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【株式・為替相場展望】常識的にはスピード調整ですが、円安・株高の流れに変化なく、物色の好循環で底堅い展開

 3月2日〜6日の株式・為替相場は、週末6日に米2月雇用統計を控えていることに加えて、テクニカル面での目先的な過熱感も意識されて、常識的にはスピード調整の1週間となりそうです。

 ただし大勢としてはリスクオンで、為替は円安方向、日経平均株価は2万円を目指す流れに変化はないでしょう。2月28日に中国人民銀行が14年11月以来の追加利下げを発表したことも支援材料となり、物色の好循環で底堅い展開が想定されます。

 前週はギリシア問題に対する警戒感の後退、24日と25日のイエレン米FRB(連邦準備制度理事会)議長の議会証言、そして米14年10〜12月期GDP上方修正を好感して、世界的に株高の流れが継続しました。

 米国市場では終値ベースで24日にS&P500株価指数、25日にダウ工業株30種平均株価が史上最高値を更新しました。ナスダック総合株価指数も27日の取引時間中に4989.25まで上伸して、00年3月の史上最高値5132.52に接近しています。為替のドル・円相場は依然としてレンジ相場の形ですが、ドル売り・円買いの動きは限定的で、1ドル=119円台後半までドル買い・円売りの動きを強める場面もありました。

 そして当面は週末6日の米2月雇用統計が焦点となります。常識的には様子見ムードが強まる形ですが、リスクオンの状況だけに、強い内容への期待感でリスクオンの流れが一段と高まる可能性があるでしょう。原油価格が下げ止まり感を強めていることもリスクオンの動きに繋がります。為替は米FRBの6月利上げ開始の可能性を睨みながらドル高・円安方向、ギリシア問題に対する警戒感が後退してユーロ高・円安方向、そして株式市場ではテクニカル面での目先的な過熱感が意識されながらも、日経平均株価が上値を追う流れに変化はないでしょう。

 国内要因としては、アベノミクス成長戦略に対する期待感が高まってきました。ビザ発給要件緩和や免税対象品拡大などの成果で、訪日外国人旅行客とインバウンド消費は増加基調です。また15年の春闘では大企業を中心に2年連続でのベア実施が濃厚であり、人手不足を背景として中小企業にも賃金上昇圧力が強まります。農業関連での全中の監査権廃止は岩盤規制突破の第一歩と解釈されます。4月の統一地方選に向けて地方創生戦略の動きも強まります。

 16年3月期の企業業績を考えるうえでも、15年3月期との比較で原油価格下落メリットの本格化、消費増税駆け込み需要の反動影響一巡、賃金上昇による消費マインド改善、増加基調のインバウンド消費、株価上昇に伴う資産効果での高額消費の活発化、製品価格改定(値上げ)の浸透などがプラス要因となって、企業業績の一段の拡大が期待されます。ドル高・円安で国内生産品の競争力回復、そして生産の国内回帰進展も期待されます。

 また物価上昇率2%目標の達成が難しいとして、日銀の追加金融緩和は不可避と予想する見方が強まっています。追加金融緩和実施時期としては4月、7月、10月などの見方があるようですが、いずれにしても円安・株高期待を高める要因となります。為替はポジション調整などで一時的に円買いの動きを強める場面があっても、1ドル=117円〜119円近辺での膠着展開から、ドル高・円安方向に水準を変える流れに変化はないでしょう。

 株式市場ではテクニカル面での過熱感が意識される可能性もありますが、株価上昇局面の騰落レシオ(25日移動平均)は130%を超える「過熱水準」が1ヶ月以上継続するという経験則もあります。引き続き国内要因に対する期待感がベースとなって物色の好循環が継続しそうです。為替がドル高・円安方向に傾けば輸出関連セクター、ドル安・円高方向に傾けば内需関連セクター、そして中国の追加利下げを受けて中国関連株が買われることになりそうです。いずれにしても日経平均株価、TOPIX、JPX日経400といった主要株価指数は、4月頃までは大勢として上向きの流れでしょう。

 また投資主体別では、海外投資家や公的年金から資金流入する一方で、個人投資家の売り越しが続いています。この結果、個人投資家の待機資金は膨大との指摘もあります。個人投資家は基本的に逆張りとも言われるだけに、高値圏にある主力株よりも出遅れ感の強い銘柄に資金が向かい、マザーズ指数にも水準訂正の動きが強まる可能性があるでしょう。

 物色テーマとしては、中国関連、インバウンド消費関連、北陸新幹線開業や4月の統一地方選に向けて地方創生・観光関連、3月期末に向けて高配当利回り・株主優待関連、15年を通しての大きなテーマとなる自動運転関連、ロボット関連、ドローン(無人飛行機)関連、次世代型バイオ燃料関連などが注目されます。

 その他の注目スケジュールとしては、3月2日の日本14年10〜12月期法人企業統計、中国2月HSBC製造業PMI改定値、ユーロ圏2月消費者物価、米1月個人所得・消費支出、米1月建設支出、米2月ISM製造業景気指数、3日の日本1月毎月勤労統計、豪中銀理事会、4日の中国2月HSBCサービス部門PMI、米2月ADP雇用リポート、米2月ISM非製造業景気指数、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、4日〜5日の英中銀金融政策委員会、5日の中国・全国人民代表大会(全人代)開幕、ECB(欧州中央銀行)理事会とドラギ総裁の記者会見、米新規失業保険申請件数、米1月製造業新規受注、6日の日本1月景気動向指数、ユーロ圏14年10〜12月期GDP改定値、米1月貿易収支、米1月消費者信用残高などがあるでしょう。

 その後は、3月16日〜17日の日銀金融政策決定会合、17日〜18日の米FOMC(連邦公開市場委員会)などが予定されています。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR アナリスト)