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2015年06月3週
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06月3週
【推移】

15日(月):
利上げを材料にFOMCを待つ姿勢のNY市場。しかし実態の材料は別のところにあるような気もする。ひとつは議会で難航しているTPP法案の行方。上院は可決したものの下院は否決。大統領貿易促進権限法案(TPA)はと下院で何とか通った。しかし自由貿易に伴う失業者への財政支援などのTAA法案は民主党の造反で否決。
今秋にも再採決される方向となったが通らなければオバマ政権はそれこそレイムダックとなる。
この巻き返しがあるのかどうかが今週の一つの課題となろうか。そしてオバマケアに対する最高裁判決。医療保険制度改革法(通称オバマケア)の税控除をめぐる最高裁の判決の行方である。
もしも低・中所得者の保険購入の税控除を最高裁が認めないと多くの米国民の医療保険加入が困難になる。医療保険や薬品業界にとっては注目の材料。ただオバマケアの欠陥については論究されていないが、これが人気低下の一因でもある。
同様の法案が日本に持ち込まれなことを願いたいところでもある。
日経平均株価は19円安の10387円と3日ぶりの反落。エアーテック、GMOクラウドが上昇。エイチーム、gumiが下落。

16日(火):
日経商品欄で気になったのは二つの見出し。一つは「派遣や中途採用活発。IT・技術系、時給最高2038円」。派遣社員の時給は過去2年前年同月水準を上回った。背景は景気の回復。そしてマイナンバー制度の導入に向けたIT技術者需要。特にシステムエンジニアやITコンサルタントなどの求人が増加しているという。
ヒトの部分から景気を読めば明らかにIT関連主導の格好。
IoTやM2M、O2Oなどの世界の優位性は株式面ではこれから登場するのだろう。そして「鶏卵卸値2%安」の見出し。直近高値の5月上旬と比べると6%の下落だという。もっとも昨年6月上旬にキロ200円、2013年はキロ153円だった。今はキロ220円だから絶対値は安くはない。ただ上昇にブレーキはかかったということ。株価に引き直せば高値もみあいと読んだ方が良いのだろうか。
浅間山とトヨタと黒田日銀総裁。彩りがスマートバリューとヘリオスのIPOといった印象が昨日の相場。日経平均株価は結局129円安の20257円と続落した。NHKなどが浅間山の小規模噴火を報じたことで株価は下落幅を拡大。参議院金融財政委員会に黒田日銀総裁が延々と出席。発言が断片的に伝えられてことで相場は一喜一憂。
そしてこちらも3時間2分も延々と続いたトヨタの株主総会。本社のある愛知県豊田市に参集した株主は4655人。焦点は第7号議案のAA型種類株への賛否。もしも否決されていたとしたら1937年(昭和12年)の創業以来初めてのこと。経営陣も気が気ではなかったろう。それにしてもこのAA型種類株という代物。5年間は売却不可能なかわりにそれ以降は発行価格でトヨタが買い取る仕組み。
民間企業があらたな資金調達と資本市場を創生するという意気込みは悪くない。
日経平均株価は129円安の20257円と続落。秀英、カーボンが上昇。ボルタージ、バイリーンが下落。

17日(水):
相場は究極のところ決断の集積所みたいなもの。ところが、参加者が決断を下すために行う推論が重視される傾向。どうも決断の結果の売り買いよりも推論の方が重視されるているような印象。
結局心理の織りなす綾なのに、それをほったらかしにして裁定残だの信用残だのと需給を詮索。そして今期の業績見通しがああだこうだと論議は続き、雲の様子に一喜一憂。「上がるかもしれないけど下がるかもしれない」という小田原評定のような結論のない時間が経過して、そして大引け。行ったこともないギリシャに時間を費やし、ほぼ方向の決まった米利上げの時期を見計らって喜んだり悲しんだりの幾星霜。時折登場するウクライナや中東の問題を語ることで何となく高級感は醸し出されるものの、相場は結局欲望のぶつかり合いの場所。決断に至るプロセスだけでなく決断そのものの心理を探ることが結構重要だろう。過去の罫線に表現された株価こそがその決断の集合の連続線ということは間違いない。
日経平均株価は38円安の20219円と3日続落。さが美、NTNが上昇。FOG、鬼ゴムが下落。

