櫻井英明の株式辞典【り行】
【り行】
■リート(REIT)【りーと】
不動産のバスケットの一種。
不動産は一物一価が特色だが、リートにすることで銀座や丸の内などという立地は見えにくくなる。
またどんな人が住んでいるマンションなのか、日当たりや騒音はどうなのかなども無視されがち。不動産を紙にしてしまうと錬金術の一種。
この錬金術を知ったことで不動産業界が生き延びた面もある。
■リート(REIT) その2【リート】
不動産を運用対象とする不動産運用商品。
株式と比較すると相対的に高い配当利回りが期待できる。
ただ配当原資である賃貸収入や不動産売却益は、不動産市況・経済環境などに大きく
影響される
悪い言い方をすれば物件売買に悩んだ不動産業界にとっての錬金術。
株式投資でも企業訪問する投資家さんは少ない。
リートに組み入れられている物件を視察する投資家さんも滅多にいない。
家を買うときは何度も見るはずだが・・・。
■利益確定の売り【りえきかくていのうり】
マーケットが下落した要因を説明する市場関係者の常套句。
実は「下げた理由がわかりません」という内容を含んだ言葉。
市場関係者が引用する頻度で利益確定売りがあるならば、年金運用で年間10兆円もの損失が出るわけはない。
利益確定の買いという言葉には滅多に遭遇しない。
■リスク【りすく】
本来は「変動」と云う意味だが、株式市場では下落を想定した言葉として使用される。
かつて一斉を風靡したIT企業の社長の「想定外」というのが適当な翻訳語になろうか。
金融ビッグバンとともにこの言葉が一人歩きをし始めてからほぼ十数年。
フィナンシャルプランナーなどが「リスクとリターンが重要」などともっともらしく語ることは多くなってきた。
そして投資の常識のようになってきている。
ただ、実際はこのリスクとリターンの関係が数学のように明快な解答を持つものではない。
株にしても為替にしても、あるいは原油や金などの商品にしても、確かに「リスクを恐れては儲けることはできない」もの。
でも、そのリスクとは決して「危険」ということではなく、「変動率が高い」ということ。
1年で8%の利益を得る予定が、元本ゼロになってしまうのはリスクだが、20%の利益となってしまうのも本来はリスク。
■リスクオン【りすくおん】
投資市場においてリスク許容度を上げることというのが一般的解釈だが意味不明。
価格変動の可能性をより多くするということでもある。
利回り等の明確な債券などから株・為替・商品などの資産ウェイトを高めること。
簡単に言えば変動性の高い資産のウェイトを高めること。
株式市場ではなくFX市場から生まれた言葉と考えられる。
「リスクオン」とか「リスクオフ」と言われると何となく納得させられてしまう変な言葉。
業界もマスコミも横文字を使って煙に巻く傾向があるから気をつけた方が良い。
横文字や難解用語が登場したときは自分の言葉に直して考えることが肝要。
■リスク回避【りすくかいひ】
本来の意味からいくと「変動」を懸念し、投資意欲が衰退している状況。
しかし、この国の市場では「リスク=下落」という概念にすり替わっていて「下落懸念」という意味になる。
結論は「何もしないこと」あるいは「売り姿勢」の意味。
従って上昇を回避するリスク回避と云う言葉は聞かれない。
■理論価格(りろんかかく)
先物・オプション取引において、金利や満期日までの残存日数などを考慮して計算される先物・オプションの予想価格。オプションでは、一般的にブラック・ショールズ・モデルを用いて理論価格を求める。