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2017年07月3週
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《マーケットストラテジーメモ》07月3週
【推移】

18日(火):
週末のNY株式市場は続伸。NYダウとS&P500が史上最高値を更新した。NASDAQも史上最高値まであと20ポイント程度まで接近。6月の消費者物価指数が前月から横ばいとなり、市場予想を下回った。小売売上高は前月比0.2%減と、2カ月連続のマイナス。経済指標が冴えなかった割には堅調展開という印象。「金融緩和政策の継続を示唆」という楽観的見通しも聞こえる。
12月の利上げ確率は指標発表後に48%と、前日終盤の55%から低下。大手銀4行の4〜6月期決算は利益が予想を上回ったが市場予想は下回って着地。
VIX(恐怖)指数は9.51%。1993年12月以来、約24年ぶりの低水準となった。週間ではNYダウが1.1%高、S&P500が1.4%高。NASDAQは2.6%高で週間の上げとしては年初来で最大となった。

週明けのNY株式市場でNYダウは5日ぶりの小幅反落。「前週末まで連日で最高値を更新した反動で利益確定の売りに押された」との解釈。NY連銀製造業景況指数はプラス9.8と前月(プラス19.8)から大きく低下。市場予想を下回った。もっとも本格化する決算発表では主要500社は前年同期比8.2%の増益見通し。期待感が高く下値は限定的だった。

週末の日経平均は19円高。日中値幅は62円。
相変わらずの膠着相場だった。しかもミニとはいえSQ当日の東証1部の売買代金が1兆9863億円と3日連続で2兆円割れ。「新高値銘柄が117もあったのに日経平均が小幅なゾーンで推移するという奇妙な市場」との声が聞こえる。ファーストリテ1銘柄で日経平均を60円余り押し下げたのにプラスだから全体は強気継続と見ても良かろう。
TOPIXは年初来高値を更新している。

日経平均は週間では約189円の上昇となり、週足では3週ぶりに陽線。「1月18日の安値の信用期日通過」効果だったのかも知れない。次は4月17日安値の信用期日がクローズアップされてこよう。3連休明けの日経平均株価は七夕以来の2万円割れ。25日線(20067円)も割り込んだ。
「2万円に9銭足りない19999円91銭は9が5個も並んだ」格好だ。今更「木曜に日銀金融政策決定会合と黒田総裁会見。その先にはECB理事会」と言われても怪訝さが残る。もっとも東証1部の売買代金は2兆円台復活。
新高値銘は日立や富士通など107(前日117)と3ケタをキープ。決算発表を迎える前の「暗夜行路」とも見る向きもある。

日経平均は118円高の19999円と3日ぶりの反落。ドル円の111円台も悪材料となった。東証1部の売買代金は2兆1120億円。東芝、日立、富士通、ソフトバンク、出光興産、昭和シェルが上昇。三菱UFJ、トヨタ、ホンダ、ファストリ、出光興産が下落。東証二部指数、東証規模別株価指数の「小型」指数は小幅に続伸。

19日(水):
NY株式市場は相変わらずマチマチの動き。NYダウは続落。四半期決算で債券トレーディング収入が40%減少しコモディティ事業も不振だったゴールドマンが足を引っ張った。NASDAQ総合指数はネットフリックスが10%超上昇し8日続伸。2015年2月の10日続伸以来の連騰。S&P500は終値としての最高値を更新した。米上院でオバマケア代替法案の可決が困難になったことの影響は株式市場では限定的。

ただ警戒感が拡大したのは債券市場。
6月の輸入物価指数が前月比0.2%下落。2カ月連続のマイナスとなったことを材料に「オバマ政権の政策実行能力と利上げペースに対する疑念」が台頭。10年国債利回りは一時2.259%と3週間ぶりの低水準を付けた。一応節目とされているのが2.3%でありココを割り込んだことになる。次の節目は2.25%とされるが特に根拠のある数字でもなかろう。
NASDAQとS&P500は過去最高値を更新しておりNYの地合いは悪くない。NY市場もダウではなくS&PとNASDQの時期だ。値がさ銘柄の影響の強い225ではなくTOPIXで思考する場面だろう。

水曜の日経平均株価は小幅反発。「上にも下にも動けず薄商いと典型的な様子見相場」という見方も多い。膠着した売買エネルギーがどちらの方向へ向かうのかがこのところの課題となっている。NT倍率が12.33倍まで低下しており、日経平均というよりはTOPIX系優勢の展開。背景は任天堂の上昇だろう。売買代金は1261億円。