18日(木):
「相場は強い」と思わされるのは裁定買い残の動向。前週末時点で8377億円減少し2兆9262億円。
メジャーSQだった影響もあろうが、8377億円の減少は約2年ぶり。それでも日経平均は300円程度の下落しかしていない。内訳は当限が4026億円減少し2兆8432億円。翌限以降が4350億円減少し830億円。リセットしてまた4兆円程度まで積み上がるとすれば、当座のモタモタはそれこそ押し目となりそう。
「裁定解消売りに警戒」なんて指摘は、ためにする声でしかなかったということになろうか。個人的に考える裁定取引の絶対水準は下が2兆円、上が6兆円。だったらまだのりしろはある。そして7月初旬にかけて訪れるETFの分配金の再投資。
今日明日の目先の論調だけを追いかけると、やはり見間違いそう。もっとも数分先しか見ていないFXよりはマシかも知れない。そして罫線だけで物事を判断する習性もそろそろ脱却してもいいのかも知れない。主従の従の存在がネット取引画面の賑やかしとして主になってから相場は短期志向になった。そして未来志向である筈の相場がバックミラー思考の権化となった。過去に饒舌、未来に寡黙からは脱する時かも知れない。
日経平均株価は228円安の19990円と4日続落。約1カ月ぶりの2間年割れとなった。寿スピリッツ、丹青社が上昇。リソー教育、東海理化が下落。

19日(金):
目に付いたのは「外国人の株保有最高」の見出し。
3月末時点での保有比率は31.7%で3年連続で過去最高を更新した。2014年度の買い越し額は2兆5247億円。
1年間での増加は0.9%。1986年の5%程度から徐々に上昇してきて30%台。売買比率が7割近い割にはそんなものかの感もある。
一方で年金などの資金動向を表現している信託銀行。3兆5038億円の買い越しは6年ぶりの大きさ。保有比率は0,8%増加し18.0%。15年ぶりに過去最低となった個人の17.3%を追い抜いたのは02年以来のこと。
外国人と機関投資家優位の構図の再確認でしかないが・・・。
これに呼応するかのような見出しは「株主数の増減に差」の記事。3月末の株主数は三井物産が前年比8万人、ソフトバンクが4万人増加。アステラスや富士重工も増加した一方で三菱商事やNTT、トヨタは減少した。
解釈は「積極的な説明会や投資単位の引き下げ」となっている。しかし三菱商事の株価の順調な右肩上がりに対して三井物産の株価は物足りない動きだった。NTTの株価も順調な右肩上がりだったがソフトバンクの株価は横ばいだった。トヨタの株価も順調な右肩上がりだったが富士重工はやや失速感があった。アステラスは右肩上がりの展開だったが株式分割効果(最低投資単位は60万円→12万円)が奏功。
こうしてみると、株主説明会が奏功したというよりも株式分割効果の方が大きい気がする。三井物産やソフトバンクなどは休日や地方での説明会効果を取り上げている。
しかし敢えて言えば「株主数の増加に一番役立つのは株価の軟調」というパラドックス的現実。確かに「株価が上昇した局面で個人株主が利益確定売りを出した」との指摘はある。でも逆に株価の上昇は株主数の増加ではなく株主数の減少につながる構図はあまり指摘されない。
しかし間違いなくこの図式は成立している。株価の急騰は投資者の増加にはつながるが株主の増加につながるのかどうかは結構疑問のところ。
実はこの株価上昇→株主減少の構図が株価上昇→株主増加に変化すれば日本株の未来は明るいのだろう。
6月第2週の外国人投資家は1726億円の売り越し。売り越しは6週間ぶり。ただこの間の日経平均の下落率は0.3%。「海外投資家が大型の輸出関連株などに利益確定売りを出した」というのが解釈。
しかし実態はSQを挟んでの売りに過ぎなかったような気がする。
日経平均の2万円割れで日経平均採用銘柄の予想PERは15.95倍に低下した。計算してみるとEPSは1253円と微増継続。そして株式益回りは5.88%まで上昇。カラ売り比率は38.3%で今年最大だった1月6日の37.8%を抜いた。25日線からのかい離はマイナス1.5%でまだ物足りない。
サイコロは3勝9敗で25%。PER16倍割れと今年最大のカラ売り比率は目先反転のタイミングと見て良いのだろう。
SQ値20473円はまだかけ離れたレベルではない。好材料は「ゆうちょの限度額引き上げ攻防」の見出し。自民党の提言は現行1000万円を9月2000万円、2年後3000万円への引き上げ。将来は限度額の撤廃も入っている。
もし引き上げられれば1991年以来24年ぶりのこととなる。かんぽ生命の契約限度額は現在の1300万円→2000万円。民間金融機関は反対だろうが178兆円の郵貯が少なくとも300兆円を超える計算。このうち資金運用の少しが株式市場に回ってくると効果は結構大きい。
日経平均株価は183円高の10174円と5日ぶりの反発。ファナック、村田が上昇。東電、NTTが下落。

