【どう見るこの相場】 史上最長の市場休場の前、中、後は不測の事態耐性の10連休関連株に祝賀相場本
【どう見るこの相場】 史上最長の市場休場の前、中、後は不測の事態耐性の10連休関連株に祝賀相場本 |
【どう見るこの相場】 史上最長の市場休場の前、中、後は不測の事態耐性の10連休関連株に祝賀相場本
何とも悩ましい史上最長の10連休が、迫ってきた。皇位が継承されて「令和」がスタートし、祝賀ムードはさらに高まるだろうが、株式投資にとっては、市場が、10日間も休場となり不測の事態が起こっても臨機応変の売買ができないことになる。もちろん連休前までに米中貿易協議や英国のEU(欧州連合)離脱などが、連日の海外報道通りに決着して世界的な景気後退に対する過度な警戒感が後退するなら余計な取り越し苦労をしはしないが、連休中、あるいは連休明けまでズレ込む可能性もないとはいえない。
これは、為替相場一つにとっても、連休前、連休中、連休明けとでは円安・円高と目まぐるしく乱高下する影響を与えるに違いない。ということは、4月11日の安川電機<6506>(東1)を皮切りに始まる決算発表では、経営者マインドが揺さぶられて業績ガイダンスが、連休前と連休明けとでは楽観的から保守的、悲観的まで大きく振れる公算もある。国内の政治日程も、連休直前の21日に統一地方選の後半戦の投開票日を迎え、5月26日のトランプ大統領の来日、6月28日の20カ国・地域(G20)首脳会議、7月の参議院選挙と目白押しである。そのトランプ大統領にしろ、例のロシア疑惑の捜査報告書のほぼ全文が、4月中旬に公表予定ということだから、政権運営に齟齬をきたさないかが心配になる。このところちょくちょく不穏な動静が伝えられる北朝鮮から連休中に突発事態が発生して地政学リスクが高まることだけは願い下げにしてもらいたいものだ。
ベストシナリオは、もちろん世界景気減速懸念への過度な警戒感が和らぐ相場展開で、これなら連休前はもちろん連休明け早々でも、買い待機資金を集めて一気の上放れも想定される。前週に強含んだ半導体関連株や中国関連株などを中心に全面高となりそうで、保有株は買いポジションを継続して正解で、むしろ持たざるリスクが問題となる。しかしそれ以外の相場シナリオを想定すると、連休中はリスク覚悟で買い持ちを継続するか、セオリー通りに連休前に持ち高調整の手仕舞い売りをするか決断を迫られることになる。この手仕舞い売りにしても、手持ち株が評価益となっているならまだしも、評価損となっているようなら、連休中は祝賀ムードにいま一つ乗れないことになるだろう。
そこである。連休前は、またまたややディフェンシブで恐縮ながら連休中の不測の事態に耐性のありそうなテーマ株へのアプローチをお薦めしたい。10連休関連株である。新元号発表だけで祝賀ムードがあれだけ盛り上がり、株式市場では、社名と新元号の一部が重複する連想ゲームだけで人気化したレイ<4317>(JQS)が、幸いなことにその1日大引け後に業績の上方修正と増配を発表してストップ高を交えて3日間で6割高したのである。実際に天皇陛下が退位され、皇太子さまが即位されて大型連休本番となれば、祝賀ムードはいっそう高まり、消費者意識や投資家心理をさらにポジティブにしてくれると見込まれる。「バイ・アンド・ホールド」で10連休明けを楽しみに待ちたい。
■経済効果3700億円の大半を占める旅行関連株は幅広く特需を謳歌
改元に伴う最終消費効果は3770億円程度、10連休の旅行需要効果は3323億円などの試算が出ている。前回、1989年の「平成」への改元時は、昭和天皇が崩御されたあとで消費自粛ムードが強かったが、今回は祝賀ムード一色で消費・旅行需要を喚起する効果は大きいとされ、現に改元発表日に関連の便乗商品の発売が相次いだなどとマスコミ報道された。このなかにはブライダル関連のエスクリ<2196>(東1)の「新元号あやかり婚」プランやタカラトミー<7867>(東1)のボードゲーム「人生ゲーム」の令和版、KNT−CTホールディングス<9726>(東1)の改元日の日の出を富士山上空の飛行機から観賞するツアーなどの大向こう受けする商品も含まれている。
10連休の最大の関連株といえば、旅行関連となる。前記のKNT−CTを含む代理店のエイチ・アイ・エス<9603>(東1)、ユーラシア旅行社<9376>(JQS)、旅行サイトを運営のオープンドア<3926>(東1)、アドベンチャー<6030>(東マ) 、旅工房<6548>(東マ)、ベルトラ<7048>(東マ)、クルーズ旅行に特化のベストワンドットコム<6577>(東マ)、海外旅行客向けの医療アシスタンスサービスを提供する日本エマージェンシーアシスタンス<6063>(JQS)などが上げられる。
テーマパーク関連株も、10連休中の入場者増が予想され、本命のオリエンタルランド<OLC、4661>(東1)のほか、「東京スカイツリー」の東武鉄道<9001>(東1)、富士急行<9010>(東1)、よみうりランド<9671>(東1)、東京都競馬<9672>、「スパリゾートハワイアンズ」の常磐興産<9675>(東1)、東京ドーム<9681>(東1)などが有望となる。今年3月16日にオープンした「ムーミンバレーパーク」の運営会社の大株主のフィンテック グローバル<8789>(東マ)や同パークの最寄り駅をリニューアルした西武鉄道の親会社西武ホールディングス<9024>(東1)も関連してくる。
■「民族大移動」で空・陸・海の旅客輸送関連株がクローズアップ
10連休は、「民族大移動」のシーズンともなり、空・陸・海の旅客輸送需要増を享受する関連株では、海外渡航者が増加するANAホールディングス<9202>(東1)、新幹線が満席御礼となるJR東日本<9020>(東1)、JR東海<9022>(東1)は、PER評価からは割安でいずれも日経平均株価の構成銘柄となっており、主力株人気を高めよう。また目下決算集計中の2019年3月期業績を上方修正した日本航空<JAL、9201>(東1)や新元号「令和」ゆかりの大宰府天満宮へのアクセス路線を展開の西日本鉄道<9031>(東1)、独自の観光列車運行で異彩のJR九州<9142>(東1)も外せない。
「海」の関連株は小型株が多いが、離島航路の東海汽船<9173>(東2)、佐渡汽船<9176>(JQS)、フェリーの栗林商船<9171>(東2)、川崎近海汽船<9179>(東2)、東京汽船<9193>(東2)などが該当し、いずれも低位値ごろ妙味があり、個人投資家好みである。また観光旅行の帰路で忘れてはならないお土産関連では、寿スピリッツ<2222>(東1)やタカチホ<8225>(JQS)が浮上する。
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