報作成』から登録をお願い致します。
2015年10月22日
知ればする!!【節税対策】贈与税の配偶者控除
前回は、贈与税の配偶者控除という制度のポイントをご説明しました。
贈与税の配偶者控除を活用することで相続税対策になる。
世間の常識としてはこのように考えられていますが、では本当に贈与税の配偶者控除は有利になるのでしょうか。そのことについて今回ご紹介します。

■贈与税の配偶者控除という制度
この制度は、夫婦間で居住用財産の贈与をする場合には、110万円の基礎控除額とは別に2,000万円の配偶者控除額が受けれるもので、併せて2,110万円までは贈与税がかかりません。
贈与税の計算式は以下のようになります。

■贈与税の計算は
【配偶者控除の適用を受ける場合】

[贈与財産価格−配偶者控除(2,000万円まで)−基礎控除(110万円)]×税率−控除額=課税価格


【贈与税の計算式】(この特例を利用しない場合)
(課税価格−基礎控除額110万円)×税率−控除額=税額

■贈与税の配偶者控除は本当に有利なのか?
次の場合には、必ずしも有利とはならないため検討が必要です。
(1)そもそも相続税が課税されない
(2)贈与を受けた配偶者が先に亡くなった場合

(1)そもそも相続税が課税されない
相続税対策に贈与税の配偶者控除を活用する場合、前提として相続税が課税されることが条件になります。

生前に贈与をしておけば相続財産から外れるため、相続税の節税になるためです。

贈与税の配偶者控除を利用すれば贈与税を払うことなく不動産の名義を配偶者に変更することもできます。

ここで問題になるのは、単に贈与税が非課税となるだけで、不動産の名義を変更する際に必要な登録免許税と不動産取得税は通常通り課税されます。

不動産の登録免許税は、相続のときは固定資産税評価額の0.4%で済みますが、贈与のときは2%となっています。

相続で取得したほうが登録免許税は安くなります。

同様に、不動産取得税は相続のときは課税されませんが、贈与のときは課税されてしまいます。

もし、そもそも相続税がかからないのであれば、それなりに経費がかかる贈与税の配偶者控除を利用するメリットはないでしょう。

配偶者に名義を早く変更しておきたいという特別な事情があるときのみ、贈与税の配偶者控除の制度を利用するメリットがあると思います。

この場合には、不動産の名義を変更するだけでコストがかかることを十分に理解して検討する必要があります。

(2)贈与を受けた配偶者が先に亡くなった場合
贈与税の配偶者控除を利用する場合、その前提として「財産をあげた側の配偶者が先に亡くなる」ことを想定しています。財産をあげた側の配偶者が先に亡くなるとは限りませんので、検討の際には注意が必要でしょう。

もし、財産の贈与を受けた側の配偶者が先に亡くなれば、贈与した財産が相続により財産をあげた配偶者に戻ってくることになります。このとき、不動産の名義変更のコストだけがかかってしまったという結果となります。

土地を贈与するべきか建物を贈与するべきか
土地・建物を贈与する場合には、(最高)2,110万円相当額の計算方法が問題になります。

土地については、原則として税務署が評価額を決めている路線価を基準に、建物については固定資産税評価額を基準に計算します。

このため、建物の評価は時間の経過とともに落ちていきますが、土地の評価(地価)はこれ以上大幅に下がる可能性は低いと思われますし、むしろ上がる可能性もあります。

そうすると、 相続税対策としては土地を贈与した方が有利になります。

しかし、土地だけでなく建物も贈与すると不動産取得税の軽減特例を適用することができます (ただし、適用のためには建物に一定の条件があります)。

また、将来この自宅を売却することを考えている場合にはその後不動産の価格が上昇すると、土地と共に建物(を少しで))も贈与しておいた方が有利になることがあります。

売却益に3000万円の特別控除が認められるのです。

以上により、土地を中心に建物も一緒に贈与する方法が効果的です。

また、土地と建物を同じ持分で贈与する方が登記費用は安くなります。

このように土地と建物、それぞれどういった持分で贈与するべきかということは様々な事情により違ってきますので、 慎重な判断が求められます。

贈与税の配偶者控除は、相続税の節税対策にもなり、かつ、贈与税もかからないという非常にメリットのある制度となっております。この制度を上手く利用することで大幅な節税が可能となりますのでみなさんも上手く活用してください。

複雑な部分もありますので悩んだ際には、相続税に詳しい税理士さんにご相談頂ければすぐに解決できるのではないでしょうか!

>>知れば得する!! え、自宅は妻に贈与
a