(2) 欧米動向
米投資雑誌バロンズ今週号の「トップストックピックス」。
市場関係者10人へのヒアリングである。
登場している声はハリスアソシエイツのデビッド・へロー氏。
「日本には構造改革が必要だ」。
コーポレートガバナンス強化の必要性を認識するべきだということ。
外国人取締役は一人もいないホンダは「島国的すぎる」。
外国人取締役を加えたトヨタを見習うべきだという。
放っておいてくれというのが本音だが、どうして外国人投資家はこうおせっかいなのだろう。
因みにS&P500については「大きく動きそうもない」。
そして株式でバリュー性の残るのは欧州と日本。
欧州についてはギリシャ問題が株式市場にはプラス寄与。
ギリシャのユーロ圏離脱は市場の一旦の混乱を招くが、次第に欧州株はパフォーマンスを高めるとの見方。
日本については円安がサポートとの認識。
それにしてもおせっかいな声に聞こえる。

(3)アジア・新興国動向
先週の上海株式は13%の下落となり2008年以来7年ぶりの下落率となった。
背景は下落にともなう追い証の発生。
政府の株高政策と個人投資家の思惑の戦い。
結構めまぐるしい動きになりそうな気配となってきた。

【展望】
スケジュールを見てみると・・・

22日(月)コンビニ売上高、米中古住宅販売、シカゴ連銀全米活動指数、中国休場
23日(火) 米耐久財受注、新築住宅販売件数、中国HSBC製造業PMI
24日(水)企業向けサービス価格指数、通常国会会期末、米1〜3月GDP確定値、独ifo景況感
25日(木)米個人所得、EU首脳会議(〜26日)
26日(金)失業率、消費者物価指数、家計調査

5月のETF動向は個人が3カ月ぶりに売り越し。
(1280億円)
外国人は3カ月ぶりに買い越し。
(912億円)
委託の5割を外国人、4割を個人が占めている。
日銀は何とか買付ノルマを達成中だが、それでも個人と外国人の動きに左右されるETF。
特に本来長期投資を目指したETFがレバやインバースのETFで混乱しているのが現状。
アチコチ動き回っても結局は1000億円程度の売り越し、買い越しというのが現実。
ところでETFの分配金は7月に支払われることが多い。
権利付最終日で見てみると・・・。
7月2日(木)が2銘柄、3日(金)が17銘柄、7日(火)が14銘柄、
10日(金)が8銘柄、13日(月)が7銘柄、14日(火)が1銘柄、
16日(木)が1銘柄、21日(火)が1銘柄、28日(火)が2銘柄。
秋口からはJPX日経400のレバレッジとかインバースが賑わうのだろうか。

ギリシャの債務問題は進展せず。
FOMCは利上げ方向の再確認のセレモニー。
もういい加減この話題には飽きたというところだろうか。
ウクライナを蒸し返しても「またか」だろうし、中東問題も新鮮味に乏しい。
しかも韓国のMERSはWHOが「緊急事態に該当せず」。
中国に警戒感といったところで、今更「シャドーバンキング」でもないだろう。
日経マーケット面の見出しの「鈍感力」という表現は秀逸だった。
こうなると売り方にとっては作戦の立てにくい相場となろうか。
そもそも悪材料に敏感に反応する向きがいるからこそネガティブキャンペーンは成立する。
この敏感さはあとから考えると「異常な警戒感)とも言えるがとにかく反応はある。
ところが、株式市場というのは不可解は場所で材料が長く晒されると飽きるという傾向がある。
ある意味で「チョイ見せ」程度が一番説得力があるようだ。
しかしチョイどころか日々同じ材料を蒸し返して見せつけられては飽きる。
本来、市場が求めているのは驚き。
想定しない方向から玉が飛んでくるから避けようとするし次に注意する。
わかりきった方向から腐ったリンゴのような球が来たところで「だから何?」。
市場は繊細かつ横着なのだから、横着に支配されていては売り方の空しさこの上ない。
というか、もう作戦を変更して材料の視点を他に振る方が良いのだろう。
久しくとどまり腐った魚は猫でも見向きしない。
「不景気の真っただ中に大底から反転し、好況の真っただ中に天井を示現するのが株式相場」と先達。
その驚きこそ、真骨頂と思われる。
 

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