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2015年09月2週
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09月2週
【推移】

7日(月):
米雇用統計通過。非農業部門雇用者数は前月比17.3万人増で着地。市場予測の22万人を大幅に下回ったが6月7月の数字は上方修正。失業率は5.1%。
前月比0.2%低下しており利上げには玉虫色。2週間吹き荒れている「野分」。二百十日の頃、野の草を吹き分ける強い風だし二百十日は9月1日頃。源氏物語のような艶やかさは全くないが風が市場に荒れた風が吹き荒れたことは間違いない。
日経平均は先週末にかけて直近安値を更新。今年2月以来約7か月ぶりの安値水準まで下落。しかも週間下落幅は1344円でリーマンショック後の08年10月第2週の2661円以来の下落幅。上げは遅く、下げは早い相場は常のものだが異常な早さのスピードだった。中国景気を懸念材料にしながらその中国上海市場が休場でも売られる東京市場。アメリカ利上げを懸念しながらも明確な利上げサインが見られることもない。まさに市場の澪標(みおつくし)がないような状態。暗夜行路とは言わないまでも、目立っているのは日本株売りの展開。一つ考えられるのは日本株が昨年末比でまだプラスなこと。昨年末比の騰落率では1位アルセンチン(27.4%)、2位フランス5.9%。3位ドイツ2.4%、4位ベトナムと日本で2%、6位ロシア0.4%。一方でNYはマイナス9.7%だから補てん的に儲かっているものを売りに行く動きはあるだろう。もっとも8月の外国人の売り越しがすべてそれとは言えないだろうが・・・。あるいは日経レバの大暴れとでもいえば良いのだろうか。
週末の先物手口を見ても野村の売り越しが目立っている。プレイヤーの手口として有名なアムロやニューエッジは枚数こそ多いものの日ばかり的商い。指数乱舞の背景は日経レバだとすると、そこに理由など殆どない。下がるから売り、上がるから買い戻す動き。そこに米利上げや中国景気などほとんど介在していない筈。でも、無理やりに動きを解釈しようとするから、時折矛盾して自家中毒に陥るのが市場なのだろう。
東証1部の騰落レシオ72.93%(8月25日は67.22%)。2011年以来5回目の70%割れだったという指摘も聞かれる。日経平均採用銘柄のPERは14.21倍。EPSは1252円だから17529円を割れるとPERは13倍台に低下する。2月9日(17799円)と12日(17979円)のマドは埋めた。その下のマドは10月31日の16533円と11月4日の16720円のマド。そこまでは考えにくいところだし、そうなるとPERは13,2倍台まで低下してしまう。吹き続ける野分はないし、山より大きなイノシシは出ない。それでもこの2週間で痛めつけられた投資心理は疑心。本当は「疑心暗鬼の先に光あり、順風満帆の裏に影宿り」なのだろう。
日銀が先週金曜に買ったETFは317億円。それまでは337億円づつだったので少し減った。何しろ今年買ったETFは2兆3003億円。今年の予定額は3兆円で残りは約7000億円。この317億円のペースだとあと22回で底を突く計算。これが間に合わなくなったらどうするのだろう。3兆円を5兆円くらいまでに増やすとすれば事足りるのだろうか。
日経平均株価は68円高の17860円。トヨタ、東芝が上昇。平和不動、NTT都市が下落。

8日(火):
どうしても相場変動の理由を何かに求めたがる習性の株式市場。極論すれば「株価が下がると考える人が多かった」だけ。あるいは「単に売りたい人がいた」だけ。それでも下げの理由には「米利上げの影響懸念」や「中国景気の低迷」が出没。「何らかの意図を持った投資家」が頻繁に売り買いの主体として登場したりする。実態と解釈の大きな違いは当事者にしかわからない。とはいえ、個別の事情で大きな玉を売りさばく必要が生じた時にギリシャなどまったく関係ない。海外要因など茅の外というもの。それでも下げる理由を追い求めるのが株式市場。逆に言うと、上げの理由をアレコレ詮索することはめったにないところ。
「換金のために株を売る必要に迫られる人はたくさんいるが、株を買わなければならない必然性に迫られる人はほとんどいない。だから上げはゆっくり下げは急速。これはきっと正しい筈。アルゴなどの機械売買が幅を利かせているとはいえ、株式市場は人間の知恵と心理と思考が昇華した欲望の戦場。
日経平均株価は17427円でPERは13.98倍。14倍を割れた。空売り比率は依然41.2%。25日線からのかい離はマイナス10.1%。しかも騰落レシオはまた67.48%と70%割れ。松井証券信用評価損益率速報で売り方はマイナス5.417%。今年の最低は5月21日のマイナス4.87%だった。買い方はマイナス17.912%。今年の最低は8月25日の18.867%だった。日経平均株価は433円安の17427円と反落。鉄、日揮が上昇。クボテック、森永製菓が下落。

