英明コラム 7月第3週 マーケットストラテジーメモ
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《マーケットストラテジーメモ》 07月 第3週
7日(月):
週末のNY株式市場は独立記念日で休場。
日経平均株価は223円安の3万9587円と3日ぶりに反落。米関税政策の先行きに対する警戒感から、輸出関連株を中心に売りが優勢。方向感が乏しく、日経平均は小幅に上昇する場面もあった。TOPIXは続落。東証プライムの売買代金は3兆43477億円。5月27日(3兆3198億円)以来の低水準。リクルート、NECが上昇。TDK、第一三共が下落。日経平均の日足は3日連続で陰線
8日(火):
3連休明けのNY株式市場で主要3指数は揃って反落。トランプ大統領は日本と韓国からの輸入品に対し、8月1日から25%の関税を課すと表明。ただ「今回の発表が恒久的ではないとの期待も幾分ある。これまでは懲罰的な関税を発表し、その後やや緩和するというパターンだった」という声もある。テスラが6.8%下落。6月5日以来の大幅安。
日経平均株価は101円高の3万9688円と反発。
トランプ米大統領は日本に対して8月1日から25%の関税をかけると通告。ただ、トランプ氏は前週に日本の関税率を30%以上に引き上げると示唆していたため、25%の関税率は想定内と受け止められた。日経平均の上昇幅は一時200円を超えた。「ETFの分配金捻出に絡んだ換金売りが相場の重荷となった」という見方もある。TOPIXは3日ぶりに反発。東証プライムの売買代金は4兆5433億円。アドテスト、オムロンが上昇。塩野義、任天堂が下落。
9日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数はマチマチで小動き。トランプ大統領の新たな関税策で一部の貿易相手国との協議への期待が剥落。貿易政策を巡る不透明感が不安定要素。マイナス圏とプラス圏の往来となった。小型株で構成するラッセル2000指数は0.66%高。
日経平均株価は132円高の3万9821円と続伸。朝方は東エレクなど値がさの半導体関連株に買いが先行し、日経平均の上げ幅は一時280円を超えた。一時1ドル147円台前半と円安・ドル高が進み、ホンダなど自動車株が買われた。TOPIXは続伸。東証プライムの売買代金は4兆2947億円。デンソー、豊田通商が上昇。ファストリ、富士通が下落。大商い株専有率(先導株比率)は39.1%。
10日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数は揃って上昇。エヌビディアは世界で初めて時価総額が4兆ドルを突破した。終値は1.8%高。引け時点の時価総額は約3兆9700億ドル。マイクロソフトが1.4%高、アマゾンが1.5%高。ナスダック総合は過去最高値を更新。発電事業大手AESが19.8%上昇。ボーイングが3.7%高。ナスダック総合のサイコロは11勝1敗。
日経平均株価は174円安の3万9646円と3日ぶりに反落。ETFの分配金捻出の売り需要が約9000億円発生するとの試算があった。TOPIXは3日ぶりに反落。東証プライムの売買代金は4兆7738億円。ディスコ、ソシオネクスが上昇。東エレク、ソニーが下落。日経平均採用銘柄のEPSは2544円(前日2539円)。
11日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は揃って続伸。S&P500とナスダック総合は終値で過去最高値を更新。S&Pが終値で最高値を付けるのは6月27日以降5回目。年初以降では8回目。ナスダックは6月27日以降で6回目。NYダウは昨年12月初めに付けた終値での最高値を1%ポイント弱下回る水準。デルタ航空は第3四半期と通期の利益見通しが市場予想を上回り12%上昇。エヌビディアは0.7%上昇。終値ベースで初めて時価総額が4兆ドルを上回った。約31億ドルの買収案受け入れで合意したシリアルメーカーのWKケロッグが30.6%高。ネットフリックス、マイクロソフト、メタは下落。
日経平均株価は76円安の3万9649円と小幅続落。4万円接近で急速に伸び悩み。前日に決算発表したファストリが急落し、1銘柄で指数を262円押し下げた。ただ下値も堅くレーザーテクやディスコなどはしっかり。TOPIXは反発。東証プライムの売買代金は4兆5653億円。村田製、ダイキンが上昇。フジクラ、バンナムが下落。SQ値40004円は上回れず「幻のSQ値」。
(2)欧米動向
6月の米国財政収支は270億ドルの黒字。
背景は関税の総収入が過去最高の272億ドルを記録したこと。
6月の歳入は前年同月比13%(600億ドル)増の5260億ドル。
6月としては過去最高。
一方、歳出は7%(380億ドル)減の4990億ドル。
2025会計年度(24年10月─25年9月)の6月までの累計では、関税収入は年間ベースで初めて1000億ドルを超えた。
グロスベースでは過去最高の1133億ドル、ネットベースでは1080億ドル。
ただ、25会計年度の累計の財政赤字は5%(640億ドル)増の1兆3370億ドル。
背景は医療費、社会保障費、国防費、債務の利払い増。
歳入は7%(2540億ドル)増の4兆0080億ド。
歳出は6%(3180億ドル)増の5兆3460億ドル。
ともに過去最高を記録した。
(3)新興国動向
上海市国有資産監督管理委員会は、ステーブルコインとデジタル通貨への戦略的対応を検討するため地方政府関係者を集めた会議を開催。
同委員会の賀青主任は会議「新興技術に対する感度を高め、デジタル通貨に関する研究を強化」する必要があるとコメント。
(兜町カタリスト 櫻井英明)