東証第一部市場の全売買代金に対し6.2%を占めた。ソフトバンク、トヨタの400億円台と比較すると圧倒的に多い。「任天堂がTOPIXを押し上げ、ソフトバンクと花王が日経平均を押し上げた」ことになる。膠着感満載の中で東証1部の新高値銘柄は143と3ケタをキープしており、かすかな支え。中小型株への物色意欲は強く東証2部指数やジャスダック平均は年初来高値を更新した。

日経平均株価は20円高の20020円と小幅に反発。後場も一時下落に沈む場面があったが2時過ぎからプラスに転じた。東証1部の値上がり銘柄数は1136と全体の56%。
東証1部の売買代金は2兆208億円と2兆円台をキープ。花王、キリンHD、アステラス、任天堂、ソフトバンク、KDDI、NTTが上昇。ファストリは6日ぶりに反発。三菱電、村田製、日立、野村、オリックス、日産自、トヨタが下落。東証2部株価指数は続伸。4日ぶりに過去最高値を更新した。

20日(木):
NY株式市場では主要指数の終値が揃って最高値を更新。NYダウはIBMが足を引っ張ったが上昇。S&P500とNASDAQは医薬品のバーテックス・ファーマシューティカルズの20%超の急騰がけん引した。
S&P情報技術セクターは2000年3月に付けた過去最高値を上回ったのが特徴的との指摘もある。モルガン・スタンレーの第2四半期利益は市場予想を上回った。債券トレーディング収入の落ち込みはゴールドマン・サックスに比べて小幅にとどまったことも好感された。
S&P500採用銘柄の第2四半期増益率見通しは8.7%。7月初めの8%から切り上がった。「今決算シーズンは予想よりやや上振れ気味に見受けられる」という声が聞こえる。NYは3指数揃って史上最高値更新。多少のおこぼれ頂戴状態に期待するしかないとしたら物乞い市場でしかない。

7月14日現在の信用買い残は前週比133億円増加し2兆6097億円。増加は6週連続。一方売り残は24億円増加の9566億円。3週ぶりの増加となった。
日経平均は続伸。5日線と25日線を上回った。終値(20144円)は先週末の終値20118円を上回っている。「一目均衡表の雲上限や13週線を下回ることなく切り返しており、動きとしては悪くない」という声が聞こえる。新高値銘柄213銘柄(前日143)はココロ強い数字だ。米国株に追随する形でTOPIXも続伸した。

「日経平均はファーストリテイリングに足を引っ張られて伸びを欠いたが、上昇率はTOPIXと遜色ない。梅雨が明けたので夏相場なら悪くない。要は、安川電機に続く銘柄が現れるかどうかだろう」という声が聞こえる。

東証1部の時価総額は600兆円を超えた。昭和バブル、ITバブル、そしてリーマンショック間にも跳ね返された歴史的水準が時価総額600兆円。それでも「600兆円は一つの通過点とも見ることができる」という根拠のない自信に溢れた声も聞こえる。
TOPIXは年初来高値を更新。「決算発表を控え、好業績が見込める中小型株を物色する流れが拡大」という声が聞こえる。日経平均株価は123円高の20144円と続伸。一時20157円まで上昇し7月SQ値20151円、月足陽線基準20155円を上回ったが大引けでは維持できなかった。

日銀の金融政策決定会合の結果は現状維持で着地。為替が一時1ドル112円台前半まで円安に振れたことから主力輸出株が堅調展開。日銀の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」は景気判断を上方修正。ただ従来2018年度としていた2%の物価目標の達成時期を19年度ごろに先送りした。「国債の買い入れを60兆円に減額するのではとの見方もあったので、現状維持で安心感」との解釈が聞こえる。

東証1部の売買代金は2兆1144億円。値上がり1491銘柄で全体の73.7%。新高値は213銘柄と200銘柄を超えた。レナウン、日立、住友化、ルネサス、宇部興、トヨタ、TDK、ソニー、安永、太平電、CRE、マルハニチロ、フージャース、東海カが上昇。任天堂、三井住友、りそな、出光、Klab、enish、gumi、エムアップ、DeNAが下落。

21日(金):
NY株式市場は小動き。マイクロソフトの上昇でNASDAQは小幅高。小売り大手シアーズはアマゾン・ドット・コムとの提携を発表し急伸。「低金利環境の下、多くの企業で業績が好調だ。金利がいったん上昇すれば企業業績は影響を受けるだろう。
ただ、当面は低金利が続きそうだ」という声が聞こえる。ユーロが対ドルで急伸し、約2年ぶりの高値 となった。ECBのドラギ総裁が今秋に資産買い入れプログラムの変更を協議すると発言したことが材料視されたとの解釈。
オバマケア代替法案の頓挫やFRBの年内の追加利上げ観測後退なども、引き続きドル安の要因となった。

