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Eimei みちしるべ 2017年08月28日
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《Eimei「みちしるべ」》

(8月28日から9月01日の週)

何事もなく通過した今年のジャクソンホール。
何が起きる訳でもなくバンカーや金融マフィアたちの避暑パーティみたいなもの。
冬のダボスが夏に行われるようなもの。
そしてベネルクス三国を中核にしたビルダーバーグ会議のような秘密性は全くない。
今年のビルダーバーグ会議は6月1日〜4日まで米バージニア州チャンティリー、ウエストフィールズ・マリオットホテルで開催された。
テーマは「パリ協定を離脱したトランプ排除の密謀計画」だったという。
そんな陰謀性のまったく感じられないのが晩夏のジャクソンホール。
それでも市場は気になるのだから面白い。
世界の金融政策関係者や研究者が集まる金融・経済シンポジウムで世界が変わることなないだろう。
今年の会合テーマは「ダイナミックなグローバル経済を促進する」。
格好は良いが要は「低成長低インフレ下での経済成長を促進するための金融政策」。
そんなことが数日で見えるはずはない。
もっとも過去4年のジャクソンホール後の米金利は上昇。
だから「相場の転機になる」という声も聞こえる。
事前に騒いで事後は見えないフリというイベントなのかどうか見極めるのには絶好のタイミングだった。

そのジャクソンホールを所詮北米の晩夏の金融マフィアの避暑地の謝肉祭と思えないところが市場の貧しさ。
今は経済シンポジウムだが1978年にスタートした時は農業問題を議論する場。
1982年から今の「ジャクソン・レイク・ロッジ」で開かれている。
興味深いのは逸話。
カンザスシティ連銀が選んだジャクソンホールは渓流釣りで有名な場所。
当時のFRB議長ボルカ─氏は大のフライフィッシング好き。
だからこの会議に呼ぶためにあえてカンザスシティ連銀はこの場所を選んだという。
所詮その程度の動機でスタートした集まりをいちいち材料視する市場も変な感覚だ。
東京ではこのあたりの感覚が麻痺というか、去勢されているので何でもありがたがる傾向がある。
この舶来主義からの脱却は夏目漱石でさえ悩んだところだが、もういい加減にいいだろう。


日経平均想定レンジ

下限19433円(8月18日安値水準)〜上限19985円(8月月足陽線基準)

伸びる企業の条件の一つとして最近感じているのは「自由さ」と「こだわり」。
自由さと風通しの良さは少し違うかも知れないが社内部門という組織を超えた活動の自由さ。
あるいは、「やってみなはれ」的なトップの寛容さ。
以前の対面営業数字至上主義ベッタリの証券会社のような真逆の存在の企業が伸び伸びと成長しているように見える。
細かい数字にこだわるようでは毎年数%の成長はできるのだろうが、2倍3倍の成長というのはおそらくフロック。
アミーバのような拡張のために必要なのは自由だ。
例えば、会議のない世界というのはバッジをつけている限り逃れられない現実。
でも会議の参加者の多くは主催者を除いてその会議に意義を見つけているのかどうかは疑問。
もしも日本の企業社会から会議という名の時間の束縛と全体主義が消えると、企業の生産性は桁違いに増えるような気がする。
もう一つは「こだわり」あるいは「プロ意識」。
そもそも企業の人間はアマチュアではない。
しかも外から見れば誰もがプロである。
だったら仕事に責任を持つプロ意識というこだわりは決して捨てて良いものではない。
プロとして、その仕事が顧客に対して恥ずかしくないかどうか。
これを自問する企業風土というのも成長企業の条件だ。
こだわりの上で満足できるものでなければ提供しない勇気なんてものは滅多にお目にかからない。
でも「100%満足できる仕上がり」のものを「絶対に失敗しない」というプロ意識。
「こだわり」の商品・サービスを提供している企業が追求しているのは、目先の利益ではなく永続的なブランドと信用。
だからこそ長期的なく成長が可能になる筈。

先日取材に行った化学セクターの225採用銘柄。
中期計画での2018年度の営業利益目標を今期でクリアできそうなほど業績は好調。
グループスローガンは「具体化。」。
化学の企業は大抵がBtoBで最終製品が消費者の目に触れることは滅多にない。
しかしその製品は社会にとって必要不可欠。
日常性のなかに埋没しているが便利さの代名詞は「化学」ということができる。
興味深かったのは取材中のコメント。
「そもそも産業は自動車・電気・化学と言われます。
GDPへの寄与でも設備投資でもこの3業種はメインです。
自動車も電気も目に見えるのですが化学は目に見えません。
でも生活を支えているというのが歴然とした現実です。
例えば東南アジアなどで中間層が増え始めました。
食品分野ではラップ包装や食品トレーなどは一度使ったらその便利さを捨てることはできません。
あるいは、ビッグデータやIoTが進むことも化学にとっては追い風。
データを保存するハードディスクはクラウドの進展でまさに需要が拡大。
データというのは面白いもので、なかなか捨てられませんし消されません。
ここも化学の分野です。
産業としての化学の未来って相当広がっています」。
リチウムイオン電池、パワー半導体、黒鉛電極・・・。
原料がなければ何も進まない世界で市場は実は目に見えそうなものばかりを対象にして動いている。
ここにまだ隙間があるように思えてならない。
この化学会社の広告は「化学小説、人生は方程式」。
「化学のチカラで夢を具体化。」
そして昨今話題の「ESG」。
GPIFがターゲットとしたのは「MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」、
「FTSEブロッサムジャパン」、「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ」。
この企業は3指数ともに採用されている。
相当面白い取材だった。

(兜町カタリスト 櫻井英明)


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