みちしるべ 19年08月26日号
兜町カタリスト『櫻井英明』が日経平均株価や株主優待、投資信託、NISAなど幅広く紹介していきます。企業訪問を中心により密着した情報も配信中です。
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話題レポート
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《Eimei「みちしるべ」》
(8月26日から8月30日の週)

8月16日時点の信用買い残は170億円増の2兆3794億円。
同信用売り残は124億円増の8755億円。
Quick調査の8月16日時点の信用評価損率は▲15.44%と2週連続の悪化。
8月16日時点の裁定買い残は310億円増の4352億円。
当限は1743億円増の1兆3861億円、翌限以降は630億円増の2431億円。
同裁定売り残は2374億円増の1兆6294億円。
1991年の統計算出以来の過去最高記録だ。
当限は265億円増の3731億円、翌限以降は43億円増の619億円。
空売り比率は45.9%で109日連続の40%超。

裁定買い残の低迷継続と裁定売り残の増加が甚だしい。
8月16日時点の裁定売り残は前週末比2374億円増の1兆6294億円。
これは1991年の算出開始以来のバッケンレコードだ。
1兆1778億円と1兆円台に乗せたのが7月26日。
そこから約1ヶ月で5000億円も増加した。
ちなみに8月2日1兆2204億円、9日1兆3919億円。
それまでのバッケンレコードは昨年3月30日の1兆962億円。
次元の違う数字となってきた。
印象は「鏡の国のアリス」みたいなもの。
金利のある世界から金利がない世界、あるいはマイナス金利の世界に迷い込んだ株式市場。
従来の常識は「先物は金利分だけ現物よりも高い」だったがこれが逆転。
「先物は金利分だけ現物より安い」。
つまり逆ザヤ。
従来は先物売の現物買いが裁定機会だったが、鏡に映せば常識は「先物買いの現物売り」。
どう考えても裁定売り残は増えやすい。
しかも配当が増えているから、期末の配当落ち分は間違いなく先物価格に影響する。
日本株を売り崩したいから裁定売り残が増えている訳ではない。
道理が鏡に反射したように逆になったからこそ裁定売り残が増えるのである。
ということは、金利がマイナスから正常化した時に起こるであろうと予測されるのは巻き戻し。
その時間軸が見えないことが株式市場の茫漠とした警戒感の源泉でもあるような気がする。

楽観モードをぶち壊してくれたのは米中トップの報復的言動。
関税合戦がエスカレートした格好だ。
恐怖と欲望指数は25→17に低下。
ただ8月2日に点灯していたヒンデンブルグオーメンは消えている。
一方で日米貿易交渉は基本合意。
この綱引きになるのだろうか。

日経平均想定レンジ

下限20110円(8月6日安値)〜上限21013円(25日線)

★曜日別勝敗
(8月23日まで)

月曜18勝9敗。
火曜17勝15敗。
水曜14勝18敗。
木曜13勝18敗。
金曜20勝13敗。

火曜日経夕刊や水曜日経朝刊での見出しが目についた。
その見出しは「米経済界、株主第一を見直し」。
資本主義の代表国家アメリカが株主重視から「従業員配慮宣言」。
これだけ見たらアメリカは社会主義国家に変身したのかとさえ思えてしまう。
米主要企業の経営者団体、ビジネスラウンドテーブルの宣言の内容である。
「株価上昇や配当増加など投資家の利益を優先してきた米国型の資本主義にとって大きな転換点」だ。
ビジネスラウンドテーブルは97年から「企業は株主のために存在する」と明記。
今回の見直しは「従業員や地域社会への投資継続を約束するもの」だという。
この変身をどう捉えるかが今後の市場のテーマとなる。
そして、あれだけ日本の市場が羨望と憧憬を持ってきた「グローバル」という思考は一気に変化する。
憧れて求めてきたものは実は間違いで、青い鳥は足元にいたということだ。
何十年も東京市場が自虐的に否定してきた日本的経営こそがアメリカの経営者の求めるものになった。
このパラドックスは見事だというか、喜劇的光景だ。
「従業員を家族のように大切にし、地域社会への貢献を重視する経営」。
否定してきたものが一転「グローバル・スタンダード的」になる。
この変化に気がつけば、東京は世界のリーダー的市場になれるのかも知れない。
東京市場復活宣言記念日と言っても良いような気がする。

