【検証】不祥事を起こした上場企業 2017
上場企業の不祥事が目立った年だった。
投資家は日本の上場企業に対して不信感を募らせている。
不祥事を起こす会社は定期的に発生している。
ニュースになる多くは、歴史ある大企業ばかりだ。
業界トップクラスの大企業の不正に企業統治のあり方が問われている。
コンプライアンス(法令順守)体制が甘い会社が他にもあるだろうということになるだろう。
2017年は、日本の悪いところを凝縮したような事件が沢山あった。
毎年不祥事を起こす企業は絶える事がなく、その度に株価は大きく下げる結果になっている。
2014年3月期までの3年間で400億円規模にのぼる決算の粉飾をした疑いがあるとする調査結果を証券取引等監視委員会がまとめたことが関係者への取材でわかった。
不正会計問題で連日ニュースを賑わせてうた。決算発表が度々延期されたり、あるいは監査法人を通っていない決算が発表されたりしていた。
6000億円の第三者割当増資は、ゴールドマン・サックス証券(GS)がアドバイザーの座を獲得、来年3月の上場廃止を逃れた。
2018年にはサザエさんのスポンサーも降りる、半導体子会社を巡る「東芝トタバタ劇場」はまだ続くだろう。
支払規模は数百億円に上る可能性も指摘された。
荷物急増や人件費高騰を受け、「アマゾンなど大口顧客への値上げ・総量コントロール交渉」や「基本運賃改定」などデリバリー事業の構造改革を行っている。
ヤマトとアマゾンの運賃交渉は、4割超の値上げで大筋合意した。
また、今年は高品質の代名詞であった「メイド・イン・ジャパン」が揺らいだ年だったかも知れない。
アルミ・銅事業部門を担当する執行役員3人が不正行為の一部を「認識」し自主点検や緊急監査の際に報告していなかった事案があったと発表。
素材部品の不正だけあってすそ野が広く影響範囲が絞りこめていない状況だ。
神戸製鋼所は米国にもADR上場、KBSTYというティッカー。
米国の自動車企業なども使用しており訴訟に発展しようものならタカタの二の舞になりそうだ。予断を許さない状況だろう。
また、すでに改ざんを公表しているゴム部材「シール材」についても、不正品の出荷先が広がる可能性があるとした。
ガバナンス上はネガティブな見方が拭い切れない状況のようだ。信頼性低下による間接的な業績への影響なども警戒される形になっている。
THCは、2008年4月から16年7月に製造した製品で149回書き換えが行われ、タイヤメーカーなど13社に出荷していた。16年7月にTHC社内で発覚。同年10月に東レの日覚(にっかく)昭広社長に報告されたが、法令違反ではなく顧客との契約上の問題だとして公表していなかった。
国内工場での検査不備の問題に絡み、約121万台のリコールを国土交通省に届け、リコール費用は250億円を超えるともいわれ、組織ぐるみの対応が露呈した。
無資格者による完成検査は車を組み立てる国内の全6工場で行われていたが、調査の結果、その多くの工場で1990年代には常態化していたとみられ、栃木工場では38年前の1979年から行われていた可能性があることも判明している。
ちなみに、同様の問題はSUBARU(7270)でも発覚した。
新車出荷前に行う「完成検査」で不適切な事案があったと発表。
国に提出した完成検査の方法と社内での業務規定が異なる運用になっていた。日産自動車<7201.T>での無資格者による検査発覚を受けて実施した社内調査で判明した。
不適切な完成検査に関わるリコールとして、2014年1月6日〜2017年10月3日に製作した計9車種、約39万5000台のリコールを国土交通省に届け出ている。
新たに車の燃費をチェックする検査でも不適切なデータの書き換えが行われていた可能性があることがわかった。
12月の国内新車受注が前年同月比3割減のペースで推移していることを明らかにしており、業績への影響を警戒した売りが出ている。
わざわざ外から指導されずとも安全検査は十分やってきているだろう。万が一にも問題が起きたらリコール騒ぎになるふからだ。
ただ、同制度は既に古臭い慣習になっていたようで、非生産性の温床になっていたという指摘もある。
従業員による無資格検査問題が響き、11月の新車販売台数(軽自動車含む)は、前年同月比2.6%減の40万6860台と2カ月連続で減少した。減少幅は2016年6月以来、1年5カ月ぶりの大きさ。日産自動車(7201)が生産や出荷を一時停止したのが響いている。
登録車の販売は5.4%減の25万8164台だった。日産自動車は42.4%減と大幅なマイナスとなった。同じく無資格検査問題があったSUBARU(7270)も13.0%減だった。一方、トヨタ自動車(7203)は単体で0.5%増だった。
この手の問題が発覚するのはたいてい内部告発だろう。たぶん正義感ではなく、復讐とか腹いせの類とも感じられる。
16年以前から長引いている企業の不祥事の代表
当初政府が掲げていた「働き方改革」「働き方改革」の議論にも影響を与えた。
新入社員が1か月100時間以上の残業を強制させられた上に、上司からのパワハラで自殺に追い込まれるという企業文化が浮き彫りになった。