9日(水):
前日の東京は大幅続落。NYは大幅反発。NYが持ち出した材料は中国への解釈。株式を1年以上保有する株主に対し、配当金に課す個人所得税免除。しかしこれは前々日の材料。東京が消化できなかったわけではなかろう。日経では「市場揺らす仕組み債」の見出し。日経平均リンク債のノックインが持ち出されると相場は反転してきたのが歴史。今回の指摘は日経レバリンク債だが中身は変わらない。因みにこの「デジタルクーポン円建て社債」は7日にノックインしたという。ノックインのあとは反発という歴史は覚えておきたいところ。もっとも、多くのリンク債のノックイン価格は14000円台だという。これを狙うハイエナのような動きには要注意だが・・・。それでも反発の舞台は整っていたといえよう。
SQ週の荒れる水曜は上に荒れた。因みにSQ週の火曜・水曜・木曜の今年の動き。火曜(2勝6敗)、水曜(3勝3敗)、木曜(7勝1敗)。このアノマリーが正しければ火曜買い→木曜売りで良かったことになるのだろう。とりあえずは火曜買い→水曜評価益。しかし火曜日の相場で買う気になるかというと勇気は乏しい。8月SQ値は20540円だった。これは2000年4月ITバブル時の20305円を上回っていた。そして97年6月の20838円にあと一歩だった。それでもこの1か月で株価は急落。
7月は19849円、6月は20473円でまだまだ上。実現性のあるSQ値は5月の19270円、3月19225円。それでもまた高い。2月の17886円では一気に逆戻りになってしまう。8月SQ値からは2000円以上のマイナスかい離。08年9月→10月のかい離はマイナス4302円。06年5月→6月のかい離はマイナス2126円。今回に当てはめると18414円。
日経平均株価は1343円高の18770円と高値引けで歴代6位の上昇幅、歴代9位の上昇率となった。ファナック、KDDIが上昇。イトーキ、クボテックが下落。

10日(木):
日経1面では「21円ぶり上げ、歴代6位」。上昇幅の歴代1位〜5位は87年〜94年で日経平均は2万円以上の水準。ベスト20まででは08年10月14日の1171円がランクインしているだけ。上昇率は7.71%で歴代9位。08年10月14日が1位で14.15%。4位が08年10月30日で9,96%。8位が08年10月29日で7.74%。リーマンショックの最中だった。過去の大幅上昇を振り返ると、大きな下げ相場の中で急反発したケースが多いとの指摘も聞こえる。これでは大幅高は長い時間軸の一里塚でしかないと言っているようなもの。しかも市場からのコメントは「上ったことは上ったが商いが少ない」。
マーケット面の「スクランブル」でも同様の指摘。「9日の東証1部の売買代金は異例の上昇にもかかわらず3兆1483億円にとどまった」。3兆円では物足りなくて5兆円程度のエネルギーが欲しかったのだろうか。しかし8月21日から26日の売買エネルギーの増加は急落局面。出来高を伴った急騰は天井のサインだし出来高を伴った急落は反発のサインでもあると考える。このところ株価下落で出来高が増え、株価上昇では出来高は減る傾向が継続。3兆円という売買代金を少ないと見るところに驕りがあるような気がする。それにしても新高値銘柄はわずか3銘柄しかなかった。急落の寂しさも感じざるを得なかった。
日経平均株価は470円安の18299円と反落。商船三井、鹿島が上昇。オークマ、コナミが下落。

11日(金):
居酒屋大手のワタミが介護事業を売却する方向と報じられた。主力の居酒屋チェーンの財務体質が悪化。外食と宅配に資源を集中するのだという。現状は介護業界7位の位置で全国111施設、入所者数は6300人超という。居酒屋がなくなっても人はそうは困らない。しかし介護施設がなくなると大変。社会の要請がどちらにあるかと言うと個人的には介護施設にあると思う。でも本業の居酒屋の財務悪化で守るのは居酒屋。だったら介護事業に進出した志はどういうものだったのだろう。覚悟と志があって初めて他業態への進出ができるのだと思うがそうではなかったのだろうか。
経営環境が厳しくなれば容易に売却するというのでは企業の社会的意義は感じられない。おそらく「石にかじりついても」なんて言葉は辞書にないのだろう。
しかし企業の本当の志と言うのはこういうところに表現されるような気がする。加えれば大は会計不祥事から小は入社案内の書き方までどこにでも企業の方向は現れる。企業がどちらを向いているのかというのも重要なファクターとなってくる。大時代めくが銘柄選択のファクターとして「志」というのもアリかも知れない。
日経平均株価は35円安の18264円と続落。ただ9月メジャーSQ値18119円は上まわった。三井不、アイフルが上昇、リソー教育、電産システムが下落。