日経平均株価は44円安の20099円75銭と反落、一時60円超下落した場面もあった。為替が重石となり週末要因からの売り物優勢展開だった。自動車やメガバンクなどに海外投資家の売りが見られたとの指摘もある。
もっとも好業績の安川、ファナックの2銘柄が似て平均を27円押し上げた。
東証一部の売買代金は1兆9967億円。4日ぶりに2兆円を下回った。東芝、三菱電、信越、旭化成が上昇。鉄、純友鉱、ユニチャーム、塩野義が下落。

(2) 欧米動向
米財務省が発表した5月の対米証券投資統計。
日本の米財務省証券保有額が再び拡大し首位の座を維持。
日本の保有額は1兆1110億ドル。
前月の1兆1070億ドルから増加した。
中国の保有額は1兆1020億ドル(前月1兆0920億ドル)。
海外投資家による財務省証券投資は463億7000万ドルの買い越し。
2015年6月以降で最高となった。
前月は225億3000万ドルの売り越しだった。
長期有価証券投資は919億ドルの買い越しで昨年7月以降で最高。
資金は株式債券ともにNYへ向かっている構図。
脇役は所詮主役ではないという悲哀だろうか。

(3)アジア・新興国動向
世界の株式相場は主要25株価指数のうち11指数が上昇。
上位1位トルコ週間騰落率1.59%、2位韓国1.47%、3位フィリピン1.32%、
4位香港1.20%、5位南アフリカ1.05%。
下位25位ドイツ▲3.10%、24位フランス▲2.25%、23位ベトナム▲2.02%、
22位ロシア▲1.86%、14位米国▲0.27%、13位日本▲0.09%。0.09%

【展望】
スケジュールを見てみると・・・

24日(月):東京五輪まで3年:テレワークデー開始、米中古住宅販売
25日(火):日銀金融政策決定会合議事要旨、米FOMC、CB消費者信頼感、S&P住宅価格指数、独IFO景況感
26日(水):企業向けサービス指数、新築住宅販売、英GDP
27日(木):米耐久財受注、シカゴ連銀全米活動指数
28日(金):失業率、消費者物価指数、米GDP

23日(日)新月
25日〜26日FOMC
26日(水)下げの特異日
27日(木)変化日

20日付け日経朝刊「大機小機」は「海外IR狂騒曲」。
事の本質を得ている。
「外資系投資銀行に促され、あたかも遣唐使のごとく日本企業のトップたちはニューヨーク、ボストン、
ロンドン、エジンバラなど投資家の集積地を定期的に訪れるようになった」。
これは事実。
トップの体調のために電機炊飯器を担いで随行する者までいるというからまさに狂騒曲。
格好良く言えば「各社の海外IR活動の集積が、海外投資家コミュニティのおける我が国の産業や政策への評価につながる」。
これはこれで重要なことだろう。
問題は、海外IRを重要視し国内個人投資家IRを軽視とはいわないまでも海外IRの方が一段上と見るような風潮。
場合によって海外IRは、IR部門の業務の最高峰とはき違えているようなことも散見する。
確かに持ち株比率や売買比率、ワンショットの商いの大きさを考えればそうならざるを得ないのかも知れない。
しかし足元を見ずして海外にメッセージが伝わるのかどうかはわからないところ。
おそらくトップにはどちらが重要かなんて思考は少ないだろう。
担当者の入れたスケジュールを消化するだけに違いない。
しかし「狂騒曲」と揶揄までされてまで「物乞い」をする必要はないという気がする。
こんなことばかりしているから国内個人投資家向けの資料にまで英語を多用。
FYとかEBITDAというだけで理解できるほどフツーの投資家さんは英語を理解しない。
「どこを向いているのか」がそんな小さいことから察しられてしまうことに気が付かないとしたら、少し愚かしい。
海外では英語だけのIRをするのだから、いっそのこと国内では日本語だけのIRをしてみたらどうなのだろうか。
半ば馬鹿にされながら聞かれる稚拙な英語よりはよほどメッセ─ジが伝わるに違いない。
「夏が来れば思い出す。日本の企業、変な英語」なんて言われないようにしたいもの。

秋の日経平均採用銘柄入替予想。
新規採用候補は村田製作(6981)、サイバーエージェント(4751)、日本郵政(6178)。
新規除外候補は明電舎(6508)、北越紀州(3865)。

(兜町カタリスト 櫻井英明)


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