2016年発覚した、新入女性社員の自殺という痛ましい違法残業事件も影響しているようだ。
イメージ悪化が多少なりとも尾を引いている。
17年12月期の連結業績予想の減額修正を発表したことが嫌気された。
収益は9785億円から9330億円(前期比11.3%増)へ見直したほか、営業利益は1515億円から1365億円(同0.9%減)へ、最終利益は866億円から868億円(同4.0%増)へ修正した。
消費財メーカーの大手広告主を中心にグローバルレベルでマーケティング予算を見直す動きがあり、海外事業を中心に売上総利益の伸び率が予想を下回る見通しのため業績を見直した。
リコールや偽装表示といった製品に関するものは、特に株価下落が顕著になっている。
不祥事を起こした株価は低迷したままの企業も有る。必ず儲かるという事ではない。
「製品信用」を失うことは、長期にわたって株価にも業績にも非常に厳しいものだ。
株価急落をチャンスと考える投資家も少なくないだろう。
不祥事を起こした企業を投資対象とする場合、中長期的には「買い場」となることも多いうえ、短期的には株価が乱高下して値幅が広がり、大きな利益チャンスになることもある。
ただ、タカタのように破綻に追い込まれてしまう企業もある。不祥事企業への投資は、信用を失うことの大きさをもう一度精査し慎重に進めて欲しい。
2018年は、こういう不祥事は聞かなくて済むよう、企業も成長してもらいたいものだ。
投資家は日本の上場企業に対して不信感を募らせている。
不祥事を起こす会社は定期的に発生している。
ニュースになる多くは、歴史ある大企業ばかりだ。
業界トップクラスの大企業の不正に企業統治のあり方が問われている。
コンプライアンス(法令順守)体制が甘い会社が他にもあるだろうということになるだろう。
2017年は、日本の悪いところを凝縮したような事件が沢山あった。
毎年不祥事を起こす企業は絶える事がなく、その度に株価は大きく下げる結果になっている。
東芝(6502) 不正会計問題
2015年には不適切会計、16年には米原子力事業での巨額減損損失が発覚し、東芝は一気に経営危機に陥った。2014年3月期までの3年間で400億円規模にのぼる決算の粉飾をした疑いがあるとする調査結果を証券取引等監視委員会がまとめたことが関係者への取材でわかった。
不正会計問題で連日ニュースを賑わせてうた。決算発表が度々延期されたり、あるいは監査法人を通っていない決算が発表されたりしていた。
6000億円の第三者割当増資は、ゴールドマン・サックス証券(GS)がアドバイザーの座を獲得、来年3月の上場廃止を逃れた。
2018年にはサザエさんのスポンサーも降りる、半導体子会社を巡る「東芝トタバタ劇場」はまだ続くだろう。
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ヤマトホールディングス (9064)
未払い残業代支給
子会社であるヤマト運輸の社員等最大7万6000人を対象に、未払い残業代を支給する為の調査に乗り出したと2017年3月4日に複数の報道機関が報じた。未払い残業代支給
支払規模は数百億円に上る可能性も指摘された。
荷物急増や人件費高騰を受け、「アマゾンなど大口顧客への値上げ・総量コントロール交渉」や「基本運賃改定」などデリバリー事業の構造改革を行っている。
ヤマトとアマゾンの運賃交渉は、4割超の値上げで大筋合意した。
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また、今年は高品質の代名詞であった「メイド・イン・ジャパン」が揺らいだ年だったかも知れない。
神戸製鋼所(5406)
品質データ改ざん問題
品質データの偽装問題で揺れている神戸製鋼。品質データ改ざん問題
アルミ・銅事業部門を担当する執行役員3人が不正行為の一部を「認識」し自主点検や緊急監査の際に報告していなかった事案があったと発表。
素材部品の不正だけあってすそ野が広く影響範囲が絞りこめていない状況だ。
神戸製鋼所は米国にもADR上場、KBSTYというティッカー。
米国の自動車企業なども使用しており訴訟に発展しようものならタカタの二の舞になりそうだ。予断を許さない状況だろう。
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三菱マテリアル(5711)
品質データ改ざん問題 2017年11月23日
子会社の三菱電線工業で新たな不正事案が見つかったと発表。「マグネットワイヤ」と呼ばれる製品で、2016年12月から17年11月までに5社に出荷していた。品質データ改ざん問題 2017年11月23日
また、すでに改ざんを公表しているゴム部材「シール材」についても、不正品の出荷先が広がる可能性があるとした。
ガバナンス上はネガティブな見方が拭い切れない状況のようだ。信頼性低下による間接的な業績への影響なども警戒される形になっている。
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東レ(3402)