(2) 欧米動向

株価反発のきっかけづくりをしてくれたNY市場。
たまたま新製品の「iPhone6S」と「6Sプラス」を発表したアップルの人気が低い。
新モデルでは「3Dタッチ」と言われる指の圧力の程度により操作する感圧タッチ技術を採用した。
12メガピクセルのカメラを搭載したほか解像度が高い4K動画の撮影も可能だという。
テレビに接続するコンテンツ受信端末「アップルTV」の新モデルもあわせて発表。
シリを使って個人のニーズに対応。
例えば聞き逃した部分をシリに尋ねると、動画を15秒間巻き戻してくれるという。
新製品発表で株価下落というのも哀しい。


(3)アジア・新興国動向
気になるのは中国国家統計局。
もともと2週間で発表される同国のGDPに対する信頼感は薄かった。
今回、算出方法を見なおし92年以降のGDP成長率を見なおしたとの報道。
10月19日発表予定の7〜9月GDPから見直すというがこれは吉?凶?

【展望】
スケジュールを見てみると・・・

14日(月)日銀金融政策決定会合(〜15日)、首都圏マンション販売、IAEA総会、EU移民問題緊急担当閣僚会合
15日(火)黒田日銀総裁会見、米小売り売上高、鉱工業生産、独ZEW景況感、国連総会(〜10月6日)
16日(水)8月訪日外国人数、米FOMC(〜17日)、消費者物価、第2回共和党テレビ討論会
17日(木)貿易収支、BBレシオ、イエレンFRB議長会見、住宅着工、経常収支
18日(金)米CB景気先行指数

13日(日)新月、部分日食
18日(金)水星逆行開始
28日(火)満月、皆既月食、ポイントの日

目印を求め目印に向かって走るのが相場でもある。
その多くは移動平均線であったり、雲であったり、騰落レシオであったり罫線上に見出されている。
あるいはPERやPBRであることもある。
目印不在の時はフラフラとするが目印が決まれば一直線。
そしてソコに着地してしまえばあとは何もなかったかのように次の目印探し。
人は目印を必要とするし、機械は目印さえ与えれば勝手に動く。
いい加減な奴を相手にしていると思えばイライラも少しは和らごうか。
上下の目印を見てみると・・・
19197円(3月月中平均)
19074円(4月年度初め水準)。
18715円(12か月移動平均)。
18165円(9月月足陽線基準値)。
17806円(8月25日終値)
17450円(14年大納会)
17408円(15年大発会)
16948円(24か月移動平均)。

面白い指摘。
日経平均の03年安値(7603円)から最初の上昇局面。
04年4月に高値(12195円)を付けて調整局面入り。
その高値を上回るのに17カ月のボックス相場を形成した。
上抜けてからは06年高値(20952円)まで6793円の上昇となった。
その後ライブドアショックで3518円下落したが07年の18300円を取りに行った。
今回も2012年安値(8238円)から13年5月に高値(15492円)まで上昇。
その後ボックス相場を抜け出すのに17カ月かかった。
今回は6月24日の高値(20952円)まで6423円上昇。
9月8日安値(17145円)まで3537円の下落。
06年高値からの下落幅とほぼ一致した。
13年5月高値からの急落も下落幅は3527円だった。
相場は過去からの循環と輪廻転生で不思議と一致するもの。
今回ボックス相場を抜けだすための目標は8月28日高値19192円。
その上が8月21日安値19435円と20日の20033円のマド埋め。
17か月は少し長いが・・・。

興味深いのは日経平均採用銘柄の入れ替え。
新規採用が長谷工(1808)とDeNA(2432)。
除外が日東紡(3110)、平和不(8803)。
流動性で平和不とDeNAを交換、業種間調整で長谷工とDeNA。
平和不動はもともと取引所の大家さん。
そして以前は特定銘柄のゲキタク商い対象銘柄。
相場は平和不(ボロ)から寄り付き、ホロで引けるのが兜町だったが・・・。
そんな昭和の匂いも消えてきたのだろうか。
機械にそんな情緒的なことを求めても詮無いことなのだろう。
因みにゲキタクは「撃柝」で拍子木を打って商い成立の合図にしていた。
しかも集団競争売買のセリ商い。
株をセッた時代は終わった感。
「出来申さず」カーン。
なんて言葉は死語と化してしまうのだろう。

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