日経ヴェリタスでは「PBR(株価純資産倍率)1倍割れ銘柄5割強」との指摘。

PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る企業は株式市場が企業の時価が解散価値を下回ると評価していることを意味する。
東証1部銘柄(外国企業を除く)のうちPBRが1倍を下回った銘柄数は13日に1154銘柄。
昨年12月25日以来の高水準を記録した。
もう一つは配当利回り。
東証1部全銘柄の予想配当利回り(加重平均)は15日時点で2.65%。
こちらも昨年12月25日以来の水準まで上昇した。
日経平均のPER(株価収益率)も足元で11倍台。
すでにアベノミクス以前の水準まで切り下がっている。

株価というものは上がりたいリズムの時はどんな材料でも上がる。
将棋の名人に挑戦者が勝っただけでも買い材料になることがある。
下がりたいリズムの時はどんな材料でも下がる。
スーパーボウルでAFCチームが負けた程度でも悪材料になるということ。
つまり、表面の材料は傀儡に過ぎないということ。
それをアレコレ詮索することの空虚さというのも感じなければならない。

「金利が下がると株価は上がる。金利が上がると株価は下がる」。
何度も聞き尽くした学説だ。
しかし今のNYで起きていることは「金利が上がると株価が上がる」。
そして東京でもおきていることは「金利が下がると株価が軟調」。
学説とは全く逆のことが起きている。
時間軸が短期だからなのか、長期時間軸にすれば学説どおりになるのかは不明。
しかし、金利と株価の関係が現時点で学説とは異なっていることは事実だろう。
ちょっと前までは「市場はFRBの利下げ期待」で動いていた。
そしてまだ年内3回の利下げ期待だ。
ひょっとすると、短期筋にとって長期金利なんてものは関係ないのかも知れない。
刹那的トレンドだけを捉えた売買での相場観は今日と明日で異なって同様だ。
あるいは、今株を買った人はその瞬間に弱気になるという傾向もある。
そんな世界と付きあうとこちらも時間軸も短くなる。
もちろん、今日儲かること、明日儲かることは重要だ。
しかし、その瞬間的相場観で勝ち続けるのは難しいはず。
付和雷同してはいけないというのが戒めだ。
興味深かったのは金曜日経朝刊の「大機小機」の「トランプ・ドル安、誘導のワナ」。

トランプ政権が単独介入により力づくでドル安誘導を図る際にはドル暴落のリスクがより高まる。
その際、米国から資産が逃避。
急速なドル安とともに株安傾向が強まり、世界の金融市場を大きく混乱させるリスクがある。

結局、トランプ氏がもとめているのはFRBの低金利政策によるドル安人民元高。
そう考えると、学説もへったくれもない。
同じマーケット面に登場しているのは「中銀の国債購入・企業の自社株買い。買い戻しバブルの代償」。
6月末時点の米株の時価総額は約36兆ドル。
08年8月末からは2倍になった。
世界全体が7割増に対して米国は突出している。
背景は自社株買い。
08年10月から19年3月までの米主要企業による自社株買いは累計約5兆ドル。
時価総額増加分の約2割だ。
中央銀行の国債買いと企業の自社株買いの合計は約14兆ドルと巨大だ。
ROEを高めるために自社株買いを行っているのだとしたら、成長機会をROEに転嫁した格好。
成長を捨て財務指標をお化粧しているに過ぎない。
本末転倒でもある。
企業は財務指標を美しくするために上場しているわけではない。
資金調達をして長期安定資本の調達をして成長に結実させるために上場しているのだ。
「長期金利が上昇に転じる可能性に注意が必要だ」という結びの一文はある意免罪符。
しかしその可能性は薄くはない。

ちなみにビジネスラウンドテーブルが掲げた「全利害関係者への約束」。
(1)【顧客】顧客の期待に答えてきた伝統を前進させる。
(2)【従業員】公正な報酬の支払いや福利厚生の提供。
(3)【取引先】規模の大小を問わず、取引先を良きパートナーとして扱う。
(4)【地域社会】持続可能な事業運営で、環境を保護する。
(5)【株主】長期的な株主価値の創造に取り組む。

このビジネスラウンドテーブルにはJPモルガン、J&J、アマゾンなど主要企業のCEO181人が名前を連ねている。
FT紙でさえ驚いた格好だ。
「重要な分岐点」と称賛する一方で疑心暗鬼。
「ただの見かけ倒しか本物の地殻変動か」。
時間が解決してくれる問題ではあろうが・・・。

9月上旬に発表予定の日経平均採用銘柄の定期入れ替え。
以下は野村の予想。

【新規採用候補】
エムスリー(2413)、ZOZO(3092)、カカクコム(2371)。
【除外候補】
化薬(4272)、スカパー(9412)、ドーム(9681)。

指数への反映は10月1日。


(兜町カタリスト 櫻井英明)


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