品質データの改ざん問題 2017年11月28日
子会社の東レハイブリッドコード(THC、愛知県西尾市)による品質データの改ざん問題。品質データの改ざん問題 2017年11月28日
THCは、2008年4月から16年7月に製造した製品で149回書き換えが行われ、タイヤメーカーなど13社に出荷していた。16年7月にTHC社内で発覚。同年10月に東レの日覚(にっかく)昭広社長に報告されたが、法令違反ではなく顧客との契約上の問題だとして公表していなかった。
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日産自動車(7201)
無資格検査問題 2017/9/29
社内の認定を受けていない社員らが完成車検査を行っていた。「リーフ」「ノート」など21車種、全6万台の販売を一時停止すると発表した。無資格検査問題 2017/9/29
国内工場での検査不備の問題に絡み、約121万台のリコールを国土交通省に届け、リコール費用は250億円を超えるともいわれ、組織ぐるみの対応が露呈した。
無資格者による完成検査は車を組み立てる国内の全6工場で行われていたが、調査の結果、その多くの工場で1990年代には常態化していたとみられ、栃木工場では38年前の1979年から行われていた可能性があることも判明している。
チャート出典:ストックウエザー株式会社
16年にも三菱自動車が燃費偽装で炎上していて、そこを救済したのが日産自動車だったが……その日産は国家資格を持っていない人間が検査をしていたということが発覚してしまった。ちなみに、同様の問題はSUBARU(7270)でも発覚した。
新車出荷前に行う「完成検査」で不適切な事案があったと発表。
国に提出した完成検査の方法と社内での業務規定が異なる運用になっていた。日産自動車<7201.T>での無資格者による検査発覚を受けて実施した社内調査で判明した。
不適切な完成検査に関わるリコールとして、2014年1月6日〜2017年10月3日に製作した計9車種、約39万5000台のリコールを国土交通省に届け出ている。
新たに車の燃費をチェックする検査でも不適切なデータの書き換えが行われていた可能性があることがわかった。
12月の国内新車受注が前年同月比3割減のペースで推移していることを明らかにしており、業績への影響を警戒した売りが出ている。
チャート出典:ストックウエザー株式会社
日本の自動車産業は世界屈指だ。わざわざ外から指導されずとも安全検査は十分やってきているだろう。万が一にも問題が起きたらリコール騒ぎになるふからだ。
ただ、同制度は既に古臭い慣習になっていたようで、非生産性の温床になっていたという指摘もある。
登録車の販売は5.4%減の25万8164台だった。日産自動車は42.4%減と大幅なマイナスとなった。同じく無資格検査問題があったSUBARU(7270)も13.0%減だった。一方、トヨタ自動車(7203)は単体で0.5%増だった。
この手の問題が発覚するのはたいてい内部告発だろう。たぶん正義感ではなく、復讐とか腹いせの類とも感じられる。
16年以前から長引いている企業の不祥事の代表
ブラック企業大賞2016にもなった
電通(4324)
2016年9月末に労災認定が出た電通の新人女性社員の過労自死事件は、社会に大きな衝撃を与えた。電通(4324)
当初政府が掲げていた「働き方改革」「働き方改革」の議論にも影響を与えた。
新入社員が1か月100時間以上の残業を強制させられた上に、上司からのパワハラで自殺に追い込まれるという企業文化が浮き彫りになった。
2016年発覚した、新入女性社員の自殺という痛ましい違法残業事件も影響しているようだ。
イメージ悪化が多少なりとも尾を引いている。
17年12月期の連結業績予想の減額修正を発表したことが嫌気された。
収益は9785億円から9330億円(前期比11.3%増)へ見直したほか、営業利益は1515億円から1365億円(同0.9%減)へ、最終利益は866億円から868億円(同4.0%増)へ修正した。
消費財メーカーの大手広告主を中心にグローバルレベルでマーケティング予算を見直す動きがあり、海外事業を中心に売上総利益の伸び率が予想を下回る見通しのため業績を見直した。
チャート出典:ストックウエザー株式会社
ちなみにブラック企業大賞2017はアリさんマークの引越社に決まった。リコールや偽装表示といった製品に関するものは、特に株価下落が顕著になっている。
不祥事を起こした株価は低迷したままの企業も有る。必ず儲かるという事ではない。
株価急落をチャンスと考える投資家も少なくないだろう。
不祥事を起こした企業を投資対象とする場合、中長期的には「買い場」となることも多いうえ、短期的には株価が乱高下して値幅が広がり、大きな利益チャンスになることもある。
ただ、タカタのように破綻に追い込まれてしまう企業もある。不祥事企業への投資は、信用を失うことの大きさをもう一度精査し慎重に進めて欲しい。
2018年は、こういう不祥事は聞かなくて済むよう、企業も成長してもらいたいものだ。